表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・ガイア  作者: 水野青色
25/281

25~炭酸池~

寝坊助主人公は相変わらず寝てましたが、集落からは出ました。

起きたら昼だった。

わかってる。

しかも翌々日だったけど、原因はわかっているんだ。

夜中に起きてたからだよ。

ジューノさんは送り届けたらしい。

そして、馬車はもう、王都中央に向かって走っている。

隠れ身の魔法で、素早いよ。

この辺りは森と畑の風景だけだった。

だからすばやく移動。

でも、進んでいる風圧とかで気づかれないのかな?

気づいた時にはもう去っているけどね。


飛ぶ風景を観ながら、お茶してる。

揺れないっていいねぇ。

途中で出会う魔物もいないのは、やはり、門の中だからなんだろうと思う。

弱いものしかいないし、ウーマは、ほかの魔獣より強いから、避けているのだと思う。


「どこか、湖でもないもんかな」


そろそろスライム核石が欲しいなぁ。

武器とかつくりはじめたいし、そもそも、暇だ。


「湖ですか…。確かこの先の森に、小さな池があった気がしますが、それくらいでしょうか」

「じゃ、そこに行こう。それしかないのじゃ、仕方ないよね。運営さんもいい?」

「すきに行くといい。まずはこの世界を見て回るのが君の旅だろう」


確かにそうだ。

シツジローくんに言うと、ウーマにも聞こえたらしく、速度が落ちてきた。

もうすぐ森につくのだろうか。


森は少し枯れかかってた。

水がある場所よね、ここ。

土の問題なのかなぁ。


池に来た。

池というには広い気がするけど、きっと分類上は池。

ぼこぼこと、泡が出ては消えていく。

なんだここ?


ちょっと鑑定。


炭酸水の池。

飲むとおいしい。


意味わからない鑑定結果だな。

もっと詳しく知りたいんだけど。

でも飲むとおいしいって…

ここ、うちの庭に欲しいな。


「運営さん、ここって持って帰れないのかな?」

「この広い池をか?」

「ダメかな?」

「この地質自体がこの池の水なんだろうから、池を持って帰ってもだめだろう。似たようなのを作るのはできそうだな」


そうか。

似た感じの作ればいいのか。

でもおいしいっていうのは、もったいないな。

この辺りは人が来そうにないし。

ジュースとかにしたら絶対おいしいよねぇ。


「この池も雨季になれば普通の池みたいに濁るぞ」

「そうかー。もったいないね」


雨が降れば濁るか。

少しでいいからうちのほうにも持っていきたいなぁ。


「水を汲んでいけばいい。おいしい飲み物ができるのだろう?飲んでみたい」

「果汁を入れればジュースになるよ。楽しみね。ちょっと持っていくわ」


魔法で湖の真ん中を切り取る。

うん。

便利な魔法もあったもんだ。

空間切除。

下の土も切り取れたから、少しは炭酸水が持続するかなぁ。


「そんな使い方があるのか…」


あれ?運営さんがあきれてる。

みんなやらないのかな?せっかく空間が切り取れるなら、やりたいよね?


<その魔法自体がレベルが高くないと使えないのだから、やれるものがいるはずないだろう>


それもそうか。

この魔法は限界突破二回目で覚えたのだし、この世界の人では無理だろうな。

メイちゃんもシツジローくんも使うことはできない。


切り離した湖は、収納した。

あとはここの水を少しコップに入れる。


「メイちゃん、何か果汁入れて?」


甘いのがいいなぁ。


「ではこちらなどいかがでしょう」


ピーチアップルだ。

これなら桃味だね。

おいしいよねぇ。

果肉をすりおろして、絞る。

桃のジュースの完成だ。

それを炭酸水で割る。


「おいしい!」


何これ。

こんなおいしいの?

ほんとにこの水自体がおいしいし、ピーチアップルもおいしいし、素晴らしい組み合わせだ。

シュワシュワの中に、ちょっとトロっとした感じがあって、これなら、商売している人なら売りたくなるかも。

私は商売人じゃないけど。

ジューノさんとかなら食いつきそうだわ。


運営さんも飲んで頷いてる。シツジローくんもメイちゃんも、いい笑顔だ。

ウーマにも飲ませてみた。

喜んでる。

こんなおいしいものが手に入るなんて、いい旅だわ。


「炭酸水は、料理にも使えるのよ。かたいお肉も柔らかく早く煮込めるの」

「ほう。料理をしない割には知識はあるのだな」

「一言余計よ。時短知識よ。この世界では料理しないけどね」


魔獣の肉がいっぱいだし、調味料もあるし。

角煮みたいなのがいいなぁ。


「承知しました」


メイちゃんが鍋に水をくんで、どこかに行く。

拠点である家に帰ったのかな。

料理は向こうでやったほうがいいしね。


しかし、この辺りは空気が薄いのかな。

少し息苦しいな。


<炭酸は炭酸ガスだからな>


そうか。二酸化炭素だよね。

そういう知識あるんだね、運営さん。


<知識は様々なところで吸収できる。地球に関して学んだことも多い>


なるほど。

化学は発達しなかったけど、それを生かす魔法はあるんだもんね。

その魔法の成り立ちが分かればいいのになぁ。


<魔法も科学の一つだ。そういう研究をするものは少ないがいることはいる。だがあまり優遇はされておらぬな>


そうか。

水兵りーべなんて、ここじゃ覚えないもんね。

化学も魔法もどちらも基礎は同じなんだなぁ。


「この森の外でお食事にしましょうね。空気薄いとおいしいものも感じなくなるわ」


まだメイちゃんは来ないだろうし。

馬車をウーマにつなげて、森から出た。


もうすぐ夕方だ。

夕日が沈んでいくさまが見える。

明かり球を浮かべると、ちょうどメイちゃんが馬車を降りてきた。

いい匂いだ。


「肉を炭酸水で煮込み、シチューにしてみました」


今日はほかに人がいないから、おいしい料理もそんなに量はない。

私たち四人だけだしね。


お肉柔らかい。

おいしい。

魔獣肉ばかり食べているけど、これって、イノシシだよね。

豚肉のシチューなんだわ。


おなか一杯になると眠くなる。

ああ、でも、炭酸池の切り取った部分を家に持ち帰りたいわ。

でも眠い。

あとでいいかな。


お湯を浴びて、さっぱりして、寝る支度。


「おやすみなさい」

「もう寝るか。早いな。お休み」


明日はもう少し中央部に近づくだろうな。







読んでいただきありがとうございます。まだ続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ