248~サカイの修業は大切~
ダンジョンの外に出たら、もう夕方だった。
思ったより時間がたっていたみたい。
宿に帰って、早速、寝る。
ご飯食べたいけど、何もやっていないけど、眠い。
夕方は寝るものだよね。
起きたのは、二日後だったけど気にしない。
その間に詐欺師さんたちが行動を起こしたとは聞いていないから。
シツジローくんに依頼のものを取りに行ってもらってるから、私は何もしなくてもいいしね。
「さて、サカイ」
ずっと起きてていろいろやっているていで、カッコつけてみたけど、寝癖がついていると指摘された。
なんてこと・・・
まあ、そんなのはどうでもいいか。
「依頼物で作るものはわかっているわね?」
「確か、ナナへのお土産の・・・太鼓でしたか」
「そうよ」
「それが何か?」
「あんたが作るのよ。幸いものすごく材料はあるので、何回失敗してもいいから、作りなさい。そして、失敗しないで作れるようになりなさい」
「え?」
「これをわたします」
バンダナほどの大きさの布に、魔法陣を縫い付けてある、錬金道具。
いつもはたたんでしまっている。
私が作ったんだよ、もちろん。
刺繡だけはできるからね。
「これで、ですか」
「そうよ。本は読んだわね?」
「・・・ああ、はい」
「ではやり方はわかるわね」
材料おいて、魔力を流すだけだ。
その加減が難しいのだけどね。
「失敗すれば、材料が消えるだけよ」
「は?」
「だから、あなたの練習を兼ねて、太鼓を作れといっているの」
なんで理解できないのかしら。
このおっさん、頭脳で冒険者としての地位についているのよね?
「始めなさい。・・・材料の分量の基礎は、書いてあるのだから、本を見て初めてもいいわよ。後、あなた専用のノートもあげるから、それも使いなさい。少しずつ調整していけば、品質の良いものができる分量もわかるわ」
鑑定くらいはやってあげるからね。
「さ、始めなさい」
「は・・・はい」
気合も入ったようだし、これで大丈夫でしょう。
あとは、やっている作業を見てあげないとね。
詐欺師さんたちが行動を起こす前に、これができるようになればいいわ。




