244~犬だ~
このダンジョンは犬ダンジョン。
犬しか出ない。
光を帯びだ麦の穂を振っているけど、猫じゃないからなつきはしないよね。
それはいい。
入り口付近は本当にあまりいなくて、遠くにうろうろしている。
ダンジョンの魔獣は、レベル関係なく襲ってくるはずだし、犬なのだから鼻が利くと思っていたけど、こちらには寄ってこないな。
「襲ってこないほうがいいじゃないですか」
「雑魚が襲ってきても瞬殺だからいいけどさ」
目的は詐欺師さんたちの追跡だし。
鉱床に用があるのか、それとも純粋に犬の皮と骨を取ってくるのか。
彼らの目的がどちらかわからないのだから、ゆっくりとついて行くだけ。
私たちのほかにも冒険者が同じような道を進むので、不審に思われてないしね。
「たまには追い越すのも大事ですよ」
「確かにね」
魔獣にあって戦っている横を、警戒しながら通り過ぎて、その先にいる魔獣を対峙するのも、冒険者としてのごまかし。
もちろん、参戦してあげてもいいんだよ。
ただこのダンジョンの雑魚に、そこまでてこずることないだろうしね。
犬なのに、群れで襲ってくることがないのが不思議だけど、一階だから、なのかもしれない。
何匹かを倒して剥ぎ取りしながら、詐欺師さんたちが再び通り過ぎるのを待つ。
暇だな。
私は戦えないから、飽きてくる。
麦の穂を左右に振っているだけだし。
・・・意味ないよね。
進んでいくうちに、階層を降りる階段があった。
鉱床があるのは、もう少し下だったっけ。
犬も少し強くなるはずだし、遅れそうだな、進むの。




