24~たまにはいいことだってします その2~
小さな集落にまだ居ます。寝ぼけ主人公だって、たまには夜中に起こされもします。
私が起きたのは夜中だった。
うん?
起こされたのよ、シツジローくんに。
もちろん、起こしたなりの殺気は飛ばしましたけどね。
ウーマだけじゃなくて、外にいたほかの馬もおびえたらしいわ。
知らないもの、そんなの。
「すみません、お嬢さま」
「いいのよ、来たら起こすようにとも手紙に書いてあったはずだし」
眠ってしまったのは私の落ち度よ。
外には、シツジローくんが連れてきたジューノさんがいた。
帰っって来た居たんだ?
「こんばんは、およびと聞いて、はせ参じましたよ、アイリーン殿」
「ジューノさん、こんばんは。ごめんなさいね、こんな夜中にこんな場所まで呼び出して」
あの街からさほど遠くないとしても、この王都の決まっている馬の速さでは、時間がかかるはずだ。
メイちゃんに、夜中だけど、ジェムさんを呼びに行ってもらう。
「つめるだけの食料を持ってきました。もちろん定期的にここに卸しに来ましょう」
「悪いわね、ちょっと待ってね…と、来たわね」
ジェムさんが来た。
「夜中に何の用だ?」
「ジェムさん、こちらを紹介したかったのよ。ジューノさん、門番街の商人さんよ」
「え?なんだ?」
まだ寝ぼけているのかもしれない。
「私の知り合いの商人さんで、門番街で雑貨屋さんをやっているの。・・・ジューノさん、こちらがこの集落の長のジェムさん」
「ジェムじゃない、ジェヌだ。・・・よくわからないが、初めまして。この集落で長をやっています、ジェヌです」
ジェムさんが頭を下げる。
ジューノさんもあわてて頭を下げた。
「わたくしは、門番街でジューノ雑貨店を営んでおります、店主のジューノです。アイリーン殿には命を救われましてね。ちょうど門番街に帰ってきていたところ、こうしてお手紙を届けられましたので、はせ参じた次第です」
にこにこと商売人の顔だ。
「そういえば、よくこんな早く来られたわね」
「シツジローさんが隠れ身の魔法をかけてくれまして、さらに馬車ごと、シツジローさんの収納魔法に収納していただけたので」
ああ、なるほどね。
それならすぐだわ。
行きもそれで行ったのだろうしね。
「おい、なんの話だ?」
そういえば説明してなかったか。
「シツジローくんにお金と手紙もたせて、ジューノさんにここの集落に食糧援助をお願いしたのよ。支払いは、白金貨5枚だけだから、そんな長いことできないかもだけど、その間にこの集落の行く末を考えなさいよ」
「白金貨!おまえ・・・そんな金、この集落にはないんだぞ!」
「私が援助したのよ、あなたたちのお金じゃないわ。病気なのは栄養失調もあるでしょう。栄養付けて、体力戻して、先を考えてほしいわ」
「・・・ありがとう」
「しばらくはうちの雑貨店から食料をお持ちします。体力が戻ったら畑とかもできるでしょう。種などもお持ちしますよ。おいおい考えましょう。何、白金貨5枚ですよ。十年単位でゆっくり考えられましょう」
豪快にジューノさんが笑う。
あれ?そんなにあるものだった?白金貨なんて、崩さなきゃ使えなくて嫌なものでしょうに。
私たち、プレイヤーは取引の一つだったからどうでもいいけど。
「それじゃあとはよろしくね。私は寝るわ」
「え?ああ?」
何かわかってないようだけど、私はもう眠いし。
ジューノさんは勝手に帰れるだろう。
魔物除けのお香はいっぱいあげておかないとだわ。
一番いいのにしてあげよう。
冒険者抜きでここにいるものね。
無事に帰れるといいけど。
朝にでもシツジローくんにおくらせたほうがいいかしらね。
どうせすぐでしょうし。
私は寝る。
運営さん、おとなしいわね。
<おとなしくしているわけではないが、口も出せることではない。それに静かにしているときは、あちらの仕事しているときだと思っててくれ>
そうなんだ。
そうよね、ここだけ見ていることなんてできないものね。
まぁいいわ。
さっさと寝ましょ。
明日のお昼には、ここを発ちたい。
「今度こそ、おやすみなさい」
頭がぼーっとしてきたわ。
読んでいただきありがとうございます。今回短いです。




