235~かわいいは正義(古いな)~
大量の布地。
結構いいお値段なんだね、布地。
どうせならということで、プラム郷の子供たちの服を作ろうと、かいつくすくらいに買ったけど、収納は一瞬だ。
もちろん、糸もかったし、ミシンもある。
やっぱり嫌だけど、糸をはく虫、手に入れたほうがいいかなあ。
糸車とかあるよね?
この世界。
あと、機織り機。
宿ではなく、メイちゃんは馬車の中。
というか、拠点に帰ったのか。
そのほうが作業に集中できるものね。
あ、そうだ。
私の空間魔法にも、布があったはず。
やわらかいし、ナナの弟妹達が生まれたら、それでお洋服作ってあげようかな。
もちろん作るのは、メイちゃんだけどね。
かわいい服の型紙は渡してある。
すごいなあ。
ほかのプレイヤーさん。
ほんとに、いろんなことを覚えさせるために、入れていたんだね。
運営さんからもらった書庫にあった型紙の絵とか。
もう、かわいい服もかっこいい服も、冠婚葬祭の服も、すべて作れるじゃない・・・
私はそういう意味では、ほぼ何にもやらなかったというのが分かるな。
日々に追われて、癒しとしてこのゲームをやっていたにすぎないし。
もう少し貢献しておけばよかったかな。
宿の中では、唸っているサカイをしり目に、私はゴロゴロ。
「まだみえないのー?」
「視えませんよ」
顔を手で覆うサカイを視る。
うん?
魔力のめぐりがあまりよくないのかな?
魔力量はそれなりにあるはずなのよね。サカイ様の血筋だし。脳筋ではあるけど、スズランだって魔力量はあったし。
「ちょっと、サカイおいで」
「はい?」
素直にきたサカイを座らせ、頭に手を置く。
「こうか?」
魔力をサカイに流し込む。
滞っているところも無理やり開栓。
「んあっ」
急にサカイがけいれん起こして倒れたけど、これで無事に魔法がつながったみたい。
あとは起きるのを待つだけね。
「何も言わずにそれをやるとは、おぬしはひどいな」
「師匠というのは、時に理不尽に厳しいものよ」
まあ、冗談だけどね。
そうこうしているうちに、メイちゃんが、洋服を持ってきた。
フリルの付いたかわいいワンピース。
ロリータ風。
うん?
こんなのもあったのか、あの型紙。
しかも、この短時間で作っちゃうのか・・・
そんじょそこらの仕立て屋より有能なんじゃ・・・?
「こんな感じでいかがでしょうか、お嬢さま」
「いいよ、いいよ。ナナが着られるといいよね」
「ナナのサイズでしたら把握済みですので、大丈夫です」
「そう、よかった」
あとはほかのも作って、届けるだけだね。
ナナの喜ぶ顔がみたいけど、まだまだ旅は続くよねえ。
まだ、すごいうわさの人も会えてないしな。




