226~再び行きます~
さらに数日。
ナナは一人でお留守番、ではなく、もう、養女に行っているようなものだから、エイトとビイトの家に住んでるね。
息子二人が家を出て、寂しかったようで、猫かわいがりだ。犬だけど。あ、違う、オオカミだったかな?
獣人はよく食べるのだけど、大丈夫かしらね。
あれでもナナは食べないほうなのだと、マークが言ってたわ。
食費だけでもバカにできないと思うの。
・・・奥さんにお金渡しておかないとね。
あと、獣人一家にも渡しておこう。
ジューノさんにも頼んでおかないと、食料が足りなくなるわよね。
おなかの子のためにもいっぱい食べるのだろうし。
想像はつかないけど。
「そろそろまた、サカイ領から旅に出ましょうか」
サカイ家と行ったり来たりしながら過ごしてきたけど、そろそろ本格的に探さないとね。
こんなに手間がかかるイベントだったかな?ゲームの時。
現実になるとこんなものなのかな。
そのうち空間に入れてある卵も、持ち主が引き取りに来るのか、それとも運営さんに任せていいのか。
困ったものだわ。
「おじょーさま、そろそろ行っちゃうの?」
「そうだね、まだ用事が終わってないしね」
「ナナも行きたいー」
「だめ」
「どーして?」
「ナナはお姉ちゃんになるために、いろいろここでお勉強しないといけないからだね」
「お姉ちゃん・・・」
「いいお姉ちゃんになって、弟妹達と一緒に遊んであげるんでしょう?」
「いいおねえちゃん・・・・」
「そうだよ。だから、いい子でプラム郷で待ってるんだよ。もし、出かけてしまったら、赤ちゃんがいるのに、お母さんがナナのこと心配しすぎて、赤ちゃんが苦しくなってしまうかもしれないでしょう。マークだって、もうすぐ弟妹が誕生するからって、近場の森の中だけにしているでしょ、依頼」
「うん・・・」
「ボスが森の中なら連れてってくれるのよね?」
「ボスはまた、森の中にいっぱい仲間作ってた。あと、動く木がいたよ?」
「動く木?」
「うん。ボスの知り合いみたい」
まさか・・・。
ここのプラントは確かにプラント母さんの種から出来ているんだけど、それが森で発芽しているの?
ちょっと、門番の弦にお伺いたてないといけないわね。
「動く木は、ナナとも仲良くしてくれるの?」
「なでなでしてくれるよ」
「そっかあ。よかったね」
ボスともお話したいものだわ。
でも、ボスは私の従魔じゃないから会話ができないし、動く木がプラント母さんの子供たちなら、何とかなりそうだけど。
今はそれより、旅を終わらせてからだわね。
「ナナは連れていけないけど、ナナはボスと森の安全を守っていてくれるといいなあ」
「むう・・・わかった。おじょーさま、お土産いっぱい買ってきてね」
「わかった。サカイ領の美味しそうなものも、送るからね」
「早く帰ってきてね」
「用事が終わったらすぐ帰ってくるよ。おうちのお掃除しててくれると助かるわ」
「うん」
バイバイ、とさみしそうに手を振ってくれるけど、連れて行くわけにはいかないからなあ。
でも、この旅が終わったら、サカイ領にはポータルで連れて行ってあげようかな。
獣人だからといって差別もされないし、ナナにも広い世界を見せてあげたいしね。
さて。
再び出発しますか。
ちょっとめんどくさいけどね。




