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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
223/281

223~めでたいよ~

チトセさんの妊娠・・・

で、一瞬真っ白になった思考が戻った。

いやいやいや。

めちゃくちゃおめでたいじゃないですか。


「で、なんでダンゴローさんがおろおろしているの?」


上に子供いるでしょうが。


「いやいや、だって・・・」


ダンゴローさん、言葉にならないし、チトセさんも表情が陰ってる。

なに?


「お嬢さま、こっちで話すよ、俺が」


マークに連れられてリビング。

ナナはチトセさんのほうに残らされてる。


「マーク、何があったの?」

「うん。母さんが妊娠したのはとてもうれしいことなんだ」

「それならいいじゃない」

「うん・・・あのさ、オレとナナにも兄弟がいたんだ」

「ん?」


いや、マークとナナは兄弟よね?

ほかの兄弟?


「・・・獣人て、一度に4人とかうむんだ。ジューノさんち見てるとわかると思うけど、兄弟たくさんいるだろ」


ああ、確かに。


「俺も三つ子だったし、ナナは、四つ子だったんだ」

「え?」

「お嬢さまも知っていると思うけど、あの状況では、育つ子供が少ないんだ。オレとナナは、何とか育ったけど、年齢を見ても、ナナは小さいのもわかるだろ」


つまり栄養が足りなさ過ぎて、飢えでなくなっていったということなのか。

それはきつい。


「だから、父さんも母さんも、子供が生まれたら、また栄養が行き届かないんじゃないかって」

「それが心配なんだ?」

「ナナは、この体の割に食べるだろ?ナナは足りてなかった栄養を今とっているんじゃないかって、ジューノさんに言われた。生まれてくる子たちも食べられなかったらどうしようかって」


あー・・・

そうなのか。

仕事してても不安なんだね。


「ここでは飢えてる?」

「いや、仕事もあるし、食べ物も飲み物も、寝る場所もある。父さんも母さんも、酒場で楽しく飲んでる時あるし、少しはお金も蓄えられてる」

「そうね。ここで住んでいれば、平気じゃない?」

「だけど、移住してくる人が増えると、獣人を嫌う人もいる。父さん母さんは、それが怖いんだ」


いつか追い出されるかもしれない、というのが怖いらしい。


「はあ?・・・マーク、あなたの家は私がここに移住させたの。そしてここは私の管理している土地。獣人を嫌うならその人たちにはお暇していただくしかないわ」

「・・・俺たち、ここにいてもいいのかな?」

「いいに決まっているでしょ。だいたい、私はプレイヤーよ。長きにわたって同じとこにとどまることできるのよ。それこそ何世代分も。文句はこちらに言えばいいわ」

「お嬢さま・・・」


ありがとう、って泣いているけど、こんな小さい仔の心に、そんなのがよどんでいるなんて。

やっぱりさっさと、王都の闇であるあの場所の人たちは、移住させられるといいわね。


「ご飯は足りているなら、これから生まれてくる子たちは、きっとみんな育つよ」

「そうか・・・うん・・・」

「よかったな、マーク」

「ありがとな、ビイト」


二人はいい友人同士だわ。

いい光景。


「マーク、ダンゴローさんにもチトセさんにも、先ほどの話と、今まで以上の栄養と、最低限の運動はするようにっていうのよ?」

「運動?」

「動かないでいると、子供を産むのが大変になるらしいし。・・・周りにおばあちゃんたちがいるんだし、きっとよくしてくれるよ」

「うん」


マークがいなくなって、リビングには私とビイト。


「ビイトの話は、これに関係があるのよね?」

「そう。・・・チトセおばちゃんが子供産んだら、ここって狭くなるだろ。オレとマークは家を手に入れたいんだよ」

「ああ、そうなら、まだ空いている家屋あったかな?ないなら、建てるわ」

「ほんとか?ナナは、ここに残るだろうけど、おばちゃんもおじさんも、面倒見られないと思うから、うちで引き取るのがいいんだろうけど、冒険出ちゃうと一人で留守番になるしさ」

「今までとそんな変わらなくない?」

「昼間はナナはプラム郷の中で過ごしているけど、夜は家だろ。両親が生まれたばかりの子供にかかりきりじゃ、ナナはさみしいだろうけど、どうすればいいかな?」

「ビイト、あなたはいい子よね。・・・ナナがどうしたいかが大事だけど、考えてみるわね」

「ありがとな、ねーちゃん。・・・あ、マークが泣きながらナナと帰ってきたか」

「あらあら」


ナナはきょとんとしているけど、マークはまだ泣いているわね。

困ったお兄ちゃんねぇ。


「おじょーさま、あのね、ナナね、この前のお話受けるんだー」

「この前のお話?」


ナナ、話の内容が見えないですよ。


「あのね、ポルムおじちゃんとサリーおばちゃんの仔になるの」

「ん?だれ?」

「ねーちゃん・・・俺の両親だよ・・・」


ああー・・・

そういう名前だった・・・かな?

うん


「そういう話が出てたの?」

「あのね、お母さんが赤ちゃんができてね、おじちゃんたちに相談してね、ナナがさみしくないようにって」

「そう・・・ナナはそれでいいの?」

「お父さんとお母さんが二人ずつになるんだよ!」


無邪気だ。

それでいいならいいか。

マークとビイトは初耳だったようだけど、二人の憂いもこれで解決よね。

ほんとよかったわ。


ちょうどメイちゃんもおやつ持って、各家に配り行っているようで、この家にも来たし。

栄養の付くものも、いっぱい作ってもらって、置いておこうね。


おめでたいし、ほかにもいろいろ考えて送ってあげないとね。

楽しみだわ。


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