218~おもいでの~
開かずの間はいくつあるのかはわからないけど、スーベニア・サカイにとってのプライベート空間だったのだとわかる。
私にもあるしね。
ここだ、と連れてこられた扉も、ただの壁に見えるようだし、入るか。
横引の扉を開けて、驚いた。
壁一面の、フォトショ。
ああ、これは、懐かしのワールドガイアの風景だ。
スクショ、撮りためてたやつを飾ったのか。
ああ、私もスクショがあったけど、部屋に飾るなんて考えたことなかった。
そういえば、どこにあるんだろう。
向こうのパソコンの中なのか、ゲームの中なのか。
ゲームの中なら、ここにおけるよね。
あとで運営さんに確認しよう。
「これはみんなで海に行った時の写真だ」
懐かしい、フレンドメンバーが写っているな。
誰の呼びかけだっけ。
ゲームの中が夏だから、みんなで水着で海で遊ぼうって。
夏のお楽しみセット、だったかな。
スイカわりとか、ビーチフラッグとか、よくわからないのが売ってたっけ。
ゲーム内のお金で買えたから、無課金だったけど。
そうだ。
写真撮ろうっていいだしたのも、誰だったか。
みんなぞれぞれスクショして、最後にみんなで集まった集合写真。
それもそれぞれスクショしたはず。
これはそういうたくさんの思い出。
私とは違って、フレンドがたくさんいたんだろうな。
知らない人もいる。
部屋一面。
データはずっと持っていられるけど、部屋に飾って、当時を思い出していたのかもしれない。
・・・養子をとっていたといっても、知らない人ばかりの世界で、思い出は大事だったに違いないし。
私にとっても、ワールドガイアのゲームは、とても大事な思い出だ。
懐かしすぎるけど、これはスーベニア・サカイのもの。
いつまでもいてはいけない。
名残惜しいけどね。
引き戸を開けて、廊下に出ると、心配そうな顔で、サカイ様とサカイがこちらを見ている。
「どうしたの」
「どうって・・・師匠、二時間も消えていたんです!」
「え?」
そんなにいた気はしなかったけど、やっぱりなつかしさに浸っていた分、時間がたっていたんだ。
「ごめんなさいね」
「それで・・・」
「ここには、思い委での写真が飾ってあったわ」
「しゃしん?」
「あー・・・絵姿?っていうのかな」
この世界、写真なかったかー。
うーん・・・
「それって、祖スーベニア・サカイが描いてあるのですか?」
「そうよ」
「「みたいです」」
「あー・・・うん・・・ここからは出すのはよくないと思う。勝手にだすのはちょっと。・・・私も持っているはずだから、今度探してみるよ」
「「ほんとですか!」」
「うん・・・」
そうか。
みられるなら見たいのかもしれないね。
私もスクショがどうなったかきいて、家に飾ってみようか。
今、スクショがとれるなら、いろんなとことりたいなあ。
「すぐではないのは残念ですが、仕方なさそうですな」
息をつくサカイ様。
今はあきらめてほしいわ。
ああでも思い出を飾るなんて思いつきもしなかったから、来てよかったな。




