213~サカイ領をゆっくり~
サカイ領は、王都中央部とは違っていて、栄えているけど、職人通りが多い。
工房っていうの?
生活雑貨から武器屋まで、すべて工房。
そこの隣に小さな店があるって感じ。
店では、完全受注らしく、大きくしなくてもいいみたい。
市場ももちろんある。
おいしい、かどうかはわからないけど、食べ物が売っている。
シツジローくんに買いに行かせてみた。
うん。
たまにはこういうものもいいわね。
メイちゃんのようにおいしいものじゃないけども。
街の郊外は、家が立ち並んでる。
レンガ造りの家が多い。
なんでだろう。
この領の特色なのか?
「祖スーベニア・サカイが、このような街並みを望んだといいます。ですが、祖スーベニア・サカイの家だけは、ほかと趣が違うのです」
「そこに今でもみんなで住んでいるの?」
「いえ。その家は、いつ祖スーベニア・サカイが帰ってきてもいいように、手入れはされていますが、住むことはないです。・・・ああ、師匠の家みたいな感じですね」
王都中央部の家の作りは、日本家屋だ。
スーベニア・サカイの家は、そんなつくりなんだという。
「庭の一角に、祖スーベニア・サカイの家があります」
もともとは、こちらが庭だったのでしょうけど、と、サカイは笑う。
まあそうだろうね。
「祖スーベニア・サカイが残したものも、師匠には見てもらいたいです」
ゆっくり進む馬車の御者台に乗り、案内しながらも、こちらに話しかけてくるサカイは、少しうれしそうだ。
久しぶりの帰郷だろう。
サカイ領はおおきいらしく、一日やそこらで領主館にはつかないらしい。
ゆっくりと観光しながら、領の中の街をめぐっていく。
たまにはのんびりもいいなあ。




