212~ここが、そうなんだ~
あれから何日たっただろう。
次の目的地にまだつかないけど、集落の近くについた。
大きな町の周囲をぐるっと回る、壁だ。
王都の入り口、ではないから、同じ王国の、地方なんだと思う。
「ここはサカイ領ですよ」
「は?」
サカイ領って、あんたの実家か。
結構遠くだった。
「いつも、転移してきてますから、すぐですけど、実際は遠いのですよね」
しみじみ言うな。
でも確かに、ウーマで数日って結構遠いよね。
ほんとに王国の大きさに驚かされる。
この星自体が、地球より何倍も大きかったはずだから、大陸一つでも大きいのだろうけども。
「「サカイ領は、自然が多いですよ」
「いや、どこも自然が多いよね?」
住んでいるところのほとんどが、森や平野とか畑とか、そんなものじゃないの。
「サカイ領は、さまざまな人種がいますから、ウーマでも驚かれたりはしないですよ」
「プレイヤーにも驚かないでしょうね?」
「プレイヤーが作ったとこですから、大歓迎されるでしょう」
「それは嫌だわ」
大歓迎って・・・。
スーベニア・サカイはここに帰ってくるつもりあるのかな?
たくさんあるワールドのどこで住み着いて研究しているのだか。
「家族に紹介しますので、寄ってくださいよ」
「ええ・・・」
「そんな嫌な顔しなくても・・・。おじいさまがいますよ」
ああ、帰ってきているのか。
あの人、王都にしょっちゅう来ている気がするんだけどね。
「あと、家族も領民もこぶしで戦うの大好きなので、暑苦しいかと・・・」
「は?」
なんだか入りたくなくなるわ。
いや、わかっていたけどね。
スズランもこぶしで戦う子だしね。
「寄りましょうか」
「はい。ロスも紹介したいですし」
「ああ、そうね」
メイちゃんにブラッシングされて、へそ天で寝ている、オルトロス。
野生の貫禄がないただの飼い犬だわね。
「シツジローくん、寄ってって」
「承知しました」
矢印はこの中ではないけど、たまには街でゆっくりしたいしね。
入るための審査を受けるために、列に並ぶ。
ほかの馬車の馬がウーマを怖がっているけど、知らない。
もしかしたら、中のオルトロスの気配にも怖がっているかもだけど、それも知らない。
通行証を見せてスムーズに入る。
サカイがいたからか、偉い人が出てきたけど、無視。
ここはどんな町なんだろう。




