208~頭の数の違い…だよね?~
馬車が森の中を突き進んでる。
道なき道なのに、どうしてかって言うと、ウーマが走りやすいように、馬車に魔法がかかっているから。
よくわからないけど、ゲームの中では、当たり前のように森の中をすいすい進んでいたから、馬車はそういう仕様なんだと思う。
ゲームの中の特殊な魔法は、この現実世界では、プレイヤーでも使えないのだけど、運営さんいるしね。
どうとでもなるみたい。
拠点の森とは違って、プラント種が多くいるわけではない。
でも、魔獣はウーマが踏みつぶしていくものも多いみたいで・・・
まあ、追いつけないのもあるだろうけど。
ウーマは矢印の方向に進んでくれているから、ゆっくりと馬車の中で寝こけている。
だって、ずいぶんと歩いたのよ。
私は、だらだら生活したいのに。
あれから、次の矢印までは結構距離があるらしく、まだついていない。
馬車の中に置いてた卵も収納したし、クッションから起きたくない。
サカイや空の人がぎゃいぎゃいうるさいのだけが苦痛なんだけど。
緩やかに馬車の速度が落ちて、今日はこの辺りで野営。
馬車の周りに結界張ってあるから、魔獣は近寄れないしね。
小さな水場の開けたところ。
そういえば、水場にいつも野営するけど、別に水場必要ないよね?
スライム核石で、シャワーもあるし、台所も使える。
必要なことないような?
それでも、ウーマを休ませなければいけないし、飲んでいるようだけど、毒の水ではないようだからよかった。
外で火を起こして、メイちゃんが料理。
火があると明るいけど、魔獣が寄りにくいというのもあって、一応炊いている。
外で食事もするしね。
いい匂い。
ウォーン・・・
なんだ?
犬の遠吠え?
近くにいるのかな。
結界内には入れないけど、水場は結界の外にしてあるから、ウーマは結界内に戻す。
ウーマは走り回るのが好きだけど、戦わせたくないしね。
サカイは慌てているけど、ほかの人たちは平常心。
私だって、結界の中に入ってこないとわかっているから、普通にしてる。
どんどん声が近づいてくる。
しかも多数。
気が付くと、馬車の結界の外が囲まれていた。
「・・・頭が二つある・・・犬?」
確か、オルトロスだっけ。
いっぱいいる。
この森、オルトロスの巣?
あ・・・
他のもいる。
三頭犬・・・?
ケルベロス・・・?
じゃない!
なんで?
頭が一つおかしい。
何で猫の頭がついているの!?
「ちょ・・・ケルベロス・・・もどき?」
いや、もう、何を突っ込んでいいのやら。
ガウガウ
ウォーン
にゃー
おいっ!
やっぱり猫か。
あれでワンとかないたら、見た目猫っぽい犬だと思おうとしたのに。
「ちょ・・・サカイ・・・聞きたいんだけど・・・ここの世界のケルベロスは、猫頭がくっついているの・・・?」
ゲームでもそんな設定なかったはずだわ。
「いえ・・・?え?ねこ?」
「猫でしょ、あれ」
オルトロスの奥のほうにいる、リーダー格であろうケルベロス。
「師匠、見えません」
夜だものね。
そうか。
サカイにはよく見えないのか。
いや、あれをケルベロスといっていいのか?
わからない。
とりあえず、そのままにしとこう。
馬車の中でもう寝よう。
うるさそうだから、防音にして・・・
明日の朝にはいなくなってるといいな。
いつもお読みいただきありがとうございます。
最近忙しくて、遅々として進まないです。




