198~突然クエスト~
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珍しくエイトが来た。
エイトは、王都中央部の家とここを行き来できるほどの魔力を持っているからね。
「ねーちゃん、大変なんだ」
「急にどうしたの?」
来るなりどうした、エイト。
何もわからないんだけど?
最近は王都中央部にはあまりいってないからね。
寝てるほうが多いし。
「王都中央部のギルド長が、ねーちゃんを呼んでくれって」
「ん?がるがるさん?」
何のようだろう。
確かに、王都中央部に行っても、冒険者ギルドに顔を出さなくなったなあ。
いつもサカイが来るから、行かなかったんだけどね。
「今から行くわ」
どうせ用事もないしね。
エイトが来たのも、何か急なことが起こったんだろうし。
エイト先導で、王都中央部のギルド。
いつも通り騒がしい。
すぐにギルド長の部屋に通された。
サカイが真っ青な顔で書類を処理している横で、何もしないがるがるさん。
「おう、来たか、アイリーン」
「がるがるさん、何用?」
「実はな、問題が起きた」
問題が起きないことって、ギルドにあるのかな?
「数日前のことなんだが、神話に出てくる翼を持った人が、降りてきたんだよ」
「空の人が?」
「・・・あー、そうだ。空の人か。まあその人だと思うのだが、困ったことに、言葉が通じないんだ」
「言葉が通じない?」
「古代語だろうとのことなんだが・・・」
「・・・うん、それで?」
「まあとにかく会ってくれ」
会ってくれって、ここにいるのかな?
「王城にいるが、お前がここに来るとのことで、ここに連れてきてくれるはずだ」
「そうなんだ」
めんどくさいことになりそうだけど、運営さんには何も聞いていないからなあ。
しばらく待っていたら、着たことを告げられた。
現実では初めて見た空の人。
うん。
ゲームでは何度かクエストがあったな。
『・・・プレイヤーか』
「そうよ」
ああ、なるほど。
私には普通に聞こえるけど、確かに少しニュアンスというか、話し方が違うのか。
古代語?なのかな。
『やっと話が通じるものと出会えた。困ったことが起こった』
「困ったこと?」
『卵を落とした』
「はあ?」
空の人が言うには、空の竜が産んだ卵を落としたというのだ。
もちろん、落としたのは、空の人。
空の竜は空の人がその魔力を分け与えて孵す。
地の竜の卵は地の人が孵す。
これはゲームの時から決まっている仕様。
ちなみに、見守るための竜はまた別で、空の竜や地の竜を作ったものだといわれている。
そして、ここからが重要。
これ、不定期であったクエストだ。
空の竜の卵、血の竜の卵を探すクエスト。
なぜ、預かった卵をなくすのかは不明だけど、クエストが起こったということだ。
「わかった探すよ」
空の人はなぜか落とすとその卵の行方が分からなくなるらしい。
落ちても割れないけど、どこにあるかわからない。
プレイヤーはその卵がみえるから、プレイヤーにしか探せないんだけど。
プレイヤーがいなかったとき、もし卵が落ちていたらはどうしていたんだろう。
「話が通じているようだな?」
「ああ、がるがるさん。私はプレイヤーだからね。・・・この人は預かるよ」
「それが、なあ・・・」
「何か問題が?」
「今の王様が、空の人?を、神からの使いだから、王城で預かるときかないんだよ」
「わかった。・・・プレイヤーに逆らうなって、伝言しといて」
「そんなことできるわけないだろう!」
「ああ、じゃあ、ここに行って」
シツジローくんに元王様のいる場所を書かせて、がるがるさんに持たせる。
そこで説明してくるように言う。
それまでは、空の人は王城で預かってもらおうか。
『われは話の通じぬものといる気はないぞ』
「そういわれてもねえ。私は行く気ないし」
「すぐに行ってくるから、ここで待っていてくれ」
えー・・・
めんどくさそうだけど、仕方ないか。
夕方も遅くなったころ、やっと空の人がうち預かりになった。
全くめんどくさ。
さて。
久しぶりのクエスト開始かあ。
明るくなってから始めよう。




