195~中身ってさ~
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マジックバッグづくりは順調。
といっても、まだ、みんな刺繍の段階。
大容量は、早々に売れないと思う。
中サイズが一番売れるのじゃないかと予想。
だけど、バッグ作るにはまだ至らない。
なぜかというと、皮用のミシンがないから。
いや、ミシンはある。
実は、5台ほど、この郷にはおいているのだ。
皮、縫えるのかな?
「縫えますね。針も飛ばないようです」
メイちゃんがきちんと確かめてた。できるメイドは違うね。
しかも、ミシンも量産させるために、シツジローくんが動いてた。
ドワーフのおっさんが作ってくれるらしい。
すごいな。
一台分解したそうだけど。
最初のミシンは私の妄想力・・・もといスキルで作った気がするんだけど。
え?それを分解した?
メイちゃんの使うのがないじゃないの。
・・・直したらしい。
ドワーフのおっさん、すごいな。
武器は作らないけど、生活に使うものはどんどん作っていってくれるそうだ。
ドワーフも長生きだしね。
作成図も作ったそうだ。
それ、ほかに出回らせれば、地域でいいミシンが出来上がるのでは?
・・・スライム核石がないからむり、と。
知ってた。
あ、スライム核石、売り出すのどうかな?
あ、だめ・・・
しかたないか。
会議所で黙々と刺繍をするプラム郷の住民。
やっぱり働かせすぎかもしれないけど、なんでかここは楽しそう。
お菓子もお茶もおいしいしね。
ここの人たちってよく働くよなあ。
ここは大丈夫そうだから、私はメイちゃん引き連れてギルドにお邪魔。
あ、ビートだ。
「あ、ねーちゃん」
「依頼受けに来たの?」
「完了報告だよ。後、母さんから兄ちゃんに手紙預かったから、それ送ってもらうんだ」
「そうなのね。エイトは元気にやっているわよ」
「ほんと?全然返事が来ないって、母ちゃん言ってた」
「それはいけないわね。今度言っておくわ」
「うん、ありがと」
ビートが報告を終えている間に、私も依頼が来ているか見る。
・・・まだか。
まあ、すぐにきたって困るのは困るけども。
「ビート、メイちゃんがおやつ作ってくれるから、おうちおいで」
「いくー。メイねーちゃんのおやつ、うまいし」
食べ盛りの子供には、メイちゃんのおやつは好評だからね。
「俺も行く」
マークがやってきた。
「マーク、どこにいたのよ」
「便所」
ああそう。
まあ、どっちみちナナが家でおやつ食べているだろうし、いたら誘うつもりだったしね。
メイちゃんが、どんどんおやつを作ってくれるけど、すぐなくなる。
子供三人の食欲すごいわね。
「あ、そうだ、ねーちゃん。今度、マジックバッグ売り出すんだろ?」
「ええそうよ」
この子たちのはあるからいらないわね。
おおきいのだってすぐに作ってあげるわ。
「それで、聞きたかったんだけど。持ち主の名前で反応して出せるんだよな?」
そういう仕様だからね。
「それって、冒険者パーティの一人が登録して、もしその人が死んだりしたら出せないってこと?」
・・・そうか。
冒険者ってパーティくんでるものだったわ。
私たちプレイヤーは基本ソロだから考えたこともなかった。
マジックバッグ自体が一人で持つものだしね。
「もし全滅したら遺族に中身も渡せないのかな」
考えたこともなかったわ。
「それは困ったことになるわね。・・・わかった。対策を考えるわね」
思ってもみなかったから、なにも思いつかないわ。
「お嬢さま。名前の刺繍を解いてしまえば、中身は出せるのでは?」
あ、確かに。
これも注意事項として入れておかないといけないわね。
何らかの原因で、本人が中身を取り出せなくなった場合、関係性が証明できれば、中身を取り出せるようにする。
その際も、プラム郷に送ること。
これは大事だわ。
刺繍のほどき方も教えておかないとね。
あ、ちょっとめんどくさいけど、仕方ない。
いろいろまだ問題出てきそうだけど、何とかなるといいな。




