186~しっとり大事~
お読みいただきありがとうございます。
オールインワンジェル売り出してますね。
石鹸屋さん、どこに向かうのでしょうw
乾季が終わるころにはオールインワンジェルが、王都中央部の女性に人気が出てた。
顔を洗った後の、保湿をするものが欲しかったのだろうと思う。
最初は瓶入りを購入してもらい、中身がなくなったら買いに来てもらう方式。
瓶入りのほうが少々お高い石鹸と同じ価格販売。
中身だけの場合は、普通の石鹸と同じ価格。
売り出している石鹸とほぼ変わらない値段というのが、いいらしい。
ほとんどが女性だが、男性も購入してくれているとか。
顔の乾燥が気になる男性や、女性にプレゼントと考えている人がいるのだろうね。
瓶は、プラム郷で作っている。
スクリューキャップ式の瓶を、プラム郷のドワーフのおっさんに作りだしてもらったのだ。
さすが、モノづくりにたけているだけあって、説明したものを作り出してくれるのもあっという間だった。
ガラス用の炉は作らされたけれどもね。
その時に、いつも鍛冶する炉と違うのだと、初めて知ったよ。
錬金術、同じ炉を使うので。
瓶のふたも、ガラス製。
なので中身が見える。
ふたには、プラム郷の郷証が、削られて彫られてる。
スライム核石を使って、グラスルーター作ってみた。
そしたら、やりたい人続出した。
主に、おっさんの弟子。
増えた人たちの中には、弟子入りの人たちもいた。
それには驚いた。
ドワーフのおっさん、鍛冶仕事を少しずつ始めていたらしいから。
癒されない傷でも、少しずつ前向きになってきたのかな。
ちなみに、ガラスづくりは、金属よりもガラス工芸にたけている弟子がいて、そちらが主にやることになりそう。
工房、ちゃんとしたの作ってあげないといけないかもしれないな。
夏ではなく、雨期が来た。
雨季でも、オールインワンジェル関係なかった。
そういう化粧品があるということが、貴族街にも広まったらしい。
主にリアさんたちのおかげで。
しっとり肌は、化粧のノリがさらに良くなるからね。
雨の時期はお店が暇そうだから、ゆっくりしてもらいたいと思ってたんだけど、洗濯石鹸はよく出るらしい。
外に干せないのに?
「何かいい方法があるといいのですが・・・」
「乾燥機がないからねえ」
私の拠点にはあるけどね。
「かんそうき、とは何ですか?」
「洗濯物を乾かすための・・・魔道具」
機械って言ってもわからないだろうしね。
「乾燥する魔道具・・・」
店長さん、何か考え込んでるな。
「作れないよ」
先に言っておこう。
本当は作れるけど、こちらに頼ってばかりだと意味がない。
「そうですか。残念です」
「言っておくけど、プラム郷は、商品を提供するための場所だと認識してほしい。確かにここはプラム郷産のものばかりだけど、将来的には、そうじゃないものも置かれると思う。その時のことを考えて、お店作りをしてほしいの。あまり言いたくないけど、ジューノさんは、ここを足掛かりにして、ジューノ商店を王都中央部に出したい考えでしょう。そうしたら、うちは切り離すか、単なる取引先の一つになると思うの」
「そんなこと・・・」
「ないとはいいきれないでしょう。そしてそれはわかってて、ここに出したの。あなたは店長なのだし、考えて行動してほしいの」
「はい・・・」
「ジューノさんのお店は、ここではないとこに作られると思うよ。その時、ここがどうなるのかはわからない。ここに出資したのは私だから、ここは私がオーナーの店。それは変わらない。ここをジューノさんに譲るかどうかはそれこそわからない。あなたがやりたくないならそれでもよし。違う人が店長として、石鹸屋を続かせるだけ。やることは変わらないんだ」
「はい・・・」
「私は甘いこと言っているかもしれないけど、この石鹸を作る技術自体は、プラム郷のものだから、ほかに流出してもすぐできるわけじゃないんだよ。いや、違うね。他では作れないんだよ。それはジューノさんは承知していると思うけどね」
錬金術が使えないほかの人たちは作れない。
あの魔法陣の作り方を知らないから、プラム郷以外では、技術を持ってても作れない。
そこは考えて、過ごしてほしいものだわ。
石鹸はともかく、オールインワンジェルを売らなくなったら、どうなるのかな。
ちょっと興味があるけど、女性は怖いから、考えるのはやめておこう。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
年内の更新はこれが最後かなと思います。
いいお年をお迎えください。




