182~とうとうおコメ~
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毎週水曜日12時更新しています。
居眠り女主人公、ダンジョン核のかけらに、田んぼ作らせて米ドロップさせてます。
春の時期もあっという間に一か月過ぎた。
その間に何をやったかというと、空いている土地に、田んぼ、に見えるような畑を作った。
私の目的。
米だ。
水を張らなくても、ほぼ三日くらいで、稲刈りまでできるからね。
ただ、どれが出てくるかは、わからない。
でも、私が欲しい白米が出る確率はあげてもらったし、毒もないようにしてあるしね。
ダンジョン核のかけら、素晴らしい仕事よ。
これは私の食事だから、手伝ってもらって刈ることはない。
まあ、魔法で何とでもなるのでね。
ドロップアイテムだし。
ダンジョン外で、ドロップアイテムという概念がないこの世界では、この田んぼだけが、それをできるところと今のところは言えると思う。
ゲームの中では、普通にドロップしてたんだけどなあ。
白米、雑穀米、もち米。
よしよし。
いい感じに集まった。
大豆はないのよねえ。
もしかしたらあのダンジョン核に頼めば、できたのかもしれないけど、あーあ。
でもそんなことは言ってられないので、塩でいい。
ある程度の調味料はそろっていることに感謝よね。
さて。
メイちゃん、お願いね。
おいしいごはん、食べたいです。
私の料理スキルでは無理そうだし、大体、土なべで米を炊くなんて、したことないんだよ。
一人暮らしの時は、コンビニでレンチン当たり前だったからね。
炊きあがるまでの時間に、おなかすかせるための運動と称して、ナナや、この郷にすみ移った子供たちと追いかけっこ。
・・・子供って、逃げ回るの早いわ。
全力じゃないもん。
いいんだもん。
追いつけなかったよ・・・
おやつ渡して、帰宅。
お昼ご飯が待ち遠しい。
いいにおい。
おにぎり、いや、まずは茶わんに盛る。
何の味もないご飯を口に運ぶ。
・・・・・・・・・・・・
おいしい!
これよ。
ご飯の甘さで、懐かしさで、涙が出る。
何年もかかったけど、ここでご飯が食べられるようになるなんて。
あの、虫ダンジョン攻略してよかったわ。
あっという間に、茶碗がから・・・
え?
おかず食べてないよ?
ご飯だけで十分だったか。
メイちゃんとシツジローくんは、黙々と食べてるけど、きちんとおかずも食べてる。
冷静だよね。
「おかわりー」
いうなり、メイちゃんがよそってくれる。
おかずもおいしい。
ご飯が進む。
「おにぎりもいいなあ」
「おにぎり?ですか・・・?」
そうか。
おにぎりを知らないよね。
ご飯なかったんだものね。
手に水と塩を付けて、握る。
うん・・・・
なんで、三角にならないんだろう、不思議だな。
あ、メイちゃんのはきちんと三角になってる。
え?
これもスキルなの?
まあ、いいか。
私が握ったのは、塩のつけすぎだったか、ものすごくしょっぱい。
メイちゃんに握ってもらったのは、いい塩梅。
やっぱり、食事はメイちゃん任せにしよう。
なんだかんだで、結構大きめの土鍋の半分を、私ひとりが食べつくした。
メイちゃんとシツジローくんは、普通量しか食べてない。
残ったのは、冷凍だね。
いつでも食べられる・・・
「新しいのを焚きますので、さっきから外でこちらを凝視しているナナにでも与えてください」
なんだと?
あ、ほんとだ。
ナナが遊び来てて、よだれたらしながら見てる。
「ナナー、おいでー」
餌付け餌付け。
おかずとご飯を口周りと両手につけながら、すごい食べてるね。
「ご飯食べてこなかったの?」
「たべてきたー」
子供は食欲旺盛なんだなあ。
「このしろいつぶつぶおいしい」
「そうでしょう。これがおコメなんだよ。おいしいよねえ」
ナナにもこの味が分かるか。
将来有望だぞ、って、何がだよ。
でも、米が育つようになるので、プラム郷の人たちにも食べさせて、田んぼもどきからドロップさせて、少しでも食糧事情を改善できるのはいいよね。
土なべの残りのご飯と、おかずを食べつくしても、まだおなかすいているようなナナにおやつを与えて、ぽんぽこりんなおなかをさすっているのを見ると、数年前の死にかけを思うと、うれしくなる。
元気で大きくなってね。
さて。
おなかいっぱいで眠いから、お昼寝かなあ。
春は眠いわ。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
寒くなりましたね。
秋がないような気がします。
すっかり冬ですね。




