157~眠い~
いつもお読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、仕事してます。
現実世界の、佐藤あいりの時の混同記憶です。
眠い。
ものすごく眠い。
頭がぼんやりする。
「・・・さん、佐藤さん!」
声をかけられそちらをむく。
ああ、課長だ。
「大丈夫かい?佐藤さん。ずいぶんとぼんやりしているようだけど」
ここしばらくは、睡眠時間がいつも以上に短くて、目の前の画面すら今はぼんやりだ。
画面?
え・・・と?
ここはどこだっけ?
ガイア、は?
「ほんとに大丈夫か?明日の会議の資料とか」
会議の資料?
ああ、そうだ。
今はそれを作成しているとこだ。
昨日もいつものようにゲームの画面を閉じて寝て、朝は会社に・・・。
いつもの行動だからわからないけど、なんだかおかしい。
本当にそうだった?
確かボスと戦って、スキルを誰かに解除してもらって・・・?
いや、意味わからない。
スキル解除って。
ゲームの話だよね。
でもそれよりは今のこの状況をどうにかしないと。
また残業と徹夜で資料作りだ。
もうすぐ就業時間になるのに、一向に進んでない。
ほかの人たちがやり残したものも、どうせ今日も回されるだろう。
でもおかしい。
キーボードを打っているのに、こんな文字みたことない気がする。
「課長・・・」
振り向くと、社内の人影がなかった。
「え?」
意味が分からない。
どういうことなのだろうか。
「何?え?」
なんだか窓の外も景色がぼんやりしている気がする。
頭が痛い。
「うう・・・」
寝不足もあって、ひどい頭痛でくらくらする。
両手で額を抑え、呼吸を整える。
本当に意味が分からない。
「う・・・」
意識が遠のく感じがした。
「・・・さん、佐藤さん?大丈夫かい?」
呼ばれた声で振り向くと課長がいた。
時刻はお昼ちょっとすぎ。
社内は、昼休みだ。
「え・・・?」
「疲れているのか?ぼんやりして。明日の会議の資料は大丈夫かい?」
「え・・・?」
どういうこと?
先ほどまで、就業時間ぎりぎりだったはず。
なのに、今は昼休み?
時間が戻った?
いや、違う。
っ目の前の画面は、まったく違う内容だ。
つまり違う日?
「本当に大丈夫か?・・・ほかの人に任せて、早退してもいいぞ」
「え・・・?」
今まで一度もそんなこと言われたことはなかった。
課長は、自分が帰るのはありでも、ほかの社員が自分より先に帰るのは良しとしない、パワハラ人間のはずだ。
「ダメですよー、かちょー。佐藤さんに頼んであるものあるし、今日は私、早帰りしないといけないんですぅ」
後ろから、課長お気に入りの若い女性が、甘ったるい声を出して近づいてきている。
「え?」
「母があ、びょーきで倒れちゃってぇ。病院行かなきゃなんですぅ」
「そうか。それなら仕方ないかぁ。うんうん。親は大事にしないとな」
うなづきながら、こちらに残るように命令してくる。
やはりいつもの課長だ。
でも、なんだろう。
違和感。
頭痛のひどさが原因なんだろうか。
わからない、わからない、わからない。
目の前の画面に集中しようとして、私はまた、意識が遠くなっていくのを感じた
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
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