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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
154/281

154~話は分かった。だからここにいる~

お読みいただきありがとうございます。

居眠り女主人公、ダンジョン攻略中です。

私は今、たった一人でフィールドに立っている。

周りは虫しかいない。

風の渦を作り出して、虫を粉々にして、炎で焼いていく。


なぜこんなことをしているのか。

それは少し前にさかのぼる。


まだ、ダンジョン核の作った空間にいたときに、ダンジョン核が作った青いヒト型。

結構流ちょうに話すようになったそれが、突然土下座をしてきた。


「お願いがあります」


誰だ。

ダンジョン核にまで、土下座文化教えたやつ。


「かけらは返したでしょ」

「いえ、はい。そうですけど、それじゃないんです」


かけらは必要ないということなのか?


「皆様の強さを見込んで、お願いがあるんです」

「一応聞くけど、それって何?」

「これから送るダンジョンフィールドの虫を、残らず殲滅していただきたいのです」


は?

虫嫌いな私にそれをやれと?

何より、ダンジョン核が何言っているんだ?

自分で虫を消せばいいじゃないか。


「実はもともと、そのダンジョンフィールドのボスは、この世界の虫ではないのです。急に現れたと思ったら、すごい勢いで増え続けて、あっという間このダンジョンのどこにでもいるようになってしまったのです。何とか一つのフィールドに閉じ込めたのですが・・・」


そこでも増え続け、対処できなくなったのだという。

自分の作ったデータの虫なら、消すことも増やすこともできる。

だが、もともとどこから来たのかわからない、虫だ。

データがない。

しかも、このダンジョン特性をわかっているのか、どんどんと増え続けたそうだ。


「ダンジョンである自分が作った虫も、なぜかそれらが食いつくしていきましたし、フィールドは、草木も残っていません。食料のなくなったそれは、共食いをしながらも増え続けているのです」


ぅえっ。

何その気持ち悪い虫。


「対抗手段として、その虫と同じ場所から来たと思われる虫のデータを取って、そこにいれたのですが、それも食べつくされ・・・。核のかけらも食べられてしまったので、それ自体がフィールド管理者になっているのです」

「それ、ダンジョン核のあなたは対処できないの?」


核を取り込んだなら、操作できそうなものなのに。


「能力を取り込まれてしまったのです。もう何もできなくて。・・・あなたたちの強さを見込んでお願いします!」


再度土下座。

ダンジョン核が必至だ。


「もちろん報酬はあります!先ほどあなた様から返された核のかけらをお渡しします。虫の生成能力はなく、管理していたフィールドの植物の生成能力だけ付けます」

「えっ!」


それって、おコメよね。

ああああああ。

私のお米を作る能力のある核のかけらをくれるということよね。


「・・・それって、どれくらいで稲穂はできるのかしら?」


これ重要よ。


「ダンジョン内は早いですが、外でも三日くらいかと思います。ドロップとしては、麻袋に入った、雑穀米6:玄米3:精白米1、というところでしょうか」


1かー・・・少ないけど、でも、出ないよりましだな。


「必ずドロップするのね?」

「どれかはドロップします。・・・比率変えることもできます」

「変えて」


即答でしょ。


「精白米6にして」


雑穀米より、精白米だよ。


「やってくれるなら・・・わかりました」

「もち・・・」

「ちょっとまったー!ねーちゃん、勝手に決めちゃダメだろ!」


エイトのちょっと待ったコール。

くっ・・・。

私としたことが、おコメにつられるとこだった。

ここには私以外にもいるんだわ。


「・・・ちょっと相談してくる」


いや、もう、私はやる気だけど、報連相大事よね。社会人としての基本だわ。


「お米・・・」

「ねーちゃん・・・」

「ししょー・・・」


あ、呆れられているわ。

だって仕方ないじゃないの。

私にとっては大事なんだもの。


「アイリーンよ、いくらわれらが強くなったといっても、このダンジョンの虫をたいらげてしまうようなものがいるんだろう?それはどう対処すべきか考えないといけないだろう」


王様の言うことももっともか。


「おコメ・・・」


あきらめきれない。


「行きたいのなら行けばいいのよ。一番強いの、アイリーンちゃんでしょ。私たちは、ここで待つのもありじゃない?」

「しかしなあ」

「いっていいなら、私ひとりで行ってくる。はっきり言って、このダンジョン核がまだ信用できないだろうし、家族全員おいていくわ」


私ひとりでいいよ。

そのフィールドの広さはわからないけども。

はっきり言って、このダンジョンの強さはわからないけど、4桁超えの私より強いとは思えないし。


「何日かかるかわからんのだぞ」

「うん?確かに一匹残らず殲滅だからわからないけど、頑張るよ」

「でも・・・」

「私が欲しいものが手に入るから、これは私ひとりで行くよ。皆は待ってて」


私の家族は、私の決めてしまったことには、口を出さないから。

そして私は決めたから。


「ダンジョン核、そこに送って」

「・・・ありがとうございます」


そして私はフィールドに立っている。

お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。


不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。

「追放王子と生態系調査人」


https://ncode.syosetu.com/n4898ho/

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