149~起きたら虫がすごい~
いつもお読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、ようやく起きました。
目が覚めたのは三日たってから。
ぼんやりしながら起きだしたら、疲労で倒れそうなスズランが、メイちゃんに介抱されてた。
「おはよう?」
何があったんだろう。
「お・・・おはようじゃないですよ、ししょー・・・」
あ、少し復活してたみたい。
どうした、スズラン。
「師匠がなんだかわけのわからない暴走したと思ったら、突然寝だして・・・」
「ああ、理由言ってなかったか」
「しばらくここから動けないからって、ガイアード師匠が言い出して・・・」
息も絶え絶えだな。
あとはメイちゃんが引き受けて教えてくれた。
私が寝入った後、この場で運営さんが結界張ってくれて、しばらくは起きるのを待とうということになったそう。
一応ダンジョン内だし、交代で見張りを立てて、野営の準備をしていたら、どんどん結界が黒く染まっていったんだそうだ。
もちろん、それは虫だ。
虫が結界に張り付いて、昼なのか夜なのかわからないほど暗くなり、しかも羽音がうるさい。
少しでも追い払うために、スズランたちが、虫と戦っていたんだそうだ。
メイちゃんとシツジローくんと運営さんは、気にもしていないし、うちの従魔たちも時々咆哮で追い払うくらいで、虫のことは木にもしていなかったらしいけども。
そこが、普通の人間との違いなんだろうな。
私は虫が嫌いだから、燃えつくすかもしれないけど、寝ているときは何も聞こえてないしね。
ああ、確かに羽音がする。
起きたし、外出るか。
外には、疲労困憊の王様とサカイ様がいた。
リアさんは、馬車の中で回復中だという。
エイトもばてているそうだ。
「おはよう?」
「・・・ようやく起きたか、アイリーン・・・」
「うん。・・・ああ、大丈夫?」
「これが大丈夫に見えるのなら、まだ起きていないということですな」
確かに、肩を上下に大きく揺らすおっさん二人は、大丈夫ではないか。
しかし、この虫の原因は何だろう。
すごいな。
「二人とも休みなよ。馬車には防音かけておいたから、羽音も聞こえないし、この結界は、破れないから平気だよ」
「しかし・・・」
「運営さんは、私よりレベル高いからね」
結界の強度はレベルで決まるし、このダンジョンの雑魚敵に敗れるわけない。
私がはったって、破ることはできないしね。
二人が入っていくのを見送る。
確かに、虫だらけのこの結界から出るの大変そうだなあ。
どれくらいの虫が集まっているんだろう。
「アイリーン、この後はどうする」
「運営さん、虫、どのくらいいるのかな?」
「そうだな・・・これくらいの厚みで、虫がびっしりくっついているな」
手を広げる。
一メートルはないか。
でも、結構な厚みだ。
「運営さん、私が今、結界の近くに行くから、そしたら、私の後ろから、結界張りなおしてくれる?」
「うん?」
「そのあと外の結界、消してくれるといいな」
「・・・わかった」
運営さんが結界張るのが分かる。
私も自分に結界を張る。
青い炎が手に宿る。
これ、自分にもちょっとだけダメージあるから、ほんとはやりたくないけど、まあ、大丈夫でしょ。
目の前の結界が消えたと同時に、巨大な青い炎で、周辺を包んだ。
消滅していく虫。
焦げて転がる虫。
地面がとけているのもわかる。
「う・・・」
掌が軽度の火傷。
でもこれで、周辺の虫がいなくなった。
「終わったのか?」
「終わった。どうせすぐ来るだろうし、みんなが馬車にいる間に進もうか」
ウーマも退屈しているだろうから。
でも結局、原因は何だろうな。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
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