141~最初のボス部屋~
お読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、最初のボス戦です。
広い広い平原を抜けて、とうとうやってきました、ボス部屋の前。
いや、数日前からいるんだけどね、みんなの調子が整うのを待ってたからさ。
ボス部屋へは洞窟になってた。
というか、ここでも階層ボスというのがいるんだな。
「ねーちゃん、戦っているとこ見たことないけど戦えるの?」
エイトの言葉に触発され、私がボスと一人で対峙することになってる。
それはいいんだ。
ここのボスだって、それなりだろうから。
だけどね、いやな予感がするんだよね。
「さて、いきますか」
乗り気に離れないけど、とりあえずここの階層ボス倒さない限りは、先に進めないんだし。
洞窟の入り口の大きな岩に魔力を流す。
おおっ
横開きか。
「全員はいらないとだよ」
馬車を引いてはいる。
うちの子たちがなぜか臨戦態勢で楽しそうなんだけど、ここはマテをさせないとね。
エイトに、私が倒すといってしまったのだから、私が前に出ないとだ。
ボス部屋がぼんやり明るくなってきたころ、奥にボスっぽいものが見えた。
「げっ」
わかってた。
いやな予感は当たってた。
そうよね、ここは虫ダンジョン。
虫よね・・・
「な・・・なにあれ・・・」
馬車の後ろのほうから声がする。
スズランかな?
みんな降りているものね。
「あれは大型のメタルスコーピオン。サソリだよー」
私が答えると、そのサソリの目がこちらを向いた。
大型というか、超大型といえる大きさのサソリ。
三匹だ。
「メタルスコーピオンはね、外殻がメタルだから、硬いんだよー」
いいながら、メタルスコーピオンに向かう。
そう。
こいつらはかたいはず。
だけど、隙間に剣を刺して魔法ながしちゃえばいちころなんだよね。
それが弱点。
おおきかろうが小さかろうが、同じなんだ。
ただ、素早い動きと毒の針を持つしっぽが厄介なんだよね。
私自身はあまり動きたくないんだけど、ゲームの時の動きを体が覚えてる。
そのまま任せて、しっぽの攻撃や、吐き出してくる毒などの攻撃をよけ続けながら、サソリに剣を刺す。
「凍っちゃえ」
びきっ
まずは一匹。
でもその間に、ほかの二匹からの攻撃が来るから、素早く離れる。
あ、一匹、馬車のほうに行っちゃったなあ。
あーあ、あちらに行っちゃえば、うちの仔たちからフルボッコにされるのに。
レベル差を意識しないようになっているボスたちって、ある意味かわいそうだよね。
グサリ
もう一匹。
「焦げちゃえ」
炎魔法を流す。
メタルスコーピオンて食べられないのかなあ。
でもダンジョンの魔物だから、ドロップしかしないのか。
二匹目が終わったところで、馬車のほうに向かっていったサソリも、うちの四匹にぼこぼこにされて、魔石になった。
ボス部屋が明るくなった。
ボス戦が終わりだ。
現実って、BGMとか流れるわけじゃないし、ただただ埃っぽいなあ。
ドロップ品は、メタルスコーピオンの外殻、魔石二個。
あんまりいいものじゃないなあ。
「さて。エイト、きちんと見てた?」
「う・・・うん。ねーちゃんすごい」
そうでしょう、そうでしょう。
もっとたたえるがいい。
「でも、結局一匹逃がしてたね」
「うっ」
一人で入ってたら、きちんと三匹倒したわよ。
「それより、次の階層行くんだから、みんな、来て」
ボスを攻略すると、奥に転移魔法陣ができるのだ。
そこから、元に戻るか先に進むかが決められる。
「この先に進むか、戻るか決めて」
私は先に進んでもいい。
ダンジョンなんて時間かかるものなんだから、その覚悟で来たんだし。
ただ、この人たちって、重鎮でしょ。
大丈夫なのかな?
「進むわよ」
リアさんがこともなげに決める。
いいのかな。
まあいいか。
馬車にみんな乗ってもらい、私が手綱を引く。
目指すは次の階層だ。
次はどんな場所だろう。
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