138~ここでのんびり~
お読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公は、ダンジョンの平原で一休み中。
さらに二日経った。
どうやらこの先に洞窟があるけど、そこが次の転移先の陣があるみたい。
でもまだ起きないパーティメンバーのことを考えて、手前でのんびりと野営。
運営さんの提案で、私と運営さんはシリウスを連れて平原をゆっくりと探索中。
メイちゃん、シツジローくん、しーちゃん、ベヒーは馬車を守っててくれる。
ウーマは、シツジローくんが馬車を外した途端、どこかにかけていったから、走り回っていると思う。
ウーマにとってはストレスがたまるスピードだったのかもしれない。
平原は、薬草などがあるけど、木々の生い茂った場所がない。
遠くまで見渡せるかわりに、敵からも遠くから見られているということ。
砂煙が向かってくるのを眺めながら、今日の夕飯何かなって考える。
ああ、ザコはいい肉をドロップしてくれないけど、ダンジョンの食料としては貴重だし、皮などのドロップ品は、買取してもらうのもいいわね。
雑魚敵といっても、ここはあの蛍を外に出しているダンジョンだ。
ある程度レベルは高い。
最初のころにあったボアなんて、瞬殺されそうだわ。
ここの雑魚は・・・シリウスが瞬殺しているんだけどね。
「今度来るときは、ボスとかも連れてきたいわ。きっと強くなれると思うの。寿命が延びているなら、ボスには長くボスをやっててほしいな」
「それはいいかもしれんな。あの郷は弱きものが多い。長くないかもしれんが・・・」
「若い人を積極的に入れたいけどね、もう少し食べられるものの生産ができるようにならないとよね。私はその辺りは素人だもの」
難しいのよねえ。
私が分かることは少ないわ。
生前だって積極的にそういうのを調べていたこともないから。
「そろそろ戻りましょうか。何かめぼしそうなものないし」
「そうだな」
遠くにぼんやり野営場所が見える。
距離はそんなにいってないと思うけど。
「サカイ様とスズランとエイトにはさ、武器が作ってあるけど、そういえば王様とリアさんのはないよね」
「炉を作るところから始めるのか?」
「簡易炉、持ってきてあるけど」
「それだと時間かからないか?」
「でも仕方ないよね。・・・何使うのかしらね」
「エイトはダガーだろう?ミスリル製の」
「エイトはまだ魔法が安定してないでしょ。あの子、二つの魔法スキル持っているみたいだから、どちらかが安定したら、アダマンタイトの武器をあげるつもり」
この世界の住人は、魔法スキルが二つ以上ある人は、安定するまでは、暴発する可能性があるので、魔法を使わせてもらえないのだ。
成人するころにはどれかに傾いて安定するのだという。
エイトは、水と風の魔法が使える。
魔力は、遺伝が関係ないから、親が炎と水なのに、風が使えてもおかしくないのだ。
「それまではダガーナイフで戦わせるのか」
「ミスリルで剣を持たせたほうがいいかな?」
「ショートソードくらいなら、一応冒険者だしな」
「そっか」
見習いとはいえ冒険者、ダガーナイフよりもソードのほうがいいのか。
そこも考えないとなあ。
馬車に戻ると、王様がよろよろと外に出てきた。
何とかレベル酔いから回復し始めたみたい。
「王様、大丈夫?」
「ううう・・・すまぬが、水を・・・」
すぐさまメイちゃんがレモン水を渡してる。
お口さっぱりってことね。
特級ポーションを飲ませる。
急激に成長したから、ゲームで言うヒットポイントは枯渇状態だしね。
「いや、ほんとすまなかった」
まだけだるげだけど回復したようでよかったわ。
「しかしなんでこんなことに」
「それはみんなが起きたら解説しますよ。しばらくここでのんびりするから。王様は安定したでしょ。サカイ様もどうやら安定したようだし」
馬車を降りてくるサカイ様。
同じように水と特級ポーションだ。
「王様とリアさんて、武器は何使っているの?」
「私は片手剣のロングソードだが、リアは魔法杖だな」
ロングソードと杖か。
そういえば、杖持っている人見たな。
某眼鏡をかけた魔法少年の杖みたいなもの。
それなら指輪のほうがいいよね。
発動はやいし。
「しかしなぜだ?」
「武器作ってあげようと思って」
「いやいやいや。みたまえ」
出してきたのは合金製。
ミスリルと金が混ざっているやつ。
魔法も通すらしい。
ミスリルも貴重だからあまりとれないし、聖魔法が使えないからと。
「アダマンタイトで作るから」
すぐ折れそうだからいらないなまくらは捨ててほしいものよ。
これでも王国では一番の鍛冶師が作ったんだって。
なまくらでしょうけど、宝物庫にあったものだそう。
「アダマンタイト製!」
「ミュゲもサカイ様もアダマンタイト製だよ?私のだってそうだし。大体、うちの郷のみんなは、ミスリルのダガーナイフ持っているしね。エイトの武器だってミスリルだよ?」
「ほんとプレイヤーは規格外だな」
それほめてなさそうよね。
まあいいか。
早速簡易炉に材料を突っ込む。
簡易炉は、通常の炉の1.5倍の時間がかかる。
15時間でつくれるものは、ほぼ一日かかりだ。
シツジローくんに、リアさんのためのスライム核石を磨いてもらい、王様には自分で磨いてもらう。
サカイ様は、体慣らしに運営さんと近くの散策をしに行った。
もうすぐ晩御飯ですけど?
それまでには帰ってくるらしい。
まだ起きない人たちを待って、この日も一日が終わる。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
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