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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
135/281

135~なんで問題が起こるのよ~

あけましておめでとうございます

新年一発目でございます。

今年もよろしくお願いします。


居眠り女主人公は、面倒なことは考えない人です。

「大変なことになった」


がるがるさんから、プラム郷の冒険者ギルドを通して連絡が来た。

ので、今、王都中央部の冒険者ギルドのギルド長の部屋にいる。

がるがるさんが頭を抱えていて、ため息しかついていないので、話しだすのを待っているところだ。


時は少しさかのぼって、一刻ほど前のこと。

準備が終わったので、翌日にはダンジョンに行くために、プラム郷の冒険者ギルドを訪れた。

クロークさんが、ついた途端に駆け寄ってきたのだ。

どうやら、うちに来ようとしていたらしい。

がるがるさんからの緊急の通信が入ったとか。

毎日のように、スズランのこと聞いているくせに、なんなのよ。

それで、すぐに王都中央部のギルドに来てほしいとかいうから、仕方なく、メイちゃんとシツジローくんとスズランを引き連れて今やってきているというわけ。


ギルド長の部屋に通されて、ずっと、がるがるさんがうなっているのをただ見ているだけ。

サカイはいない。

どこ行ったんだろう。


「大変なことになった」


それしか言えない置物だったか?


「大変なことって何よ」

「きっともうすぐ来る・・・」


またうなりだす。

だから何だっていうのよ。


「パパ、何をそんなに困っているの」

「うん・・・ミュゲ、お前やはり行くのをやめないか?」

「いや」


スズランはきっぱりした子だわ。

どちらに似たのかほんとに知りたいわ。


ノックの音とともに、サカイが帰ってきた。

こちらも困ったような疲れた表情している。


「ししょう・・・いらしてくださったのですね」

「来たけど、何も話さないのよ、なんなの?」

「・・・っはあ・・・とにかく下に来ていただけませんか」

「それで何かわかるの?」

「・・・はい・・・」


歯切れが悪いな。

ほんとに何なのよ。

いつも騒がしいギルドが静かなのも、それが原因なのかしら。


下に行くと、なぜかいつもの冒険者たちが壁際によってる。

中央には…なんでいるんだ?


「よう、アイリーン」

「はあ?また、護衛さん撒いてきたのですか?あなた、王様なんでしょ?」


この国の王様と、サカイ様が椅子に座って、安酒あおってる。

なんなのこの光景は。


「アイリーン殿、ひどいじゃないですか。ダンジョンに行くと、孫から聞きましたよ」

「まご?」

「ブルームですな」


そういえば、孫なんだっけ。

・・・スズランはひ孫?

じじい、いくつなんだ?


「プラム郷のダンジョンに行くけど、それが?」


近くの椅子を引っ張って、同じテーブルにつく。

なぜかすかさずメイちゃんがお菓子を用意してくれて、おっさん二人はそれを食べ始めている。


「わしも連れてってくれ」

「はあ?さっきも言ったけど、あなた一国の主でしょうが」


何言っているんだ、こいつ、よ。


「ダンジョンだぞ!しかも未踏だというじゃないか、行きたいじゃないか」

「いやいやいや・・・」

「わしらでも結構きつい、あの虫がいるダンジョン。あそこに入ってみたいのはやまやまだが、許可が出んのでな」


王様に許可出す奴いないよ、ダンジョンよ?


「アイリーンのパーティに入ればいけると聞いた」

「行政はどうするのよ」

「そんなものは、王をやめればいいだけのこと。息子ももういい年だ。さっさと譲ろう」

「王妃様はどうするのよ。いつ帰れるかも、無事に帰れるかもわからないでしょ」

「一緒に連れていく」

「はあ?」


意味わからん。

いやいやいや。

どういうこと?


「ん?大丈夫だ。正妃はな、実は、隣国のおてんば姫だったよ。冒険者していて、ダンジョンであったんだ」


あ、おっさんの語りが始まりそう。

やめて、長くなりそうだし。


「でももう長く何もやってないでしょ」

「そんなことないぞ?今でも魔獣が出たら乗り込んでいって、爆破させてくる魔女だ」

「まじょ・・・」

「冒険者で爆炎の魔女と呼ばれる二つ名を持つ方が、王妃様ですな」


サカイ様がこっそり教えてくれた。

公然の秘密なのか。

というか、ここって、大丈夫な国なの?

トップが脳筋・・・


「なので一緒に行きたいと言い出してな」


それが困ったことでな、といっているけど、困ってないよね。

むしろ困っているのは、周りの人だろうよ。


「なので、わしと王妃も一緒のパーティーに入れてくれ」

「えー・・・」


別にいきたいって気持ちは尊重するよ。

私はこの世界では非常識というのが売りのプレイヤーだからね。

でも、いいのかなあ。


「明日にはいくんだけど」

「大丈夫だ。冠渡してすぐに行ける」


そんな簡単なものじゃないでしょ、戴冠って。


「どうせもう、ほぼほぼ息子がやっているから、こっそりいなくなってもばれないし、息子夫婦には話してある」

「わしもだ」

「え?サカイ様も?」

「行きたい」

「おじいさま、ダメに決まっているじゃないですか!」


サカイが焦ってる。

そりゃそうだよね。


「わしはこの話が出たときに、すでにお前の父親に譲って隠居の身だし、独り身だから、いいんだ」


いや、よくないよ。

何言ってんだ、このじじいも。


「え、おじい様も行くの?」

「そうだぞ、ミュゲ」

「たのしそう。ししょー、いいでしょ」


ミュゲはうれしそうだな。サカイ家の血が流れているものとしては、一緒に冒険したいのかもね。


「いいよ」


弟子には甘いのです。


「師匠!自分はだめで、なぜ!」

「あんたは、書類仕事があるでしょ。その条件で、スズランがいけるんだから」

「ひどい・・・」


誰がひどいんだよ。失礼な。

だけど、王様と王妃様ねえ・・・

まあいいか。


「出発一日伸ばすしかないかあ。・・・じゃあほら、さっさとパーティ登録しちゃうから、ギルドカード出して」

「まて。王妃を連れてくる」


そういや、いないわ。


「師匠!何言っているんですか!」

「なにって、ダンジョン行くためのパーティ申請?サカイも早く手続きの準備してよね」


めんどくさいから、もう、何でもいいや。

さっさと終えて、ダンジョン行きたいし。

あー・・・メイちゃんのお菓子、おいしい。


しばらく待っていると、王様が奥様の王妃様を連れてきた。

え?

私は別に首を垂れる気ないよ?

いまさらだよ。


「はじめまして。あなたがアイリーンちゃんね」

「お初にお目にかかります。・・・王妃様」

「あらいやだ。他人行儀ね。ナタリア・ランギット・グリーンバズスよ。私のことは、リアって呼んで頂戴」


おお・・・

なんてフレンドリーな人。それに、どう見ても若々しい。

え?

いくつなの、この人。

王様、孫もいるんですよね?


それよりも、護衛さんはどうした。

まいてきたのか・・・


「それじゃ、えーと・・・リアさま・・・」

「リアさまだなんて他人行儀」


いや、他人だわ。


「ああ、じゃ、えーと・・・リアさん、は、いいんですか?」

「もちろんよ。魔獣退治も楽しいけど、ダンジョンよ。故郷の国にいたころはダンジョンめぐりが趣味だったのよ」


楽しそうだ。


「そうですか。あ、パーティ登録して、ダンジョンへの同行の手続きを」


これで何とかいけるかな。

がるがるさんが真っ青になって頭抱えているけど、自分の国のトップを恨んでね。


ああ、でも、また、布買ってこないとね。

三人分のふかふかクッション、メイちゃんに急いで作ってもらわないとね。


運営さん、帰ってきてよ。

ちょっと寂しいな。


お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。


不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。

「追放王子と生態系調査人」


https://ncode.syosetu.com/n4898ho/

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