130~ポーションの販路~
お読みいただきありがとうございます。居眠り女主人公、起きてます。
そろそろ春になります。
雪解けは早い。
あと数日もしないうちに春になる。
そういえば、拠点はもう、ほぼ雪が残ってない。
プラント母さんが、生き生きとしながら、庭の植物を厳選しているから、おいしいものがいっぱいできるだろうな。
雪の中では、あまり走り回れなかったウーマも、森に行っているようだし。
まだ森は雪深いのだけど、大丈夫かな。
プラム郷は、まだ少し雪が残っているけど、ほとんどが住民の魔法でどうにかなってる。
ぬかるみもほとんどない。
冬の間にポーションづくりに精を出したからだと思うのだけど、みんな魔力値が上がってる。
微ポーションが下級ポーションになってる人たちばかりだ。
いやし草も、なぜか冬でも繁殖してたしね。
王都中央部の家のいやし草は、サカイが使っているようだけど、減らないよね。
まだ微ポーションしか作れないみたいだけど。
プラム郷の会議室には、ポーション保管用のマジックボックスを置いてある。
私の、スキル想像力で、中に物が入ると、カウントされて、数字が表面に示されるようになっているので、何がいくつほど入っているかわかるようになっている。
住民が必要なら、そこから持っていくことになっている。
冒険者の鉄の人たちは、自分たちが作ったものだけしか使わないと言い切ったので、作られたポーションは、ほぼ余り状態だ。
冒険者ギルドに微ポーションは渡したけど、どうせなら、これを売ることも考えたい。
プラム郷を発展させるためには必要だ。
そのことは、プラム郷の人たちに伝えたら、みんなの了解を得たのでよかった。
あとは・・・
ジューノさんならいい考えがあるかな。
「シツジローくん、ジューノさん呼んできて」
「かしこまりました」
ほどなくして、ジューノさんが来た。
なぜか興奮しているようだ。
「アイリーン殿、ポーションを下ろしてくれるとは本当ですか!」
開口一番。
「プラム郷のみんなが下級ポーションを作れるようになったの。それでどこかに託して売りたいと思ってね」
プラム郷の商人は、ジューノさんがやってくれているのだしね。
「うれしいですなあ。本来、商人ギルドや冒険者ギルドでも扱えるのに、薬師ギルドが独占していまして、こちらには全く回ってこないのですよ」
「そうなの?薬師ギルド?」
そんなギルド、ゲームにはなかったな。
商人ギルドもなかったけど。
「薬師が寄り集まって作られたギルドでして・・・、薬を作ることにたけているのですな。高額で薬を売りつけるので、貧しいものは買うこともできず、教会の治療術だけでは追いつけず、奴隷に身をやつす者もおります」
特に、獣人は多いらしい。
ジューノさんほどの財力をもってしても、獣人全員を賄えるほどの薬を用意もできず、結果として、ダンゴロー一家のようなものたちも生まれるのだ。
「教会も治療してくれるの?」
「しますよ。無償ではないですが・・・、治療術を使えるものにお布施として料金を払うシステムですね。それでも、薬より安い。難しい病などは直せませんがね」
「治療術を使える人しかできないのね」
そうよね。
ここの神父さんは、使えそうにないしね。
「門番街の薬屋あったよね?あそこのが確か・・・」
いくらだったかな?
ゴミにしか見えなかったから、肝心の値段見てないかも。
「銅貨五枚分ほどでございます」
「あのごみ、そんな高かったの」
驚きだわ。
ゴミならゴミらしく、ただで配りなさいよ。
「弱いポーションはそれくらいしますよ」
「え?それじゃ、本物のポーションは?」
「・・・これが下級ポーションなら、金貨一枚の価値はございます。ですが、アイリーン殿は、そんな値段では売りたくないのでしょう?」
当たり前だわ。
安く手に入ればいいと思うもの。
「みんなが手が届く値段にしてほしいわ」
「承知しました。商人ギルドと冒険者ギルドで相談して、適正価格を提示させていただきます」
「まだ量はそんなにないから、申し訳ないけどね」
「いえいえ・・・。それで今はどれほどありますでしょうか」
ああ、そうよね。
実物のある場所に案内しないとね。
会議室では、相変わらず休みの人が作ってる。
みんな下級ポーションなら、作れるようになったし、今は、中級ポーションを作るのに必死だ。
ナナも、なんと微ポーションを作ったと思ったら、低確率で中級ポーションを作り出した。
ナナの魔力はまだ安定していないあからだろうとのことだ。
会議室で、ジューノさんといる住人があいさつを終えて、保管用ののマジックボックスを見る。
微ポーション、1800
下級ポーション、375
菓子、10
ん?
おかし?
「ナナ、この中にお菓子入れたでしょ!」
「えへへー。おやつがいつでもたべられるようにしたいのー」
「自分のバッグに入れなさい。ここには入れちゃだめよ」
「はあい」
返事はいいのよね、この子は。
・・・かわいいから許す。
「微ポーションは、プラム郷の冒険者ギルドにも渡してあるのよ」
「そうなのですね。・・・ふむふむ。またここに増えるんでしょうか」
「増えるでしょうね。みんなよく作るし」
「わかりました。・・・早速家に帰って、ギルドに相談します」
「お願いね。王都中央に行かないといけなさそうなら、連絡して」
連絡用にと、小さな通信玉を渡す。
用があるときにこれに魔力を流せば、家にある受信用の球が光りだす仕様だ。
ゲームで作ったのだけど、ゲーム内での連絡手段て、普通にメール送るだけだから、使う機会なかったのよね。
シツジローくんにジューノさんを送ってもらって、お別れだ。
ポーションが広まるようになるといいな。
ね、運営さん。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
https://ncode.syosetu.com/n4898ho/




