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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
129/281

129~ダンジョンがあるのに~

お読みいただきありがとうございます。

居眠り女主人公、だらけています。


寒い。

布団やこたつから出たくない。

やっぱり私は冬眠できるのかもしれない。


寒さを少しでも回避したくて、王都中央部にある家に来ている。

こたつの周りには、うちの従魔たち。

シリウスのモフモフさが温かい。

しーちゃんは、こたつに潜り込んでるし、ベヒーはキドナと一緒に、メイちゃんにおやつをねだっている。

私も温かい紅茶でのんびりよ。


「お嬢さま、失礼します」


シツジローくんだ。

かしこまって何かな。


「冒険者ギルドのガーギス様より、使いが来まして、ギルドまで来てほしいそうです」

「やだ」

「かしこまりました。お断りいたします」


シツジローくんは一礼して廊下から去る。

これでまた静かにこたつで転寝できるわ。


メイちゃんが、温かいシルコを持ってきてくれる。

緑茶も本格的に作らないと、紅茶じゃやはり物足りないわ。

コーヒーも飲みたいのよね。

あるのは知っても、どこにあるのやら。


ぼーっと時間が過ぎたと思ったら、また廊下が騒がしい。

サカイが来て、すぐにこたつに足を突っ込んだ。

足はあらわされて、強力な消臭の魔法がかかった靴下をはかせられている。

メイちゃんが編んだものだ。

つい数日前、くさい足をこたつに突っ込み、しーちゃんに引っかかれたからだ。

ちなみに、その傷は治らない。

しーちゃんの呪いだそうだ。

しーちゃんが解かないといけないらしい。許されたら、解いてくれるだろうといっておいたが、ほぼ伝説といっていいケットシーに引っかかれた傷だから、取っておきたいのだとか。

阿保かもしれない。

腐るよ?といったが、いいというので、傷跡だけ残して、呪いだけはしーちゃんに解いてもらった。


「寒いですね、師匠!」

「そうね。・・・仕事戻りなさい」

「はい。仕事できました」


仕事で来たという割には、メイちゃんが出してきた汁粉を食べているじゃないの。


「何の用なの?」

「師匠、ギルド長の呼び出しに答えないから、自分が来ることになりました」

「あんた、毎日来ているじゃないの」

「そうです」

「それで?」

「師匠がプラム郷で出した、ダンジョン攻略の依頼の件についてです」


それが王都中央部の冒険者ギルドと、なんの関係があるというのだろうか。


「ギルドの見解としてですね、あそこのダンジョンは、高位冒険者ではないとは入れないということになったのです」

「え、なんで?」


おかしいでしょ。

ダンジョンは、だれでも入ることができるはずだ。


「ギルドが管理するの?」

「はい。そもそもあのダンジョンは、特殊なのです」


本来、ダンジョンのある街というのは、どこの集落も栄えてきた。

しかし、あの集落だけは、ダンジョンがあるというのに、栄えていない。

その理由が、時期になると外に出てくる高位冒険者でなければ倒せない魔虫。

そして、どうやらその魔虫は、一階層にいるらしく、おそらく階層が変われば、さらに強い魔物がいるだろうこと。

そのせいで、冒険者が入り込むことができないのだそうだ。

低位や中位冒険者が入って、ダンジョン一階層で全滅などという悲劇が起こるのは避けたいとの見解らしい。


「蛍のせいで、ダンジョンがあっても栄えないし、プラム郷の冒険者では中に入れないってことなの・・・」

「そうです。・・・本来、ダンジョンの魔物が出てくる事態というのは、スタンピードが起こっているからだといわれています。なのに、あのダンジョンの魔虫は、そうでもないのに、外に出てきて、被害をもたらします。・・・師匠も参加したでしょう。あの強さです。中、低位の冒険者には任せられないのです」

「そっか・・・」


そうよね。

確かに、あの虫さえどうにかなれば、時期に出てくることが防げると思う。


「冒険者ギルドの通達も出ましたので、師匠の依頼は、高位冒険者のみと変更されました」

「・・・わかった。報告ありがとう。・・・春になったら、私が入るわ」


もう決めた。

私はプラム郷を守ると決めたのだから、あのダンジョンを壊してもいいと思う。

虫は本当に嫌いだけど、子供たちの未来も守りたいしね。


「師匠・・・」

「私は高位冒険者。口出しは無用よ」

「はい・・・」


仕方ないことにこれ以上は何も言えない。

それよりも。


「サカイ、あなた、少しは錬金して、ポーション作っているのかしら?」

「・・・ええ・・・」

「プラム郷のみんなは、微ポーションどころか、中級ポーションまで作れる人が出てきたわよ」

「ええっ!」

「兄弟子のあなたより、下の弟子たちのほうが優秀ね」

「・・・っく・・・頑張ります」


悔しげなサカイの表情を見て、ちょっと溜飲が下がった。

春になったら、いやだけど頑張ろう。

お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。


不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。

「追放王子と生態系調査人」


https://ncode.syosetu.com/n4898ho/


不定期すぎて忙しくない時だけ更新してます。

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