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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
126/281

126~見覚えあるおっさんが来た~

お読みいただきありがとうございます。

居眠り女主人公、王都中央部の家でまったり。


冬も本格的になってきた。

寒い。

私は王都中央部の家にいる。

まだこちらのほうが、寒さが弱い気がするから。

私は寒いのが苦手。

冬眠は・・・人間だからなのか、できないのよね。


<いや、できるだろ、アイリーンなら>


あ、運営さん!きいていたわね!

できないったらできないの!


あ、なんだか笑い声が聞こえる。

そんなとこで笑っているなら、仕事終えて戻ってきなさいよ。


こたつで寝転んでダラダラしていたら、メイちゃんがお客だと知らせに来た。


「ここに通して」


私が出ていくつもりはない。

入ってきたのは、前にも見たことあるおっさん。

・・・だれだっけ?


「お嬢さま、国王陛下でございます」

「ああー」


そうだった。

サカイ様と一緒にきたおっさんだ。

・・・この人も護衛付けないでよく来られるわよね。


こたつにあたりまえのように入るし。


「どうしたんですか」


敬語?

そんなものは前世に忘れてきたわね。


「この前、サカイが、プラム郷で祭りに参加したといっておってな。どうして呼んでくれないんだ」

「呼ぶも何も、あなた、王様でしょ。気軽に呼べないでしょ」


何言っているんだ、この王様。


「こうしてこっそり出てくるくらいは簡単なんだぞ」

「それって、護衛の方々を撒いてきているんですよね?いいんですか?」

「まかれる護衛が悪い」


確かに。

そんな護衛じゃ、役には立たないな。


「わしもイッセーシュリンプ食べたかった」


それが目的か!


「サカイ様に持たせましたよ。分けてもらえばいいじゃないですか」

「奴はイッセーシュリンプが好物なので、分けてくれぬ」

「ああー、はいはい。残っているのを、もたせますよ」

「ちがう!すぐに食べたいんだ。・・・いいかね、アイリーン、王城には、毒見係というのが複数いる。まずは作ってすぐ、その次は持ってくるもの、並べるもの、口に入れる前にさらに一人。その者たちが食べて残ったものを口にするのだ。それまでに、おいしいところはほぼ失われ、冷め切った食事が提供される。もちろん命にかかわることだからと、配慮されているのだから、文句を言ってはいけないが、まったくおいしくない」


それはまずそうだ。

はっきり言って残飯食べさせられているようなものだよね。

ここの王様、大変だ。


「わかりましたよ。・・・メイちゃん、作ってきてあげて」

「かしこまりました」


イッセーシュリンプを取り出して、渡す。

三十尾ほどでいいよね。

あと、トライデントタウロス。

もう、肉の塊だけど。

祭りで使って、プラム郷にも置いてきて、さらに残ったからね。

今年は食べつくす人たちも、そんなにうえてなかったようだし。


しばらくたわいない話、というより、おっさんの愚痴を聞いていると、おいしそうなにおいが漂ってきた。

様々なイッセーシュリンプの料理が、こたつテーブルに所狭しと並べられる。

ご飯の時間だから、いいよね。


「ここには毒見いないからね」

「おお!いいただこう」


焼いただけのイッセーシュリンプを、強引にわしづかみして、食べ始めるおっさん。

熱い!とか言っているけど、嬉しそうだな。

私は自分の一人前を食べ終わるころには、おっさんのおなかの中にのこりが全部入ったようだ。

シュリンプのからしか残ってないよ。

肉も何枚食べたのか。


「そんなに飢えているの?」


王様なのに?


「うまいものは、いくらでも入る。気を使って食事するよりも、こうしてたくさん食べるのは、いつぶりだったか。サカイと戦場を回っていた時は、食料の取り合いもしたものだ」


朗らかに笑いながら話しているけど、何やっているんだ、あのおっさんもこのおっさんも。


食後のデザートに、メイちゃんがケーキを持ってきた。

イチゴではなく、プラントルビーが乗っているし、間にもプラントグレープが挟まっている生クリームのショートケーキだ。

ナッツも入っているな。


「こ・・・これは・・・」


おっさんが目を見開いているけど、私は食べる。

イチゴショートも食べたいなあ。

うん。

ブドウのショートケーキもおいしい。


「こ・・・こんな貴重なものを」

「嫌いなら食べなくていいよー」

「いや、いただく」


おいしいものを食べているときの顔って、おっさんでもいいものだね。


「ほかの家族にも、こんな温かくてうまいものを食わせてやりたいものだ」

「一気にはお断りだけど、奥さまくらいは連れてきなさいよ。うちなら、いるときは、ごちそうできるし」

「いいのか?」

「私はプレイヤーだからね。毒で国王暗殺なんてしないよ。するなら、国全部ぶっ壊すって」


手を振りながら言うと、そうだなって、おっさん納得。

いやいやいや。

納得すんな。


「お嬢さま、お客様です。・・・サカイ様です」

「ああ、こちらに通して。・・・ケーキも出してやって。私と王様の分も」

「かしこまりました」


下がりながら、そっと、強力消臭剤を部屋のすみにおいていくシツジローくん。

いい配慮だわ。

寒いから、窓開けたくないしね。


サカイ様も来て、ケーキとお茶で、三人で会話。

というか、王様がサカイ様に怒られてる。

なんだこれ。


午後もそろそろ陽がくれるころに二人が帰っていったけど、大丈夫なのかな。

小さなポーチ型のバッグに、ちょっとしたバスケットほどの空間魔法を付けて、プラントルビーのショートケーキをワンホール入れて、王様に持たせる。

サカイ様にもだ。

こっそり、家族と食べてくださいね。


しかし、おっさん臭がひどい日だったなあ。

疲れたから、寝よう。


運営さん、おやすみ。

お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。

誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。


不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。

「追放王子と生態系調査人」


https://ncode.syosetu.com/n4898ho/


不定期すぎて、更新はいつとは言えません。

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