124~冬が来た~
お読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、王国祭の前の時期にまた来ています。
秋の収穫も終わり、いつの間にか乾季も終わり・・・
秋だったのかな?
プラム郷は、ちらほらと雪が降ってきた。
拠点はもう、真っ白。
プラント母さんは二話でおとなしくしているし、シリウスもしーちゃんもベヒーも家の中でおとなしい。
ウーマは、雪関係ないのかな?
一度拠点の森の生態を見に行かないといけないかもしれないよね。
私は言うまでもなく、温かい家の中から動く気はないです。
しかも、プラム郷はもう寒いから、王都中央部の家の中。
プラム郷は年寄りが多いので、プラム郷の住人の家にも、今年はこたつ。
椅子で座るタイプのやつね。
選択などもお湯が使えるので、住人たちは喜んでいるし。
あとは、乾燥機が欲しいところだわ。
そろそろ王国祭の時期だと思う。
王都中央部に雪が降るのはもう少し先かな。
でも、そろそろ、アズキをもってあのおばちゃんがやってきているはず。
・・・こたつから出るのは難しいよ。
こたつは悪魔だからな。
でも、アズキのために、私は頑張る。
「メイちゃん!出かける準備!」
「かしこまりました」
ああ。
メイちゃんもシツジローくんも、暑さも寒さも感じないのかもしれない。
市場は、ちらほらと王国祭のために来ている人たちが見受けられた。
アズキのおばちゃんの店は・・・あったー。
「おばちゃん、シルコ全部頂戴!」
開口一番、だれにも渡さないよ。
「おや。去年も来たお嬢ちゃんじゃないか。お嬢ちゃんのおかげで、去年は、いつもよりいいものが買って帰れたよ」
「そ・・・そう。よかったわ。それよりおばちゃん、シルコ・・・」
よく見たらできてない。
というか、おばちゃんまだ、ここに来たばかりっぽい。
「今年はまだ作る前だったけど、どうする?全部買っていくのかい?」
「作る前!材料のアズキ・・・えっと、赤豆?ちょうだい」
「はいはい。去年よりも持ってきたよ。そうそう。お嬢ちゃん、もしよかったら、赤豆の種もあげるから、蒔いてみな」
ここでは売れないのを見越して、まだ来てすぐだが作っていないという。
あの味だと売れないしね。
「おばちゃん、ありがとう。・・・お礼に、本当の汁粉のレシピ教えるから、来年は作って売ってほしいわ。今年は、私が全部買い占めるから」
金貨の入った袋を出す。
今年は白金貨を崩してきたよ。
おばちゃんも大変だろうし。
種もあるっていうから、白金貨二枚分。
これで集落でアズキができるわ
「またこんなに・・・お嬢ちゃん、無駄遣いはいけないよ?」
「大丈夫。それよりおばちゃん、ここの露天今日で店じまいになっちゃうでしょ、いいの?」
というか、もう店じまいよね。
きて、店開ける前段階で、もう必要なし。
場所代払っているだろうに。
「ああ、そうだねえ。今日の場所代は払ってあるから、どうしようかね」
「それならさ、レシピ教えるから、ここで作ろう」
私じゃなく、メイちゃんだけどね。
今日使う分だったくらいは、還元してあげよう。
「いいのかい?」
「もちろん。この王都中央部の人たちにも、シルコの美味しさ知ってほしいよね。私の故郷の味だし」
「ああ、そういえばお嬢ちゃんは、プレイヤーさんだって言ってたねえ。・・・じゃあ、たのもうかねえ」
「今年は私が出資ということで、きている人たちにタダで配って、来年は買ってもらえるようにしよう」
閑古鳥だものね、去年。
「ありがとうね」
「というわけで、メイちゃん。汁粉のレシピ、教えるのよろしく」
「かしこまりました」
「私は出来上がりそうな時間になったらまたくるね。それまで、シツジローくんと見回ってくる」
「いってらっしゃいませ」
さて。
寒いから、早くお汁粉できないかなあ。
あ、武器屋のおじさんだ。
今年も農具売っているけど。
ここに、定期的に農具は買いに来ることにしてる。
「こんにちは」
「おう。嬢ちゃんか」
「人が増えてきたから、春になったら、農具がたくさんほしいの」
「ああ…、それはいいのだがな、最近材料が乏しいんだよ」
聞くと、仕入れ先の材料が、不足し始めているのだという。
鉱山が枯れているのだろうとのことだけど・・・
「そっか・・・」
「だから、今は大量の注文は受けられねえんだ。すまねえな」
「いいよ、仕方ないです。またお願いね」
そういうこともあるよなあ。
ほかも探さないと。
・・・プラム郷のドワーフさんは、やらないかなあ。
住民たちだけじゃ、冒険者さんの武器の手直しだけで精いっぱいだものね。
困ったわね。
しばらく見てから戻ると、ちょうどお汁粉ができてた。
さむいから、すぐにもらって食べ始める。
「甘くておいしいー!」
しかも暖かいから、体がほかほかになるわ。
周りの人にも配る。
おばちゃんの汁粉のまずさを知っている人たちは最初警戒してたけど、今回は、メイちゃんがきちんとレシピを伝授したから大丈夫よ。
みんな、おいしいって食べてくれて、あっという間に鍋が空になった。
おばちゃんの出店はこれでおしまいだから、食べたい人は来年までお預けね。
「ありがとうね、お嬢ちゃん」
「来年もいっぱい持ってきてね。また、全部買うから」
「まあ、ありがとうね」
おばちゃんと別れて家に帰る。
王国祭はまだだけど、プラム郷はもう雪が降っているし、今年もごちそうふるまおう。
ま、今日はまだ、寒いから外出しないで、こたつで寝るけどね。
おやすみなさい。運営さん。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
ちなみに、おばちゃんへの汁粉のレシピは、きちんと書き記して、読めることも確かめてから渡してあります。
おばちゃんには感謝されてます。
缶の汁粉もうまいよね。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
https://ncode.syosetu.com/n4898ho/




