122~冒険者『鋼鉄の腕』~
いつもお読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、エイトが言っていた冒険者とあっています。
エイトとビートとマークとナナが来た。
あと、鋼鉄の義手っていう、冒険者もだ。
「いや、鋼鉄の腕、だよ、ねーちゃん」
「うん?」
何か間違っていたかしらね。
「俺は、『鋼鉄の腕』のリーダー、スヴェンだ。後、仲間の、ジャスミン、フェロール、ネコピンだ」
「初めまして。わたしがアイリーンです。義手さんと、まりかちゃんと、フェローさんと猫さんね」
「・・・ねーちゃん・・・」
エイトが何だか、残念なものを見る目で私を見てくる。
<アイリーンは、もしかしたら、誤変換の特性があるのかもしれないな>
運営さんの声もする。
何か間違ったのかしら。
しかも、エイトが義手さんたちに何か言っているし。
四人も残念な顔してみてくるし。
なによ、もう。
義手さんは、剣士っぽい格好してるおっさん。
まりかちゃんは、若い、といっても、私の見た目よりは年上なのかな。魔法使いなのかな、ローブが似合う美人さんだ。
フェローさんは、無口そうなずんぐりむっくりさんだ。
猫さんは・・・猫の獣人なのか。愛嬌のある顔している猫だ。
「と・・・とにかく、エイトの世話をありがとう。これからもよろしくね。…これお礼よ」
作ったマジックバッグを渡す。
全部同じ型だけど、大丈夫でしょう。
「おいおい・・・これくらいでもらえるものじゃないぞ?」
「いいのよ、お礼。それにまだ、これから、ビートやマークもお世話になるだろうし」
ちょっといいものは先払いよね。
「・・・わかった。いや、俺たちも、若いころはジェヌさんにお世話になったからな、それの恩返しもある」
「ジャムさんの知り合いだったんだ」
「駆け出しのころ、いろいろ教えてもらったんだ。ジェヌさんが引退した後は、かかわりがなかったけど、ここにギルドができたので、訪ねてきたんだ。あまり難しい依頼は受けられないけど、ここに落ち着くつもりでもいるしな」
どうやら、プラム郷の専門冒険者になってくれるようだ。
うれしい。
「それじゃ、プラム郷にすむ場所作らないとね。宿ばかりだと大変でしょ」
「あー・・・まあ、でも、家を建てるほど稼いでいるわけでもないしな・・・」
「プラム郷の冒険者に、家くらい提供でいなくて、プラム郷の責任者にはなれないわ」
まあ、責任者になる気はないんだけども。
「数日待ってね。住民のほうに家を用意するから」
「え・・・いや、あの・・・」
「えー、ほんと!やったー。宿代浮くの?」
「もちろんよ、まりかちゃん。内装はメイちゃんに相談してね」
若い人が増えたわ。
「でも、プラム郷の仕事もしてもらうけど、大丈夫かしら?」
「ああ、それは、大丈夫だ。どこかに落ち着くということは、そこにあわせるのも当然だからな」
ここは田舎だからね。
溶け込むには住民と仲良くなってもらわないとね。
でも、ジャムさんの知り合いなら大丈夫だわね。
「今は宿に泊まっているんでしょう?家ができる間は、ただにしてもらうから」
シツジローくんのほうを振り返ると、一礼して去っていく。
いちいち言わなくても察するのが、うちの子たちよね。
「そんなそこまでは・・・」
「いいじゃん、リーダー。余分な金は使わないのが、冒険者にゃんだぜ」
おお、猫さん、いいこと言うね。宵越しの鐘を持たないのも冒険者だけど、締めるとこは締めないとね。
しかし、フェローさん、一言も話さないな。
ぼんやりしているっぽいし、大丈夫かな?
四人は宿に戻るというので、ここで分かれた。
ちみっこたちは、ここに残っている。シツジローくんも戻ってきた。
「そうだ。エイトとビート、マークにナナも。これをあげるわね」
同じマジックバッグを渡す。
でも、四人のは、名前入りだ。ナナのは、女の子っぽく、レースも縫い付けて可愛くしてみた。
「中には、メイちゃんがお菓子いっぱい入れてくれたからね」
「わあい。メイおねえちゃんのおかし」
ナナは純粋に喜んでくれる。
いいことよね。
「え、ねーちゃん。オレ、前にもらったのがあるよ」
「前にもらったのも使えばいいじゃない。中にいれておけば、臨時バッグで使えるでしょ。マークにも、中に、エイトとビートと同じサイズのバッグ入れておいたからね」
「「「やったー」」」
「ナナのはー?」
「ナナのは、かわいくしたからいいでしょ?」
「わあい」
ナナは理解してないからいいか。
中からお菓子取り出して食べ始めているしね。
食いしん坊め。
かわいいな。
「このおさるさんはボス?」
「ボスだけじゃなく、プラム郷にいるキドナップバブーン全部かな。ああ、でも、ボスでもいいよね」
「ボスはねえ、ここのあたまのけが、ちょっとだけたってるの」
ナナが地面にボスの絵を描く。
うまいな。
そして、ボスの頭にバランみたいな毛を書いた。
そういえば、ボスって、こんな頭してたな。
ボス自体が見分けつくから、そんなに気にしたことなかったな。
「ちょっとカバン貸して」
四人のカバンに、メイちゃんとシツジローくんが毛を付け加える。
私はやらないよ、もちろん。
いやあ、ほんと、メイちゃんもシツジローくんも仕事は早いね。
この四人用のオリジナルマジックバッグだ。
「おじょうさま、ありがとう」
「ねーちゃん、ありがと」
ビートもマークもうれしそうだ。
エイトはもう使うけど、二人はまだ本格的に使うものじゃないけど、うれしいんだろうな。
「大きさは、義手さんたちと同じだから、いっぱい入るからね」
「ねーちゃん、オレ、頑張って、プラム郷まもるね」
エイトがはにかみながら言う。
ほかの子たちも、自分もだという。
なんだ、この、かわいいちみっこは。
「お願いね」
早くこの四人が大きくなあれ。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
アイリーンは神父さんの存在、忘れているわけではありません。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
https://ncode.syosetu.com/n4898ho/




