105~スズラン~
お読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、プラム郷にいます。
最近は、王都の家に帰らせていないな。
スズラン専用の武器ができて、プラム郷に向かう。
そういえば、いつまでサカイ様もスズランもいるんだろう。
ついてきた人たちも、宿でのんびりしてる。
森の魔物も狩ってくれているけど、ここでは換金できないんだよ?
街のほうに戻るときもあるんだろうか。
スズランは、宿にいる。
サカイ様もだ。
「スズランー、武器できたわよ」
離れの部屋を一棟かしきっているらしく、そちらに行けば、すぐにスズランがサカイ様と出てきた。
サカイもいる。
「ししょう!ほんと?」
喜んでいるね。
「ほんとよ」
「やったー」
どうでもいいけど、入り口で話すことじゃないんだけどな。
「アイリーン殿、こちらに」
さすがサカイ様。
気遣いできる紳士。
かしきられている部屋は、最上階だ。
部屋のソファに座ると、サカイ様のおつきのものが、お茶を用意してきた。
でも、テーブルは今から使うので、置くのやめてほしかったよ。
「スズラン、これがあなたの武器よ」
スミロドンのグローブにアダマンタイトのナックルが付いた、スズランの花の刺繍をしたナックルグローブ。
弟子であるスズランのために作った逸品だ。
私としては、あまり得意じゃないのだけどね。
あと、スライムグローブ。
スライム核石を作るためには必要。
これは、サカイに上げたのと同じ、回数制限あり。
「わー。ありがとうございます、ししょう」
早速両手にはめている。
「でも、これもいいものすぎるー」
「そう?あなたにもこれくらいは扱える人になってもらわないとね」
「わかったわ。がんばる」
年相応の少女みたいにうれしそうだ。
作ってよかったわ。
「でもこの花の刺繍は?」
「スズランでしょ」
「???」
いやいやいや。
あなたの名前でしょうに。
「私が説明いたします」
一緒に来ていたメイちゃん。
「この花は、プレイヤーの国では、スズラン、と呼ばれているものです。そして、ミュゲ様、ミュゲという名もまた、スズランの花の別名なのです」
一礼をしながら教える。
「えっ、そうなの!それじゃ、師匠が私のこと、スズラン、スズランいうのは、名前を間違っているわけじゃなく・・・」
「ミュゲ様の名前を、アイリーン様はなじみの花の名前として認識しております」
「そうだったの・・・」
ん?
いやいや。
だから、スズランでしょうに。
「よかったな、ミュゲ」
「はい、おじいさま」
先ほどよりうれしそうだな。
あ、そうだ。
「サカイ様にも、これを」
ミュゲにあげようとして断られたナックルグローブ。
「これは・・・」
「サカイ様に持っててもらうのがいいと思うの。これはね、スーベニア・サカイ作なの」
「「「えっ」」」
三人の声が重なる。
そんな驚くことかな?
「プレイヤー国にいたとき、スーベニア・サカイが、材料が足りないっていうから、提供したら、作ってくれたのよ。だから、正真正銘、スーベニア・サカイ作、ナックルグローブよ」
ゲームの中で、フレンドプレイヤーとは、物々交換が盛んだった。
ナックルだけじゃない、様々な武器が、交換された。
私は採取が好きだったから、材料提供が主だったけど。
「そんな貴重なものを・・・」
「あなたたちが、スーベニア・サカイの子孫だからこそ、渡すのが当たり前でしょう」
「ありがとうございます。アイリーン殿、家宝にいたします」
えー・・・
使ってくれるんじゃないのか。
それなら。
「サカイ様には、これもあげるわね」
スズランのナックルグローブと一緒に作ったほかのナックルグローブ。
あと、ミスリルダガー。
「なんと!」
「ついでに作ったものなので、どうぞお使いください」
使う人に渡すのがいいよね。
あ、そうだ。
どうせなら、ミスリルダガー、ここの住人分全部作るかな。
全員に渡せば、外に出たときのちょっとした護身用になるし。
そうと決まれば、これで、ここはいいや。
「それじゃ、帰りますね。やりたいことあるし」
「そうですか。アイリーン殿、ありがとうございました」
サカイ様が頭を下げる、
高位貴族って、王族以外に下げないんじゃなかったっけ?
よく知らないけど。
それよりも、ミスリルダガー作ろう。
さっさと帰らないとね。
今日も忙しいな。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
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