101~炉を使います~
お読みいただきありがとうございます。
居眠り女主人公、作業しています。
出てくる金属の使い方は、ガイア仕様なので、よろしくお願いします。
研磨がおわった魔法玉を、シツジローくんが受け取ってきた。
研磨の仕方は人によっての癖があるので、プレイヤーのドールとは違い、少々形が違う。
少し細長いほうがサカイのらしい。
これで材料としては、魔法玉はできた。
あとは、持ち手と鞘に使う木材と、刀身の金属。
何がいいかな。
やっぱり定番の、ミスリルだろうか。
「ねえ、運営さん、ミスリルならいい感じかしらね」
「魔法剣を作るのだったな。ミスリルはやめておきなさい」
「え?なんで?」
「ミスリルは聖銀だからな」
運営さんが言うには、ミスリルは、聖魔法や光魔法を使うには、魔力が発揮されるそうだ。
だがほかの魔法は、威力が半減されてしまうという。
この世界での性質らしい。
貴重な金属ではあるけど、魔法剣としては使えないのだとか。
納得できた。
それなら違うものにするかな。
幸い、金属類は、ゲームの時のアイテムが大量に残っている。
カンストまで集めるの好きだったし、腐らなかったからね。
空間魔法の中に眠っているし。
「これにしよう」
ついでにいくつか、ミスリルも取り出す。
魔法剣じゃないなら作れるらしいから、刃渡り30センチくらいのダガーナイフを10本ほど作っておこう。
まずは、炉の準備。
普通の炉としても使えるけど、錬金技術で使う時は、だいぶ違う。
というより、プレイヤーの使い方が、ゲームの時そのままなのだと思う。
炉の周りに結界はって、炉の中に魔力込めて、作るもの一つに対して、一つの紙に書いた魔法陣と、その材料を、炉の中にいれる。
なぜかゲームの時は何個も作れたので、どうやら、そのゲーム仕様が、残っているのだと思う。
炉の周りの結界の外から、さらに魔力を込めて、錬成が始まった。
一瞬でできればいいんだけど、そうもいかないみたいね。
なぜか、炉の上にタイマーが出てきた。
ゲームの時の仕様だ。
15時間と書かれている。
「・・・寝ようかな」
どうせこのまま掘っておけば、15時間後には、出来上がっているのだし、見ているのもつまらないし、ただ眠い。
近くに置いてあるソファに寝転ぶ。
ああ、やはり魔力を使った後の強力な睡魔には勝てないや。
魔力自体はたくさん残っているのだけどね。
おやすみなさい。
目が覚めたのは、二日後だった。
拠点のベッドの中。
メイちゃんかシツジローくんか運営さんが運んでくれたのだと思う。
炉の様子を見に行くと、出来上がったロングロードとショートソードの魔法剣、もちろんさや付きと、ミスリルのダガーナイフ。もちろんこちらも、入れ物付きだ。
抜き身は危ないからね。
さやの中は、同じ金属で加工されているから、さやが剣によって壊れることはない。
すごい仕様だよね。
ゲームってそこまで考えてのクオリティがあるものなのかな。
久しぶりに鍛冶作業したけど、やり切った感はもちろんないし、炉がすすで汚れているということもないから、掃除もなし。
材料も魔法陣も一緒に消滅しているから、残りかすもない。
ゲームやっていた時はエフェクト見た気がするけど、実際はこんなものなのかもね。
あとは、何で鎧を作ろうかな。
金属は重そうだし、やっぱり革鎧?
私たちプレイヤーはほとんど革鎧だ。
弱そうに見えるけど、使っている皮が高レベルの魔獣の皮だから、金属鎧より軽くて丈夫で防御力が高い。
グローブや靴も併せて、一式シリーズでそろえているしね。
シリーズ効果もある。
私のも、ベヒモス装備だしね。
ちなみに革鎧は裁縫スキルで作るので、炉は必要ないしね。
一気に作れるだろうけど、シツジローくんからサイズ聞いておかないとな。
魔法陣縫い込むのは手作業だけど、革鎧は錬金でできるものね。
それよりおなかすいたな。
グーっとなるおなかの音とともに、炉のある部屋の扉が開いた。
「お嬢さま、お目覚めですか」
「あ、メイちゃん。おなかすいた」
「食事のご用意はできております」
よかった。
さすがメイちゃんだよ。
それにしても夕方だったか。外は薄暗くなってきている。
晩御飯だな。
「運営さん、お待たせ」
「ようやく起きたようだな」
「まだちょっと眠いんだけどね」
「夜も近いからだろう」
なぜか夜になると眠くなる性質も持っちゃっているんだよね。
最近は夜更かしもできるようになったはず・・・だけどね。
それよりも・・・
「いただきまーす」
ああ、おいしい。
起きた後のご飯サイコー。
何もしないでご飯が出てくる生活ってホントいいわ。
「お嬢さま、私は再び集落へといってまいります」
「ああ、うん。あ、シツジローくんに採寸表持ってくるように言っておいて」
「お嬢さまの部屋においてございます」
そうだったのか。
気づかなかった。
「わかった。行ってらっしゃい」
運営さんと、他愛ない話しながらの晩御飯。
お風呂もできてるようだし、入って寝よう。
「運営さん、明日は、こちらにいるの?」
「いや。どうやら、先に雨季が来るようだ」
え?それって教えちゃっていいの?
まあ言わないんだけど。
「なのでまたしばらくは、向こうに詰める」
「わかった。早めに帰ってきてね」
「できる限りな」
しばらく会えないのはさみしいけど、この星のためだものね。
「おやすみなさい、運営さん」
「ああ、おやすみ」
目が覚めたら、革鎧をつくろう。忘れなければね。
お読みいただきありがとうございました。毎週水曜日更新しています。
誤字脱字報告、評価も、いつもありがとうございます。
不定期連載で、違うお話も書き始めました。興味があったら読んでみてください。
「追放王子と生態系調査人」
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