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ワールド・ガイア  作者: 水野青色
10/281

10~ウーマはどこぞの馬とはやはり違うなぁ~

拠点から出ました。

初めての人との遭遇です

今日はやっと馬車に乗って森を出る!

と、勢い込んで、やっと準備だ。


大きなクッション。

馬車の中の半分を占領する。

寝そべっても大丈夫だ。

他の荷物は、空間魔法の中に入れた。


「よし、しゅっぱーつ」


馬車はゆっくりと走り始めた。


おお、揺れない。

あの、お尻が痛くなる衝撃はないようだ。

しかも、このクッションの心地いいこと。

なにこれ。

眠くなるじゃないの。


「どこかに着いたら起こして、メイちゃん」


そのまま眠りにつく。

これこそが私の特性なんだろうし。


どれくらい寝ていたのだろうか。

きがついたら、馬車が停まっていた。


「ここは?」

「お目覚めですか、お嬢さま。森から出て、馬車で半日ほどの場所でございます」


どうやら、数時間程度ねていたようだ。

ウーマの速度なら、どこかの集落につくのに一日もかからないらしい、本来なら。


だだっ広い荒野だ。

まだ、先が見えない。

しかも夕方だ。


ウーマの休息と、途中の街道があったのかはしらないけどで、何かを轢いたらしいので、それをシツジローくんが、シリウス連れて確かめに行っているという。

そんなに遠くないとか。


魔獣なら、別にいいけど、食料になるし.

人なら、困ったことだ。

さすがのスレイプニル。

早すぎて何を轢いたかよくわからなかったようだ。

すぐに停めたのに、結構離れたという。


「お茶を入れました」


メイちゃんの危機感のなさにも困ったものだが、別にいいか。

私は困ってないし。

ウーマは走り出したくてうずうずしているようだけど、きちんと待っているし。


お茶を飲みながら、しーちゃんをもふる。

よくみると、ベヒーもいないようだ。


「ベヒーは?」

「ベヒーは、兄貴についていったにゃ。邪魔になるといったのに、ダメ毛玉にゃ」


しーちゃんは幾分か機嫌悪そうだ。ついていきたかったんだろうけど、シリウスに来るなと言われたそうだ。

なのに、ベヒーがついていったのが気に入らなかったようだ。


「しーちゃんはかわいいから、シリウスも心配だったんだよ」


適当なこと言っておく。

しーちゃんの機嫌が直った。

乙女だなぁ、オトコの娘だけどw


お茶に出されたお菓子をほおばっていると、シツジローくんが帰ってきた。

よくみると、人を連れている。馬車のようだ。でもぼろい?

元来の私は、ものすごい人見知りがある。

家族以外とは話したくもない。


「お嬢さま、よろしいでしょうか」


馬車の外から声をかけられた。

仕方ない。

出るか。


「・・・初めまして。この者の主人で、アイリーン・プラム・シュガーともうします。どなたか存じませんが、何か粗相でもありましたか」


一応、礼儀として、頭を下げ名乗る。


相手の見た目は、商人と護衛なんだろうか。なぜか、相手の馬車を、シリウスが引いてきた。


「い、いえいえ、とんでもない。粗相なんて。こちらこそたすけていただいて、ありがとうございます。申し遅れました、私は、王都で、商いをしています、ジューノともうします」


ジューノさんとやらが頭を下げてきた。

恰幅のいい獣人の商人さんだ。いいもの食べているんだろうな。

護衛さんたちもなかなかいい体格だ。いろんな種族の人たちがいる。

護衛だからある程度は鍛えないといけないんだろうな。


とりあえず、外で立ち話も嫌なので、メイちゃんにテーブルセットしてもらい、座ってもらう。

お茶も出した。


ジューノさんの話を聞くと、どうやら交易のために隣の国に行っていたらしい。

そして。国境の森を通って、帰る途中に、盗賊に襲われたとのこと。

護衛が何とか戦っていたが、さすがに相手のほうがおおく、何人かの護衛と、馬車を轢いていた馬が大けがを負ってしまい、、それでもと応戦していたところに、私の馬車が魔獣と盗賊だけひき殺して、去っていったそうだ。


道理でよく見るとウーマの足が赤くなっていると思ったけど、そういうことだったのか。

それより、ウーマは、盗賊とそうでないものの区別がつくのか?

やはりスレイプニルには特別な何かがあるのかもなぁ。


「お嬢さま、盗賊や魔獣はともかく、けがをした方々はこちらに連れてこられませんでしたので、ベヒーを置いてきました。なので、一度そちらにもどっていただかないといけないようです」


助けが必要ということか。

仕方ないか。


「わかりました。メイちゃん、ここ片付けて。今からそこに行きましょう」


めんどくさいことになったけど、人助けだな。

この世界で初めてのかかわりもつ人だし。

シツジローくんもメイちゃんも優しいから、見捨てないだろうし。


「護衛さんと、シリウスは、メイちゃんとここで待ってて。ジューノさんつれて、行ってくるわ。シツジローくん、案内して」


ウーマならすぐだろうし。


「し・・しかし・・・」


護衛さんが焦っている。

シリウスにおびえているようだ。別に怖くないのに。

まぁ、馬車ひかせている時点で機嫌悪いかもだけど。


「何か問題が?」


もう馬車は外されているので、シリウスは寝そべっている。

メイちゃんがブラッシングしているから、すぐに機嫌は治るだろうし。


なぜかまだぶつくさ言っているけど、さっさと行こう。

ジューノさんを馬車に乗せて、シツジローくんの御者で去る。


ジューノさんは馬車の中を見て驚いていた。

まぁそうだよね。

半分はクッションなわけだし。

揺れがほとんどないのにも驚いていたけど、聞かれても答える気はなかった。


数分もしないうちに現場へ着いた。

うん・・・

スプラッタだ…

苦手なんだよなぁ…


ベヒーが大きいサイズになっていて、盗賊やら護衛さんやらをにらみつけている。

まぁ、ベヒモスだしね。


ウーマのやったことだろう。

魔獣はつぶされ、盗賊?も大けがしている。

もしかしたら護衛の方かもしれないけど。


「ジューノ様、ご無事でしたか」


けがを負っている護衛らしき人の一人が、ジューノさんに話しかけている。

怪しい小娘を連れて戻ってきたと思っているのだろう。

おい!どういう意味だ。

うちのものが何かするっていうのか?


「大丈夫だ。こちらの方が助けてくださったのだ。アイリーン・プラム・シュガー殿だ」


紹介されたので、名前だけ名乗っておく。

とにかく、けが人やけがをした馬をどうにかしないといけない。

護衛たちはけがをした馬はもうだめだからと、安楽死させようとしていたようだ。


護衛見捨てて、馬だけ助けようかな。


「シツジローくん、これ、馬に振りかけて」


空間魔法から、特級ポーションを取り出す。

この惨状から見て、これが一番効くだろう。

大けがも治るし、何より体力も魔力も全回復する。

死んでしまっているものは生き返すことはできないけどね。

プレイヤーの世界ではこれ以下を持っているものは、はっきり言って新人と同義語だった。

簡単に作ることができたのだ。


まぁただの在庫過剰だから、使うだけなんだけど…

というか、これより下のポーションなんて、今じゃ持ってないしね。


「ジューノさん、あなたの護衛さんってどちら?」


護衛も盗賊も同じに見える。冒険者装備だし、見分けつかないよねぇ。盗賊特有の何かがある人以外は。


そちらにも特級ポーションを振りかけた。

すぐに治ったようだ。

しかし、シリウスが引いてきた馬車以外は、馬車の軸から壊れている。

さすがの私でも、馬車は直せない。

馬に括り付けても、持っていけるようなものじゃないようだ。

シリウスが引いてきた馬車の中身は、無事だった品物だけ入れたらしい。


「命があっただけでも良かった。また取引に行けばいい」


ジューノさんは、この荷物を捨てていくようだ。

確かに、壊れた木箱の中身とか、もうだめだろうしな。

持っていけないし。


「何を取引していたんですか?」

「香辛料です。こちらの国は塩をもって向こうへ。代わりに胡椒や砂糖を手に入れてきます」


なんと!

私が求めているものがここにあると?


「そこの持っていけない荷物、私が買い取りましょう。いくらですか」


馬車三台分の、砂糖と胡椒とオリーブ油のようだ。

私は香辛料や調味料を求めて、出てきたんだしね。


「いやいやいや、そんなわけにはいきませんよ。それにこんなに多い荷物、どうにも入らないでしょう」


幌馬車にはね。


「大丈夫です、売ってください」

「そうですか…でも命を助けていただいたのです。これでよければ差し上げます。それに先ほどのポーション、あれはすごいものだとわかりますから。こちらからお題を払わねばならないくらいです」


ほんとに!

やったね。ただで香辛料とかゲットだよ。


「ポーションの代金として受け取っておきます。まだ生きている盗賊は・・・どうするんですか?」


ここで息の根止めてもいいんだろうけど、どうしよう。


「一番近い町にいる衛兵に引き渡します」

「どうやって連れていきます?」

「歩かせます。自らの罪がわかるでしょう」


なるほど。

確かにまだ先の街に、大けがのまま歩かせるのは相応な罰だろう。

でも途中で死んじゃったら困るでしょうし。

仕方ない。


「ちょっと待っててください」


馬車に入って、錬成道具を取り出す。簡易版はいつでも空間魔法に入れてあるのだ。

下級ポーションを作り出す。

下級でも、けがは治る。

体力も一割くらいは戻るのだ。


生きている盗賊分だけ持って、外に出る。


「これをどうぞ」


ジューノさんに渡して、盗賊に飲ませるように言う。

本来、ポーションは振りかけるものだ。

飲むと激マズらしい。飲んだことないけど。

ジューノさんは意味を悟ってか、生きている盗賊の口にポーションを流し込むように、護衛さんたちに言っていた。

あまりのまずさに悶絶する盗賊を見て、絶対に飲むまいと決めたよ。


荷物を壊れた馬車ごと空間魔法に突っ込んだら、さっさとこの場を去る。

盗賊たちも馬車に括り付けて連れていく。

ちょっとくらいの風の抵抗があったって、大丈夫でしょ。慈悲なんてないよ。

みんな待っているし。

すぐに合流した。


夕方になっていたので、この日はここで野営だ。

ジューノさんたちも休ませなければいけないしね。


メイちゃんの料理を、彼らにも分けつつ、いろいろと王都までのことを聞いた。

王都まではひと月以上かかるそうだ。

その間に、香辛料を売りさばきながら上京するのだという。

大変だなぁ。


それよりは私はもう眠い。


「盗賊さん、逃げようとしたらうちの仔たちが襲い掛かるよ」


とりあえず逃げないようにくぎを刺しておかないとね。

ベヒーにおびえているようだし、好都合だわ。


運営さん、今日は一日疲れた。

おやすみなさい。













グダグダしてます

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