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第六話「プレゼント選びの手伝い」

 圭太郎は自分には努力がまだまだ足りないと思っていた。

 沙耶に告白するのはかなり後だろうとも思っていた。


 この日の昼もいつも通り部室へ向かった。


「あ……部長、こんにちは」

「あら、こんにちは。松永君、随分変わったわね」


 圭太郎が部室へ入ると、そこには三年の先輩であり部長でもある女子生徒がいた。

 圭太郎は不思議に思う。いつも同じクラスの彼氏と食事をしていると聞いたことがあったからだ。


「部長、彼氏さんはどうしたんです。ケンカしたんですか?」

「いいえ、彼は今日休んでいるの。風邪だってさ」


 部長は尋ねる圭太郎に答え、彼氏の体調が心配だと沈鬱な表情を浮かべた。


「クラスに友達は……ああ、ここに来た俺が言うことじゃないですね」

「その通りね」


 圭太郎は自分の発言を反省し、それを見た部長は苦笑し答えた。そして話を戻す。


「友達はいるわよ。でも普段いないのにグループに混ざるのって、少し気まずいじゃない。相手にも気を使わせそうだし……、そう思って部室へ来たの」

「なるほど……」


 沙耶と離れたい一心だった圭太郎は、部長の言葉に納得した。そして沙耶のことが大丈夫か、一人ぼっちになっていないかと心配になった。しかし改めて考えてみると、沙耶は気が強いし、社交的で友達が多い。問題ないだろうと思い、その心配はすぐに失せた。

 今度は部長が圭太郎に聞く。


「松永君はどうして部室に?」

「いやー、ちょっと……」

「……? 言いたくないなら別にいいけれど」


 できれば説明したくないと言葉を濁す圭太郎に、部長は不思議そうな顔で言った。

 二人は箸を進めた。そして弁当を食べ終わると話す。


「ごちそうさま。私はコーヒーを飲むけど、松永君はなににする?」

「俺もコーヒーで……ああ俺がいれますよ」


 圭太郎は二人分のコーヒーをいれた。


「はい、どうぞ」

「ありがとう」


 圭太郎はコーヒーを部長の前に置き、自分の席にも置いてイスに座った。

 二人してコーヒーをのんびりと飲む。

 穏やかな時間が流れた。


「そうだ松永君」

「なんですか?」


 部長がふと思いついたように言った。

 圭太郎はなにかと尋ねた。


「彼氏の誕生日が近いんだけど、なに送ろうか迷ってるの。買い物付き合ってくれない?」

「いいですよ」


 部長の頼みに圭太郎は快く応じた。


「それじゃ頼むわね。早速、今日の放課後でいいかしら?」

「はい、いいですよ」

「じゃあ、校門で待ち合わせをしましょう」

「分かりました」


 こうして圭太郎は部長と出掛けることになった。



 放課後、玄関で靴を履き替えた圭太郎は校門へ向かった。

 待ち合わせ場所のそこには既に部長が来て待っていた。


「お待たせしました」

「大して待ってないわ、行きましょう」


 二人は連れ立って歩く。それを沙耶は見ていた。

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