表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

第四話「どうしよう」

「圭太郎、お昼だけど一緒に食べない?」

「……ごめん。俺、部室で食べるから……」

「……分かった」


 午前の授業が全て終わり昼休みに入った。

 沙耶は登校時と同じように避けられると思ったのか、不安げな表情で圭太郎を昼食に誘った。

 普段は二人で昼食をとっているのだが、圭太郎はその誘いを断った。

 沙耶が不満気に返事をする。

 気まずくて沙耶と離れたい圭太郎はかばんから弁当を取り出し、クラスメイト達の好奇の視線を浴びながら、入部している文芸部の部室へ向かった。


 圭太郎が部室へ入った。部室には他に誰もいない。

 文芸部には部員が圭太郎を含め五人いる。しかし四人は幽霊部員だった。


 席についた圭太郎は弁当箱を開けた。その中にはふりかけご飯やから揚げ、アスパラのベーコン巻きやサラダなどが入っている。自分の好物が多い、しかしあまり食欲は沸かなかった。だが食べなければ母に悪いし、ちゃんと食べると言ったのだから食べなければと箸を進める。


 そして弁当を食べ終わった。

 食後のコーヒーを飲むことにする。

 ここには紙コップや電気ケトル、インスタントコーヒーや紅茶や緑茶などのティーバッグもあった。顧問はこのぐらい別にいいかと黙認しているどころか、自分も偶にこれらを飲んでいる。

 圭太郎はふと、寂しいと思った。



 沙耶は朝と昼にショックを受けた。圭太郎が自分を避け始めたからだ。

 しかし時間が経つにつれ沙耶は腹が立ってきた。圭太郎の告白を断ったことに罪悪感はある。だが恋人の関係になるなど考えたことがなかったし、仕方ないだろう。今までずっと一緒に過ごしてきたのに、幼馴染の縁はあれだけで切れるのかと憤慨していた。


 授業が終わると帰りのホームルームがある。それが終われば放課後だ。

 沙耶は圭太郎としっかり話をしなければと意気込んでいた。机の中の物をかばんに入れている圭太郎の元に大股歩きで向かう。


「ちょっと圭太郎。話があるわ。一緒に帰りましょう」

「……分かった」


 沙耶の提案に圭太郎は頷いた。一度しっかり話をするべきだと思ったのだ。

 二人は帰路についた。



「あのさ、昨日のことは悪かったと思うけど、露骨に距離を取りすぎでしょう!」

「……ごめん」

 

 怒鳴る沙耶に圭太郎は謝った。


「いいじゃない、幼馴染で」


 詰め寄る沙耶に、圭太郎は考えて言う。


「……沙耶」

「なに?」

「ほんとに気まずいんだ。しばらく話し掛けないでくれ、ごめん!」

「あ! ちょっと!」


 圭太郎は沙耶に告げると自宅へ駆け出した。



 翌朝、圭太郎は支度をして自宅を出た。

 少し歩くと沙耶の家が見えてきて、通り過ぎた。



「おはよう」

「おはよ」


 圭太郎は教室に入り友人と挨拶を交わした。

 そして自分の席へ向かい、かばんを掛けイスに座った。


 少し時間が経つと沙耶が教室へ入ってきた。頼み通り圭太郎に話し掛けない。しかし圭太郎をにらんでいる。

 圭太郎はそんな沙耶から目をそらした。



 昼食は昨日と同じように部室でとった。一人静かに弁当を食べた。


 今日ずっと沙耶は不機嫌で、偶に圭太郎をにらんだ。

 その度に圭太郎は顔をそらした。



 ようやく放課後になった。

 圭太郎は自分をにらむ沙耶を尻目にそそくさと教室を出て、今日は部活に行かないことにし帰宅した。これからどうしようと考えながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ぐお……あとで4話以降読もうと思ってたら気付いたら消えてた…笑 更に良きものとなって帰ってくるのを期待して待っております!、
2019/12/21 22:12 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ