第二話「憂鬱」
ベッドの中の圭太郎は朝から憂鬱だった。昨日沙耶に告白して、振られたからだ。今日は月曜だ、学校に行かなければいけない、でも行きたくない、沙耶と会いたくないとうじうじしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「圭太郎、起きなさい」
「……起きてるよ」
圭太郎は母に答えた。声を出すのが面倒くさいと思った。
「じゃあ早く下りてきなさい。遅刻するわよ」
母はそう言って、階段を下りて行った。
「……よし、行こう」
これ以上寝転んでいては母に怒られてしまうと、圭太郎は急いで制服に着替えた。
「あら、やっと来たわね。おはよう」
「お兄ちゃんおはよー」
「おはよう……」
圭太郎は母と妹に挨拶を返しながら体がだるいと思った。
「……どうしたの? 随分調子が悪そうね」
「ちょっとね……」
母は心配そうな顔をしている。しかし圭太郎は、心配されたってどうにもならないと思った。
「沙耶お姉ちゃんに振られたとかじゃないのー?」
「ぐっ」
にやにやした妹のクリティカル攻撃に圭太郎は思わずうめく。
「……え?マジで?」
「あんた沙耶ちゃんに振られたの?」
妹と母が驚いている。圭太郎が沙耶に振られるとは思わなかったのだ。それくらい二人の仲は良く見えた。
「……お兄ちゃん。元気出して!」
「そうよ。女の子は別に沙耶ちゃんだけじゃないわ」
妹と母が圭太郎を励ました。
「……そうだな……」
圭太郎はなんとか返事を搾り出した。




