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旧第六話「自宅で悩む」

 沙耶の心中は複雑だった。圭太郎と一緒にいたあの女は一体どこの誰なのか。昨日自分に告白したばかりなのにもう他の女とデートするのか。ふざけるな。いやしかし、圭太郎はそんな軽薄な男ではない。ないはずだ。後をつけようか。いやばれたら嫌われるかも、ストーカーみたいだしいけないことだ、などと考え帰路についた。



 沙耶は自宅に着き自室へ行くとかばんを放り、ベッドに寝転んだ。とても落ち着かない気分だった。メールを送ろうか、いや電話にしようか。ああでもほんとにデートなら邪魔しちゃ悪いかも。悩みぬいて、うまく喋れない気がするからメールにしよう。邪魔しないように夜送ろう、そう決めて夜までもどかしい時間を過ごした。



 夕食をとった圭太郎は自室で休んでいた。そして部長がプレゼントを無事買えて良かったと思っていると、スマホが振動した。

 圭太郎はスマホを手に取り確認した。沙耶からのメールだ。


『あの女誰? デート?』


 沙耶にしては文が短い気がする。いやそんなことを考えている場合ではない。誤解されたのか? 沙耶に見られる可能性を考えるべきであったと悔やみながら返事を考える。


『文芸部の部長だよ。彼氏のプレゼント選びを手伝っていたんだ』

「これでいいはず……」


 メールを送り一言こぼすと返信を待つことにした。

 そして少ししてまたスマホが振動した。

 誤解が解けていますようにと祈りながら、恐る恐る返事を見る。


『そうだったんだ! じゃあいいわ。また明日ね』


 俺の返事は正解だったらしい。心底安堵してほっと息をついた。

 そして、沙耶は嫉妬したのだろうかと考え、嫉妬ならいいなと思いながらメールで挨拶を返した。



 一方沙耶は、圭太郎の回答を読んで安心した自分に困惑していた。なぜ安心したのか。デートではなかったから? あの女に彼氏がいたから?

 デートかと考え苛立ったのだから、自分はあの女に嫉妬したのだろうか? それではまるで、私が圭太郎を好きみたいじゃないか。いや好きだけども幼馴染として好きなのであって恋愛感情ではないはず。

 悩み更に考える。自分はどうしたいのか。どうすればいいのか。他の女が圭太郎の彼女になるのを避けるには、自分が圭太郎と付き合えばいい。でも圭太郎の彼女? うーん、ぴんとこない。そもそも付き合ったら何が変わるのか。恋人同士ですること。デートか。映画を見て、食事をして、買い物をする。あれ、何度もしている。だったら既に恋人のようなものだった……?

 頭を抱え夜が更ける。

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