第一話「告白」
松永圭太郎には松田沙耶という幼馴染がいる。
沙耶はとても可愛い。整った顔立ち、弾ける笑顔、優しくて気さくな性格と魅力に溢れている。
彼女に平凡な俺は釣り合わない、そう思っていても圭太郎は沙耶が好きだった。
釣り合わないとしても、幼馴染として過ごした長い時間がある。それを信じ告白することにし、二人の家の近くにある公園に呼び出した。
「圭太郎。来たよー! 言いたいことって何?」
「沙耶……」
何度見ても可愛い。付き合いたい。でも本当に大丈夫かな、付き合ってくれるのか? そんな不安が圭太郎の胸中にある。
「どうしたの? 変な顔して」
「い、いや……えっと……」
圭太郎は顔を覗き込んでくる沙耶にどぎまぎした。言わなければいけない、その一心で勇気を振り絞る。
「さ、沙耶!」
「なーに?」
圭太郎は不思議そうな顔をしている沙耶に想いを告げる。
「好きだ!」
「私も圭太郎が好きだよ。……でもそれがどうしたの?」
これは伝わっていない! 圭太郎はなおも不思議そうな顔をしている沙耶に愕然とした。
「いや! 好きっていうのは……」
「いうのは?」
「幼馴染とか友達としてじゃなく……」
「なく?」
「男女としてなんだ……!」
「男女……。……え、それってもしかして……」
「好きなんだ……! 付き合ってくれ!」
言えた、圭太郎はそのことに安堵した。これで沙耶と付き合えると思った。
「……ごめん、圭太郎のこと、そういう風に考えたことない」
しかしだめだった。