兄の引きこもり前の悲しい話
優秀な妹に勉強、運動、顔、性格、すべて負けて引きこもってしまった、カズマ。
兄が好きな超優秀な妹ひなの。
カズマが無事学園生活に戻れるように、兄を誘惑!?
したり色々する小説です!
多分10話くらいで終わります。
俺は五十嵐カズマ歳は17歳引きこもりだ。
俺は頭はそこそこだったし、顔も普通だったと思う。それなのに、何故引きこもっているか?
それは……
2つ下の妹がいてそいつが優秀すぎるんだ……頭も良くいつも成績トップ、運動もでき、顔もいい、いわゆる完璧な妹だった。
中学2年の時、妹が俺と同じ学校に入学した、その時は何とも思ってなかったのだが、そこからが悲劇の始まりだった。
妹が入学してから1ヶ月ほどたった時、学校中にこんな噂が流れ出した。
(1年生に頭も良くて、かわいくて、運動もでき愛想の良い子がいると。)
どこから流れ出したのか分からないが、その完璧の女の子の兄が俺だと言う噂が流れた。
そして、今まで話した事なかった同じ学年の奴や他学年の奴らまで俺に話しかけてきた。
みんな、噂が本当なのか初めに聞いてきて、そうだと答えると妹の事を聞かれた。
家での事や、彼氏はいるか、好きなタイプ、最後には写真をくれと言う輩まで現れた。
他学年の女子からは、優秀な子の兄だから、かっこいいのだろうや、頭がいいのだろう、など噂が聞こえて周りからの期待の眼差しに押しつぶされそうだった。
どんなに努力して、勉強したり、運動しても、妹の方が上だった。
だんだん、周りの目が怖くなってきた、今でこそ期待の眼差しがいつかは変わってしまう……いつかは、みんなから俺は妹よりもダメな兄と言う認識に変わってしまう……
それは、嫌だ、一般的に兄は妹より優秀であるのが普通だ、俺も昔はそうだった。
だが、今は違う。
どっちが上なんて分からないのだ…
俺は下だった。差を少しでも縮めようとするが、逆に離されてしまう。
妹が陸上部の長距離をしてるという噂を聞いて、俺も同じ部に入った。
3年は引退直前だったが、努力した、沢山努力した、選手にも選ばれた、大会にも数少ないが出場した。
タイムは3年の中でトップ5には入るようになれた、それでも、妹には勝てなかった……1500メートルは俺は5分40秒妹は5分25秒…
俺は勝てないまま、部活を引退した。
勉強は勝ちたいと思い、先生に頼んで1年の5教科のテストを貰いやってみた。
2年前に習ったやつだったが、ほとんど解けた。これなら、勝てたんじゃ無いかと思った。
でも、勝てなかった。
俺は490点妹は500点もう勝てない。
俺は、部活を辞めても毎日走っていたが、やめて、勉強もしっかりして、医者になれるなどと先生に言われていたが、勉強も辞めた。
そのころには、俺の恐れていた事が起こった。
周りの奴は俺に話かけることも無くなり、学校で1人になった。元々友達は少なかったのに、勉強や運動をし始め話す事がなくなり、気づいた時には1人ぼっちだった……
廊下を歩いている時、周りが怖かった、俺の悪口を言っているのだろうか……まぁ、どんなに努力しても妹には勝てない、周りはそれに気づいてこいつは、努力しても妹に勝てない奴だ。
情けない、もっと努力すればいいのに。
そう、言われてる気がしていた。
そして、気がついたら家に居た。
布団にくるまって体は震えていた。外を見るとまだ昼だった、学校に戻らないと……でも、戻った所で何があるだろうか……
何もないな、もういいや。学校なんて行かなくていいや。努力しても俺はダメなんだ、もう嫌だ……。
俺は寝ようとした時、電話が鳴った。
俺は出るべきか悩んだが、学校だったらどうしよう、そう悩んでいるとなり終わっていた。
次は自分の携帯がなり始めた。
名前を見ると非通知だったが直ぐに出た。
嫌な予感がしたからだか……。
背中に冷たい汗が流れる、手汗も出る、スマホをタップするが手汗で反応しない、俺は苛立ちと焦りを感じ、力強くタップしたら反応した。
「もしもし、え……? ほ、本当ですか? い、今から向かいます。 妹にはもう電話してる? わ、分かりました。」
▼
私は五十嵐ひなの歳は15中学3年生。
私には兄が居るけど今はお家に引きこもっている……
私のせいだったのかな? 昔お兄ちゃんは人は努力すればするほどいい事がある、だからお兄ちゃんは沢山勉強してるんだぞ。
ひなのもお兄ちゃんと同じように沢山勉強してお兄ちゃんを超えてみたら何でも1つ言うこと聞いたあげるよ。
そう、言ってたよね…でも、ひなのがお兄ちゃんを勉強やスポーツをで越したらお兄ちゃんも頑張って努力してくれた……ひなの嬉しかった! だから、私もこっそり努力したよ。
そして、沢山競争して、ひなのが沢山勝って、ひなのの友達とかはお兄ちゃんの事を悪く言ってたからケンカしちゃった……
だって、ひなののお兄ちゃんをバカにしてたから……ひなのはお兄ちゃんが大好き何だよ?
ある日お兄ちゃんが渡り廊下を歩いるのを窓から見てたら、暗い顔してたよね? やっぱりひなのが悪かったのかな?
友達も言ってたんだ…兄は妹に勝っていないと変だって、ひなのちゃんはお兄さんに勝っててひなのちゃんがお姉さんみたいだねって。
「お兄ちゃん……」
ひなのは毎日お兄ちゃんの心配してるよ?
お兄ちゃんは私をどう思ってるかな?
いい妹って思ってくれてる? やっぱり嫌な妹かな? ひなのどうすればいいの……?
あれ? お兄ちゃんの様子が変だな……
荷物を投げ捨てて走り出した……どこ行くの?
「お兄ちゃん!!」
ひなのね気がついたら周りの目を気にしないで大声で叫んじゃったんだ…そしたら、周りのみんながひなのの周りに来て心配してくれた……
親友のさきちゃんが人混みをかき分けて私の所にきてくれた。周りのみんなは大丈夫? どうしたの!? お兄さんに何かあった!?
とかいっぺんに聞いてきて…それに、お兄ちゃんが心配で、どうすればいいか分からなかったんだ……さきちゃんは周りに大きな声で
「ちょっとあんた達うるさいわよ! ひなの困ってるじゃない!」
そう言ってくれて、うれしかった。
でも、周りのみんなさきちゃんがそう言った事あまり良く思わなかった見たい……
「うるせぇよ! お前には話してない、てか、お前の声が1番うるせぇよ!」
やめて、悪いのはひなのなの……
「そーだ! そーだ! お呼びじゃねぇよ!」
お願い、やめて、ひなのの……大事な人をいじめないで、
「てか、お前ひなのちゃんの友達ぶるなよ! ひなのちゃんのお兄さんでも狙ってるのか?」
やめてよ、やめて……ひなのの親友を、お兄ちゃんを馬鹿にしないで、さきちゃんは私の気持ちを応援してくれるって言ってくれたんだよ? そんな訳ないよ……
「そ、そんなつもりじゃない! あんた達はひなのの何を知ってるの!? 今抱えてる問題を解決してあげられるの?」
さきちゃん……みんな……お兄ちゃん……!
お兄ちゃん!そうだ、お兄ちゃんは!?
ダメだ……人が多すぎる…窓が見えない、お兄ちゃんどこに行ったんだろう?
「なんだよ問題って、知ったかするなよ!」
やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、
「言って見ろよ、おい! どうしたよ、言えよ、おい、言えよ!」
みんな、さきちゃんを責めないで、どうしてこうなるの? ひなのが悪いの? お兄ちゃん、さきちゃん教えてよ……
「それは……」
さきちゃん、いつも大人しいのにひなののために……みんなもいつもより怖い……どうしてそんなに怖い顔してるの?
「おい! 言えないのか? やっぱり嘘なのか」
「嘘じゃない! でも、」
さきちゃん……みんな……ごめんね、今はそんな事どうでもいいの…お兄ちゃんが
あれ? 頬に無数の水が流れてくる……いくら拭いても流れてくる……
もう、やめて、みんなそんな顔しないでよ……
「嘘じゃないなら言えよ、おい!」
ひなのの後ろがドンと何かが硬い物にぶつかったような音がした、振り返ってみると肩を押さえて座り込んでるさきちゃんの姿があった。
周りのみんなに目を向けるとみんな笑ってた……
謝らないの? ひなのにはちょっとの事で大げさに謝ってたのに?
この時私の中で何かが崩れた。
「みんな、静かにしててよ! うるさいよ!」
「え? ひなのちゃん?」
ダメ、これ以上止められなくなる……みんなひなのを嫌いになっちゃう……
ダメなのに、ダメなのに……止められないよ……
「みんな、私が大声上げたのは悪かったけどさきちゃんをいじめないでよ! 責めるならひなのを……ひなのを責めてよ! それに、手を上げたのは誰!? ちゃんと謝って! さきちゃん怪我怪我してるじゃん!」
あぁ、ダメだお兄ちゃん助けて、やっぱり努力して頑張って周りからの信頼を長い時間掛けて得ても失うのは1瞬だった……嘘つき…努力したって意味ないじゃん。
「ひなのちゃん私は大丈夫だから……」
「大丈夫じゃないじゃん……けがしてるもん…ありがとうねさきちゃん私の事守ってくれて。
みんなもごめん……」
みんな、許してくれる訳ないよね、お兄ちゃんの事も心配だけど、さきちゃんも心配……だって私の親友だもん……ひなののせいでひなのの大事な人が傷ついたり怪我したりしてる……
ひなののせいで……ひなののせいで……
「俺達も悪かった…ごめんなさき、それとひ、ひなのちゃん何か言いにくい事あったんだろ?
ごめんな。」
え?え?みんな、それだけ? 待ってよ、ひなのの事嫌いになって悪口とか言わないの?
どうして? それより、さきちゃんを病院に……
お兄ちゃんも……ひなのは……ひなのはどうしたらいいの? 誰か教えて、ひなのは何をしたらいいの?
考えても、考えても、答えなんて出てこないのはなんで? なんで? なんで!? 数学みたいに計算できないの……? 分かんない、分かんない! お兄ちゃんならできるかな……?
あ、そう言う事か……お兄ちゃんはみんなからこうやって比較されたんだろうな……
ひなのバカでごめんね、ごめんね。
もう、頭の中ぐしゃぐしゃだよ……
「ひなの!」
さきちゃんがひなのの名前を呼んだ後、抱きしめてくれた……
その時、とめどなく涙が溢れた……いくら拭ってもどんどん溢れる、さっきと違って不思議な感じがした…
ひなのはやっぱりバカだったよ……お兄ちゃん、親友やお兄ちゃんの力を借りないと何もできない……
ようやく、涙が止まった、今までで1番長くそして多く涙を流したな……
お兄ちゃんは心配だけど、今この場にある問題を解決してからだよねお兄ちゃん。
きっと、お兄ちゃんはひなのと同じように……嫌ひなの以上に悩んでいるんだよね? ひなのが一緒に解決する、なんて偉そうな事言えないけど、ゆっくり解決して行こ?
ひなののお兄ちゃん何だから出来るよ!
だから、今はひなのを助けてくれたさきちゃんを助けないと!
「さきちゃん! 今から学校抜け出しちゃおっか?」
「あれー? 学校1の優等生がそんな事言っていいの?」
さきちゃんにはかなわないな…
きっと今考えている事も見破られているだろうな……
「じゃ、 じゃあ、気分が悪いから帰ろ!?」
「私は気分悪くないよ?」
「怪我してるでしょ! ほらいいから、いいから! 行こ!?」
「しょうがないな、行こっか! 」
ひなのとさきはとびきり笑顔で笑いあった。
そして、担任の先生に気分が悪いと初めて嘘をついて学校を抜け出したのである……
後にこれが悲劇をうんでしまう。
「はぁー! 緊張したなー!」
「あはは、まさかひなのの口から抜け出そうなんて言うなんて、思わなかったよ。
優等生さん!」
「ひなののさきちゃんがついてきてくれるとは思ってなかったよ!」
あれ? 着信が1件来てる……
非通知? なんでだろ? まぁそれより、さきちゃんを病院に連れてかないと!
「さきちゃん! 行くよ!」
「え!? どこに?」
「んー、ひ、み、つ!」
「わ、分かったから、引っ張らないで!」
ひなのはいい子だけど、危なかっかしい事あるからなー、私がしっかり見ててあげないと!
いつかは、この想い伝えられるかな?
でも、ひなのなら勘違いしそうだなー
「早く、早く!」
「はーい!」
さきちゃんとどれくらい歩いたかな? もうすぐ病院だけど大丈夫かな? なんか、嫌な予感がするんだよね……
あっ、電話だ。
「さきちゃん少し待ってて! 電話が来たから!」
「はーい、 でも、珍しいねひなのに電話が来るなんてー」
「もう! 馬鹿にしないで!」
また、非通知? 誰だろう?
「はい、もしもし五十嵐ひなのですけど? どちら様でしょうか?」
慣れない電話で、少し緊張しちゃったけど言ったセリフに失礼は無いかな?
「こちら、青山病院ですが、五十嵐隼人さんはご存知ですか?」
パパの名前だった。病院から……もしかして……
「はい、私の父です。」
「隼人さんはトラックとの正面衝突になり、意識不明の重体です。詳しい話は青山びょ、」
「お父さんは、死んじゃうんですか?」
「そこは覚悟しておいて下さい。
お母様には連絡しましたが、海外におりすぐには帰れないと言われました。
お兄様は他の者が連絡しています。
とりあえず、こちらに来てください。
よろしくお願いします。」
「はい。」
ひなのは静かに電話を切ってその場に倒れた。
遠くから見ていたさきはひなのの異変に気づいて走りだした。