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変化

 すみれが、雪の恋に協力するようになってから一週間が経った。だがすみれは、心の底から雪を応援できないでいた。心のどこかで、雪と蘭太郎が楽しそうに話すのが許せていなかったのだ。

 蘭太郎はというと、雪がこんなにもオープンにアピールしてきているにも関わらず、全くもって雪の気持ちに気づくことなかった。

 そして今も、雪と蘭太郎は仲良く話していることころだ。一応すみれもその場には居合わせている。

「それでね……」

「あ、雪ちゃんごめん。ちょっと待って。すみれ!!」

 蘭太郎は雪が話すのを止めて、すみれに声をかけた。

「え、私?」

 急に蘭太郎に名前を呼ばれたすみれは、少し驚いた。

「今日も一緒に帰れる?」

「えっと……」

 すみれは少し考えた。

 すみれと蘭太郎は今までどおり登下校一緒だ。それに関して雪は特別何かを言ってくることは無かった。しかし、今日は違った。

「私も一緒に帰りたいなー」

 このさりげない雪の一言に、すみれはどうするべきなの分かった。

「ごめん、放課後に用事あるから雪と二人で帰ってて」

「じゃあ、待つよ」

 蘭太郎が言った。

「いいよ、いいよ」

「でも……」

「時間かかるしさ。私ちょっとトイレ行ってくるねー」

 すみれはそう言ってその場から走り去った。

「おい、すみれ!! 行っちまった。なんか、あいつ最近変じゃない?」

 蘭太郎は雪に聞いた。

「そうかな?」

「絶対変だよ。まあ、いいけど。どうする? 二人で帰る?」

「うん!!」

 こうして蘭太郎と雪は二人で帰る約束をした。


 放課後、すみれは一人で教室に残っていた。用事などあるわけがなく、さっさと帰りたいが、みんなと一緒に教室を出れば嘘だということが蘭太郎にばれてしまうので、しばらく経ってから教室を出ることにした。

「……あ」

 ぼーっと外を眺めていると、蘭太郎と雪が並んで帰っていく姿を見つけた。

「……今日は、歩いて帰るのか」

 すみれは深いため息をついた。


「蘭太郎君、自転車乗って良いよ」

 雪は隣で自転車を押して歩く蘭太郎に言った。

「いいよ。雪ちゃん歩きだし、俺も歩くよ」

「……すみれと帰るときも、歩くの?」

「すみれと一緒の時は、後ろに乗せてるよ」

「そうなんだぁ。すみれ以外の子は乗せる気にならない?」

「え?」

「……ごめん、なんでもない」

 そこから二人の会話は途切れて、気まずくなってしまった。

 しばらくして、沈黙を破ったのは雪だった。

「蘭太郎君」

「ん?」

「私ね、私、蘭太郎君のこと……」


 ばた。


「蘭太郎君? 蘭太郎君!!」



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