友達
「俺は、ただの友達か?」
蘭太郎は真剣な面持ちですみれに聞いた。
「蘭は……蘭は一番の友達だよ。」
「俺が、お前のこと好きでもか?」
「え?」
「俺は、すみれのこと好きだ。」
「お茶持ってきたわよ。」
突然、蘭太郎の母が部屋に入ってきた。
「ありがと。」
蘭太郎は小さい声でお礼を言った。
「おばさん、私帰ります!!」
すみれはそう言って、部屋を駆け出していった。
「すみれちゃん!! 蘭太郎、すみれちゃんに何かしたの?」
「ななななんにもしてねーよ!! さっさと出てけよ!!」
蘭太郎は母親を追い出した。
「はあ〜。」
蘭太郎は大きなため息をついた。
一目散で自宅へ帰ったすみれは、自室へ閉じこもった。
「何であんなこと言うのよ。蘭のバカ。」
すみれはひどく動揺していた。
すると、窓がドンドン叩かれていることに気づいた。窓の向うには蘭太郎がいた。
すみれは、窓を開けた。
「……なに?」
蘭太郎の顔は見ないで聞いた。
「プリント、終わってねーじゃん。」
「半分やった。」
「……これ、お袋がお前に。さっきの。」
蘭太郎はそう言って、小さな箱を渡してきた。
「おばさんに、ありがとうって。」
「分かった。じゃあ。」
蘭太郎は屋根を渡って自宅へ帰っていった。
すみれは箱を開けてみた。中にはショートケーキが入っていた。
この夜すみれは、一睡もできなかった。
短くてごめんなさい