俺の来世は
は?なんだこの偉そうな女は
俺が真っ先に思いついた感想はそれだ。突然人の首が飛ぶスイッチなんか押させて、そして首だけになった身動きの取れない俺を見下ろしながら製作者だと抜かす。さすがにこれは腹を立てても仕方ないと思う。
「ねえ!ねえ!今どんな感じ!?どんな感じ!?」
こいつは煽っているのだろうか
「…最悪の気分だよ!てかなんで俺はこんな状態で話せるんだ!?何故生きていられるんだ!」
「え〜嘘だぁ〜。あ、話せられるのはね!?あなたの脳回路から読み取った信号を口の動きと連動させて喉元にあるスピーカーから声を発していてね!?それでそれで」
「待て待て待て待て!お前が言ってること俺にはまっっっったくわからねえ!まずは首を戻してくれ!」
「え〜せっかく興に乗ってきてたのに〜…。まあいいよ、それで首のことだけど、自分で拾ったら?」
「首だけになってんのにどう戻したら良いんだ……」
「頭部と身体は独立させておいたし、あなたの脳回路を半径5m以内の範囲でボディは受信するからまずはやってみてよ!私も見たいし!」
こうなりゃこいつの妄想に付き合ってやらんでもない。
身体よこっちに来い!
そう念じると、身体は一瞬ピクッと動いたが、それだけだった。
ちくしょう!やっぱりただの妄想じゃねえか!
しかしニーナの方を見ると、彼女は子供のように無邪気な顔で、俺の様子を観察している。何故だか、その表情や仕草を見て、彼女が嘘をついているようには思えなくなってしまった。
命令の仕方が悪かったのか?
さっき俺が目覚めた時、体を動かす時にそんな命令なんて送っただろうか?いや、普段の生活の時に身体よ動けなんて思う奴はいない。もっと、自然体でだ。自分の体をいつも通り動かすんだ。
そうすると、突然俺の体が動き始めた。後ろを振り向いて、屈み、両手で俺の顔を掴んで首へカチッと押し込んだ。頭部とボディの接続部はやけにシンプルな構造で、平面に小さな窪みがいくつかついていて、それは俺の状態を認識するには十分な情報だった。一連の動作を見て、ニーナは口を押さえて涙目になりながらふるふる震えている。
ああ、まさか俺の来世は
「これが感無量ってことなのね……本当に、本当に長かった……。あなたを製作しようと苦節10年。ようやく実ったわ…」
「ああ、そりゃおめでとう。それよりも、ようやく俺は俺をわかったよ。
ーーー俺は、ロボットなんだな?」
短いけど、あんまり長くしちゃうとダレそうだったのでしょうがないね