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璃理恵の翼  作者: 植村夕月
第0章 翼を手に入れた少女、璃理恵
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4.璃理恵の死因

お待たせしました。

   4、璃理恵の死因


 雀崎、璃理恵と俺は三人で卓を囲んでいた。璃理恵は半透明の状態でありながら、雀崎から差し出された熱々の緑茶の入った湯呑にフーフーと息を吹きかける。少しずつお茶を飲む彼女に、本来なら驚くべきだと俺は思う。

 だけど、普通ならあり得ないことが多すぎて、何に驚くべきか分からなくなっていた。驚くことが多すぎる。それのせいで、ちょっとした異常に対して耐性でもできてしまったのだろう。

 考えていることが顔に出ているのだろうか、璃理恵は俺のほうを見ると首を傾げた。

『どうしたのかなあ?』

「いや、幽霊とか、死人はものに触れることができるんだなって思って」

 そういう俺に雀崎は、いやいや違う、って手を振って否定する。

「幽霊は、基本人に何かできることはない。もし、すべての幽霊が物体に影響を与えうることができたら、世の中ポルターガイスト現象に振り回されてるわ」

 雀崎は俺にそう言うとお茶をすする璃理恵をジト目で見た。

「にしても幽霊がお茶を飲むとか、何とも言えんね。床にダダ漏れとか勘弁してや。まあそんなことはないやろけどな」

『ん? ああ、お茶のこと? 何だろうねえ、ちゃんと私のおなかの中にたまっているんじゃないかな。だって温かいし』

「大丈夫ならいいわ。そりゃあ、そうとリリー、アンタ本人が出てきたなら手っ取り早いわ」

 雀崎は一切の表情を消して、璃理恵の瞳を覗き込んだ。

 その表情から、雀崎が今からしようとすることが予想できた。

 本来なら被害者に対して最も聞きたいことであるが、口をきけぬ存在であるためにそれが叶わない。だけれども今なら違う。被害者本人がこの場で口を利ける状況で存在しているという奇跡。勝手な決めつけだとしても、璃理恵がこんな風に死んでしまった原因なんて誰かの悪意を浴びたとしか考えられない。その悪意を向けてきた存在を、もしかしたら今際の際で目にしていたかもしれない。なら、そのチャンスをみすみす無駄にしてたまるか。

 雀崎だって同じ気持ちのはずだ。

 ただ、雀崎は聞くべきことが分かっていながらになかなか口を開こうとしない。

「聞きたいことが、ある。聞きたいことがあるんやけど――」

「雀崎、お前は言わなくていい」

 辛いことを聞きたくはないだろう。璃理恵の親友なら当然で、俺だってそうだ。でも、そういうわけにはいかない。こうなってしまった、璃理恵が死んでしまった原因に最も近い俺が、これを聞くべきだ。

 あいつの最期に見せた変化、それを見落として俺の責任。雀崎なら、傲慢って言いそうだな。それでいいさ。

「璃理恵に聞こうと思うことがある。思い出したくもない忌々しいことだ。答えたくなければ、黙って首を振ればいい。ただ、もし答えようという意志があるなら、言葉でなくてもいい。ただ、俺をまっすぐ見てくれ」

 璃理恵はごくりとつばを飲み込んだ。その様子からは緊張が読み取れる。

『――分かった』

 璃理恵が応じてくれたので、単純な質問からする。

「まず一つ、璃理恵は放課後に俺と話した後、真っ直ぐに家に帰ったのか?」

『うん。どこも寄ってない』

 神妙な面持ちの璃理恵に追って尋ねる。

「次にお前は、帰る途中にさっき会ったあの公園に沿う道を通ったのか?」

『私は家に帰るとき、よくあの近辺を通るから、ただ、あそこを通った覚えは――』

 璃理恵は途中まで答えたけど、肝心の部分で言葉をよどませた。彼女は視線を正座する膝に乗せた握りこぶしのほうへ下げた。そして少し顔色を悪くしている。

 何かある、そう思った。だけどこれ以上のことを無理に聞いてしまってはいけない。雀崎は彼女の傍によって、固く握られた拳にそっと手を添えて、背をさすっていた。

「大丈夫か、辛いなら答えなくていい。無理はするな」

 璃理恵はそういった俺に首をぶんぶん振った。

『違うの。ただ、私はあの公園を通って帰ったか、覚えていないんだ。だけどね、必死に思い出そうとして、背筋をムカデが走るように寒気が走ったの。だから』

 俺は璃理恵の傍らにいる雀崎とアイコンタクトをする。これ以上は山ておいた方がいい、

そういう意を載せてのもので、彼女も十分伝わったようだ。雀崎はこくりと頷いた。

「大丈夫だ、璃理恵。もう答えなくていい」

 俺は璃理恵の頭を優しく撫でてやる。雀崎は璃理恵をギュッと抱きしめていた。すると雀崎は、ぽたぽたと綺麗な瞳から涙を流し始めた。声も出さずにただ、静かに泣いていた。雀崎が璃理恵の顔を左肩へ寄せた。そしてただ彼女の涙を受け止めていた。

 公園で会った時から思っていた。璃理恵は普段とほとんど変わらない様子だった。自身は死んでしまっているという自覚すらあった。なのに、どうしてそんな風にいられる。どれほどの未練を抱えていたか、計り知れないというのに。悲しいはずがない。

 ずっと、我慢していたのだ。

 俺とよくない別れ方をして、それで俺が自責の念にとらわれていることを心配していたのだろう。あまりに自意識過剰な思い込みだが、少なくとも、誰より人情味のある璃理恵なら、こんな状況になっても人の心配をしただろう。

 俺は璃理恵に聞こえないようにつぶやいた。

「どうしてこんなに優しい奴が、こんな目に合わなきゃいけない」

 

 泣いたことでだいぶ落ち着いた璃理恵は再び俺の中へと還っていった。

 雀崎が下宿するマンションの前にある大通りにて、俺は雀崎から憑依している璃理恵に対して気負つけるべきことなどを聞いた。

「さっきも言ったけど、アンタの中にいる限りはリリーの安全は保障される。ただし一部の例外があって、リリーの死んだとされるあの公園と瘴気が異常に濃いところへは近づいたら絶対あかん」

「わかった」

 俺は胸の中から静かにスースーと寝息を立てている璃理恵を感じ取る。せめてこいつが安心できるくらいには、ちゃんとしなければいけない。にしても、こんな寝息を立てて、ちゃんと眠れているようだな。

「シグ、あと気をつけてほしいことが一つ。眠っている時に見た夢は、起きた時に忘れないように記録しといて。まあ、夢日記を付けろってことや」

「なぜ?」

「アンタが意識を失っている時に、璃理恵の経験したこと、思っていることが夢として出てくることがある。その中には、璃理恵が死んでしまった核心的なものも含まれているかもしれん。注意してや」

 俺は彼女の言葉に了解の意を示し、さよならを告げた。雀崎はマンション前の広場にて進歩会いそうな顔を向けていた。立ち止って彼女の様子を窺うと途端に仏頂面になる。そんな彼女の様子に俺はなぜか安心した。

 あいつの不機嫌な顔のほうがいいとか、俺って失礼な奴だ。

 俺はマンションを出て前方の道路を右に曲がる。車のクラクションが聞こえたので慌てて道路のはしっこに寄る。俺の左側すれすれを車が通った。接触しそうになった左腕を体に引き寄せた時に、腕時計が目に入った。時刻は夜の八時を回っていた。

 失念していた。

 妹の夕食を準備していない。

 家事は基本親が当てにならない。だから妹の食事を用意してやるのは普通なのだ。もし本当に何も食べずにリビングで待ちぼうけを食らっているとしたら可哀想だ。

「早く帰らないと」

 俺は走って交差点を渡った。


 家に帰るとやはり両親はいなかった。

 玄関先で妹に迎えられる。帰ってくるのが遅いことに関してぶうぶう文句を言われた。

「お兄ちゃん遅い。私まだ晩御飯食べてないんだからね。早く作ってよ」

「分かった分かった。美月みつきはリビングで待っていてくれ」

 俺は仕方がない奴だなあって思いつつ、妹の頭を撫でてやっていた。妹は「分かった」というと、廊下を走っていった。

「もう少し自立してもらわいないとな」

 神原美月かんばらみつき。十五歳で高校一年生だ。俺と通っている学校は違い、妹は結構遠い場所に通っている。身長は百六十センチでポニーテイルをしている。結構我儘な奴で、何かと手を焼くがやっぱ妹は可愛く見えてしまうものだな。

 さて、今からすぐにできる料理といえば何があるだろうか。

 台所の流しで手を洗った俺は、腕を組んで考える。

「あんま、時間かけたくないなあ」

 俺はリビングにいる妹へ声を掛けた。

「簡単な奴でいいか?」

「別にいいよ」

 俺は冷蔵庫から卵を二つ、豚肉、冷ご飯を取り出す。ご飯は電子レンジでチンすればいい。豚肉はパッケージから取り出すと、まず肉を洗って水けを拭き取る。醤油、砂糖にみりんを適量、削ったショウガをこれらに混ぜて袋に入れる。調味液を混ぜ合わせ、その中に筋キリした豚肉をぶち込む。手で袋越しからよく揉みこんでタレを絡めあわせ、中から取り出した豚肉を熱したフライパンに油を引いてから投入する。つけ汁も適量入れて加熱。

 火が通るまでの間に二つの卵を割って、溶く。冷蔵庫の野菜室からトマトを一つ取り出し、それを半分に切る。トマト半分を細かく切り刻む。その間に火が通ってきた豚肉に、たれをからめるように温めて、十分に火の通ったショウガ焼きをフライパンからさらに盛り付ける。

「さて、ご飯を電子レンジに」

 冷えた白米は電子レンジで加熱して、先ほどといたタマゴを別の温めていたフライパンに投入。もちろん油はフライパンに少し入れてある。卵が固まらないようにぐるぐるかき混ぜながら細切れのトマトを放り込む。

 旬じゃないトマトは本当に高いな。

 おかず二品は大皿に盛りつけて、冷蔵庫に入っていた冷ご飯はただ温めただけ、煮野菜もだ。

 リビングのテーブルに乗せていく。

「お兄ちゃん、お味噌汁は?」

「すまんが、用意できなかった」

「そ、じゃあいただきます」

 両手を合わせてそういうと、妹はパクパクとご飯を食べ始めた。俺は今日一日いろんなことがあって、あんまり食欲はわいていない。箸はテーブルに置いたまま、妹の様子を見ていた。

 あんまりじろじろ見るのはマナー違反だって分かってはいる。しかし、いい食べっぷりなので、作った側は嬉しいものだ。その視線をうっとおしく思ったのだろう。妹は少し機嫌悪そうにする。

「お兄ちゃん、あんまりさ見ないでくれる。その……」

 文句を言おうとする妹は、俺の食が進んでいないことが気になったようだ。

「お兄ちゃん、気分でも悪いの?」

「ああ、少しな」

 俺は心配を掛けないように、何という風もなく答えた。それでも気付かれたのだろう、美月から醸し出される雰囲気が変わった。

 美月は箸をテーブルに置くと、俺を見据えた。美月のこういう目は嫌いだ。剣のように鋭くて、きらきらと輝くそれは歪みを許さない。嘘偽りはこの時において御法度なのだ。

「私も馬鹿じゃないから、何も言わなかった。言うだけ意味がないと思っていた。でもそれは違うみたい。お兄ちゃん、頭に巻いている包帯は一体どうしたの?」

 なぜ今さらそんなことを聞くのか。帰って玄関で顔を合わせた時にでも出そうな言葉を美月は今言っている。俺が帰って、彼女に顔を合わせても話さなかったこと。その意味を尊重してくれたのだ。言いたくないこと。絶対にどうしようもないことがあってそんなことになってしまった。ただ命には別条はなくて、ちゃんと家に帰ってきたのだからそれでいい。

 聞くつもりはなかったんだろう。でも俺の様子を見て我慢できなかったんだろう。

「どうしたのよ。なんで黙っているの? ちゃんと答えないと私に心配かけたこと許さないんだから」

 女性特有の半ば叫びともとれる声が部屋の中をこだまする。

 美月は案外激情的なところがあった。普通でいようとして、俺のちょっとしたことから不安になってそれが爆発した。

 俺はゆっくりと息を吐いた。そしてこの頭になった因を口にする。

「柳原璃理恵という子を、お前も知っているだろ」

「うん、お兄ちゃんと仲がいい人だね。あんまり顔を合わせることはなくて、ちゃんと知っているわけじゃないけど、その人がどうしたの?」

「亡くなった」

 普段生活を送っている中で出てくることがないであろう、もしくはないことを願っている言葉に美月は目を大きく開いた。

「どういうこと?」

 妹は静かに俺に聞いてきた。俺は今分かっていることから、俺が巻き込まれた現状を伏せて説明する。

「昨日の夜に、璃理恵は死んだ。どうして死んだのか、その理由は分からない。他殺か自殺か、事故かも不明なんだ。ただな、死ぬ少し前に、アイツは俺に話したいことがあって、何だかいつもと違う様子だった。明らかに変だったんだ。ちゃんと聞いてやらなかったから、死んでしまったんじゃないかって、思って。そしたら俺、自分が許せなくなって、朝学校で怪我した」

 美月はプルプルと体を震わせていた。それが収まると、彼女はおもむろに席を立ち左側にあった湯呑を掴んで中身を俺にぶちまけた。それは人肌程度の温度だった。

「ばかあ、なんでそんなことすんのよ。この、バカ兄貴。酷い事実を知って、辛い時に、どうして、そういう時にこそ、ちゃんと言いなさいよ。辛いなら時間や場所に関わらず、私に連絡しなさいよ。何かができるわけじゃないけど、それでもその悲しみに寄り添ってあげられる。アタシ、自分勝手で、頼りにならないけどさ、お兄ちゃんが困っている時は力になりたいから……」

 立ち上がった美月は、ぎゅっと握った手を両目に押し付けて嗚咽をもらす。空いた茶碗やさらに涙の雨が降り注いだ。か細く今にも崩れそうな妹を見た俺は、胸の内からどうしようもなく熱いものがあふれた。妹の傍に駆け寄り、ギュッと抱きしめた。

 

 俺は自室で机にノートを開いていた。部屋の光源は蛍光灯のみで薄暗い状態となっている。

 晩御飯を食べ終えていつも通りに自室で時間を過ごそうと思っていた。部屋に入って電気を付けようとしたら、電球が寿命を迎えていたみたいだ。早速交換しようとしたら、スペアがなかった。

この薄暗い状況によって字が読みづらいが、明日新しい電球を買うのだからほんの少し辛抱すればいい。それより、まずは璃理恵の状態を紙に書き記して整理していく。

 俺が璃理恵と最後に会ったのが昨日の放課後。あの時璃理恵の様子は少し、いやかなりおかしかった。この時の璃理恵の様子というのは、自身に襲い掛かってくるものを事前に察知してのものか。もしくは別の何らかの悩み事でそうなっていたか。まだ何とも言えない。次に璃理恵が帰ってこないという連絡を彼女の母より飛燕ひえんが受けた。午後の十一時半。璃理恵の母と飛燕は彼女を探し、十二時に璃理恵の母親が見つけた。

 遺体が発見されたのは、あの公園という事になっている。そして第一発見者は彼女の母親。

 璃理恵の死因に関しては、不明。

 血液に関する検査は警察がしているだろう。しかし璃理恵の遺体を直接その目にした飛燕によれば、外傷は見当たらない。

 自殺か他殺、それとも事故なのか。

 ノートに分かっていることをとにかく並べ立ててみたが。

「全然わかんねえな」

 こうなると警察の見解を待つしかないだろう。

 俺はノートを閉じて、ベッドに転がった。

 なるべく妹にはこんなにも不気味な件に関わらせるわけにはいかない。詳細はまた明日か。


 ・・・


 土曜日の朝七時、ベットから起き上がると本棚の前に璃理恵が佇んでいた。何か読みたい本でもあるのだろうか、俺は声を掛けてみた。

「おはよう璃理恵。どうしたんだ?」

 璃理恵は振り返ると笑顔で応えた。

「おはよ。別にどうってことはないよ。何か面白いものでもないかなって、それだけ」

 璃理恵が興味を持ちそうなものか。まあ、自由に行動できない身となった今は時間を持て余しているんだろうし、何か暇つぶしになるようなものでも探してやらないといけないな。

 璃理恵は本があんまり好きじゃなかったような気がする。漫画はどうだったかな。アニメ好きだったような気はする。

 確かバトルもの兼学園ラブコメの漫画なら、ここに。

 俺は真ん中の段にある本を十冊引き抜く。すると奥には隠れるように本が収納されていた。この本棚は本を収納するには奥行きが広すぎた。

 俺は奥にある本を数冊取り出して、璃理恵に渡した。

「これは、この前アニメ化した奴だ。時雨クン持ってたんだね」

「まあな、それでも読んで時間を潰してくれ」

「ありがとう、そうさせてもらうよ」

 俺は璃理恵がマンガに夢中になっていることを確認すると、部屋を出た。

 俺が起きるほんの十分前に飛燕から電話があった。こんな朝早くから携帯にかけえてくるという事は何らかの重要な情報を得たと考えた。ちなみにケー番交換は昨夜に済ませている。

 折り返し電話を掛けると、すぐに彼女は電話に出た。

「神原時雨です。こんな朝早くにどうしたんだ?」

『えっと、そうやね。まず、璃理恵に関してやけど。アタシの仲間が警察に潜り込んでて、璃理恵に関する情報を教えてくれたんよ』

 おい、少し待て。警察に潜り込んだ奴から、特定の情報を引き出したって。

「お前、それって大丈夫なのか? 一種のスパイ行為なんじゃ?」

『それは心配しんといて。とにかく大丈夫やから』

 どこが大丈夫なんだか。

 まあ、聞きたいことは山ほどあるけど、まずは璃理恵に関してのことだな。アイツの言いっぷりだと思いっきり法に触れそうな感じだけど、……でもアイツをしにやった原因が何か分かるなら。

「信頼してやるから、璃理恵に関してわかったことを教えてくれ」

『うん、まずは璃理恵の血液検査から。特に異常は見られなかったそうや。次に遺体の検分によると、自殺とも他殺ともいえん。事故ともいえんらしい。いきなり心不全起こして死んでしまったってことで片づけられそうになっている』

 璃理恵の体は、今医師の手によって調べられている。そんなことが頭によぎった時、あることが気になった。血液の採取がされていることからもそうなのだが、『璃理恵』は今どうされているのだ。

「司法解剖はされた……のか?」

『されとらへん。でもな、このままやとどうなるかわからん』

「そうか、連絡ありがとう」

 自殺でも他殺でもなく、事故という可能性も少ない。心不全を起こした原因は何なのか、それを突き止める手段とされていた血液検査の結果も大したものは得られなかった。

 いよいよ訳が分からなくなってきたぞ。

 本当に幽霊が頼みの綱になってしまう。


璃理恵の翼、更新ペースは一週間から二週間を維持していこうと思います。

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