27、雀崎の決起
雀崎の決起
「ああ、情けない」
私は誰もいないリビングで一人ごちた。
昨日、新宮愛華と刃を交えて、ところどころに少々の傷を負った。アタシからして別に大したことはなかったつもりやったけど、シグの家についてから安心したんか、体がどっと重くなった。
昨日はあいつの妹さんに初めて会うこともできた。
とてもかわいい子で。
「兄妹そろって優しいんやからなあ」
手に巻き付けた包帯を見て思う。
ちょうど十時を回ったところだった。スマフォに着信アリ。相手は大熊院影平となっている。
学生のアタシにこんな時間から電話を掛けるなんてなあ。
「もしもし」
『ああ、雀崎殿。忙しいところ済まない。事態が切迫しているので、柳原霧子と璃理恵の封印を即時行うことを決定した』
今なんて言った。
アタシには到底納得できない内容だった。
「どうして璃理恵なんです? あの子から正気は検出されていないでしょ」
『うむ、それが柳原霧子と接触したことによるものか、昨日保護した彼女と瘴気的な結びつきが強力となっている』
アタシは昨日みたリリーの母さんを思い出す。あの瘴気はおのずと集まったものじゃない。第三者によって、強引に寄せ固められたものだ。すなわち、元凶は柳原霧子でない。私はあの男に踊らされているのではないか?
私はスーと息を吐いた。
語気を低く、圧を掛けるように言う。
「止めろと言っても、止めないでしょ」
『もう、手遅れです』
アタシはスマフォを切る。
そして、今着ている服を見る。
「この服は汚すわけにいかんなあ」
アタシは、シグの家を出ると愛華からもらった泥棒除けを貼っておく。
いったん帰宅した後、服を着替えた。
動きやすい服がいい。
アタシは黒いジーンズに、白いTシャツを着る。そして上に鼠色のパーカーを羽織った。首には赤いマフラーを巻いて、刀袋を下げる。
そして学校へ向かった。




