第5話・嵐を呼ぶ人たち
嵐を呼ぶ男もしくは女の話です。
ここでいう嵐はものすごく気力と体力を要求される仕事全般のことです。
(もしこういう表現が不愉快でしたら申し訳ないです。すみません)
職業は医師もしくは看護師もしくは薬剤師。
この人と一緒に当直すると絶対に忙しくなる。眠ったりうとうとなんか絶対にできない!
重体の危ないひとばっかり緊急入院する。気が抜けない緊急オペが続く。
救急病院なので昼夜問わず受け入れはするが、なぜか自殺未遂が続くとか、交通事故でけが人が続くとか…。
それが私のいう嵐。不思議としかいいようがないが事実です。
今月はなんかヘンだなあ、はっきりとはいえぬが何かとシンクロしているのか? と思う時期もあった。
こういうのでこういう組み合わせだと最強? というペアがありましたな。
今頃どうしてるかな?
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話しは続く……嵐もまたどういうわけか続く。
さる有名人(この人と当直すると絶対に眠れないという保証を本人もしてくれるという…)と初めて当直した時興味シンシンだった。
だってその人はごく普通の人です。普段の仕事の態度だって真面目だし普通。
私「こんばんはよろしくお願いします。で、聞きましたよ、忙しくなるんですってね」
嵐「うん……たぶん忙しくなる。こうなったらごめんよ、覚悟してな……今は嵐の前の静けさだから……今のうちゆっくりしていってな」 ← 本気でこう言われ驚く私。
果たして夜がふけていくうちに夜間駆け込みの患者がふえていく。
静まったのは午前三時ごろだったが、トドメにめったに出ない薬品がでていった。明け方は緊急で使う医薬品が不足して夜間発注もした。
午前七時ごろ日勤のみんなが来るまでに朝ごはんを食べたが、
私「やっぱ、普段別の人と組むよりもいそがしかったな~」
嵐「ね、なんでだろ~と思うけどそうなるんだよね」
突然インタビュアーとなった私 「今まで一番しんどかったのは?」
嵐「RHマイナスの人の輸血かな……在庫なくってね~」
私「RHマイナス! 当直でですかっ」
嵐「もちろん真夜中だよ。赤十字がT県からここまでヘリ飛ばすっていってそこまで話ししてたらぎりぎりで輸血OKの患者の親戚が来院されてね。発注中止になった……でもマジで焦った。輸血が在庫ないせいで死んでしまったらどうしよーって」
私「死なれては確かに後味が悪い……でもよかったですね」
こういうふうに院内においてもいろいろな不思議話があるのです……。