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第22話・一部の患者の錯誤と医療者の行く道

 今回医者には縁がない人の話。


 慢性疾患がなくよく飲むお薬がなく、だから病院関連には縁がない人がいる。つまりこういう人は健康で入院慣れしていない。

 病院慣れしていないということは医療従事者にも慣れていない。医師は神様のように思ってる。看護師は天使、私のようなその他大勢の白衣を着ているものにも礼儀をつくす。こっちも恐縮する。

 少しでも良くなれば先生たちのおかげです、と喜んでくれる。少しはお役に立てたか、と思うとうれしい。

 だがそうではなくクレームをつけられることもある。残念なことに。


 うん、人間、いつ何どきどういう目にあるかわからない。まさに一瞬先は「闇」!

 で、急病や怪我をして入院にいたるとする。

 若い人ならまあいいが、年配の人は体力面で治りが悪かったりする。

 で、そういうたまたま、のことで入院に至った患者さんの一部は入院前、つまり突然の急病や怪我する前の健康な状態に戻されて当たり前、と思っておられるのである。


 医師によってはあなたの病気もしくは怪我が治るのは「ココまで」 です。後遺症がこういう形で残るので今後はこういう薬、器具もあるので、病気と上手につきあっていってください、とはっきりいう。はっきりというべきでもある。


 後遺症…。

 患者の納得するまできっちり生活指導も入れるのが良い医者だと思う。

 しかもアフターケアもして、ちゃんと近医に丁寧な紹介状もつけてやる。精密検査や再手術にはこっちまでおいで、とフォローもする。

 そういうもんだと思う。


 以下は重要事項です。

 それで患者は己の病気を

①「ココまで治していただいた」と、思う人と

②「ココまでしか治してくれなかった」と思う人の2種類いるのだ。


 どっちが人生においてお得かというとそりゃあもう、前者の方だろう。

 誰が見てもへたすりゃ死んでいたところをココまで回復したのは、患者さんの体力や運、リハビリ努力もあったが、それを「病気や怪我する前の状態に戻せ、それでも医者か、病院か」 とダダこねる人がいるのだ。

 ダダこねないで黙って帰り、家族に当たる人もいる。そしてもっとよい医者、よい病院はないかとドクターショッピングに精を出す。

 そりゃあよくない医者もいるにはいる。患者と医師との相性も当然ある。だから良い医者にめぐり合いたい気持ちはよくわかる。


 だが若い時のような健康状態に戻してくれる医者って、そんなのはどこにもいない。

 究極の言い方でいえば不老不死?

 病院じゃ無理だ。確かに病気を治すところではあるが、はっきりいってまっさらな健康状態に戻すところではなく、「今の状態より良くなるようにする」 場所なんだ。

 それができないと不満に思う怒るのは…。

(怒る気力があるだけ若い、とも言えますが)

 ただ精神的なフォローは医療従事者としての務めだと思う。ちゃんと納得するまで話を聞いてやらないといつまでも病院に対する恨みを募らせるだけ。これは医師だけに責任はおっかぶせられない、入院中接した看護師、リハビリ整復師、薬剤師、栄養士、みんなの責任でもある。


 患者の気持ちはわからないではないが、人間である限り、不老不死はのぞめないし、子供時代、若い時のように胃等の内臓の存在を感じないで暴飲暴食、体力にまかせて好きなだけ飛び回ったり、そんなことはのぞめない。

 誰しも年をとるごとに歩くのもしんどいと感じて、自然と行動範囲が狭まってくるのである。元気なご老人としてアルプス山脈に行ったりするのは介護、付き添いにも恵まれたごく一部だ。

 それがマスコミの話題になるのは、そういう人の存在がめずらしいからだ。

 90歳代で今なお元気な金さん銀さんの娘さん達がぼけてないと言われて騒がれるのはそれだけその存在が珍しいから、なのである。


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 老人になったから、病気だから、と無気力になって老けこむのではなく、私のできる範囲でやれることは自分でしたい、しようと思えるうちが元気な証拠である。

 人生短いから。

 その方が絶対お得だよ、

 人間若返ることはない。

 そして全くの健康な人、無傷でいられる人はいない。



 人と助け合えるのが一番賢い生き方だと思う。

 私もまた老人と言われる年代だし、行く道だ。

 そう考えて残り少ない人生を生きたいと切に思う。

 

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