第15話・パチンコなどのギャンブル依存の話
日本国民の医療費総額とパチンコの日本での総売り上げの金額がほぼ一緒だという。いずれも三十兆円。金額が大きすぎてぴんとこない。
でも出版業者の総売り上げの金額が約二兆円ときけばいかがですか。
書籍を出版しての売上金額が二兆円。パチンコが三十兆円。どうです、パチンコ屋さん儲かるんですね~、すごいです。
話はかわります。私が面倒がりなのでちょっと大荷物のある時にはタクシーで行きます。歩いていける距離なのに、●●病院へ行けという大荷物の客。実は家族が入院したので荷物を持っていくことになったのだ。
タクシーの運転手さんは素直にかしこまりました、と返答する。そしてにこやかに世間話? と称してご自分の息子についての相談をいきなりした。
「私には息子が一人いまして、これがパチンコ狂いでして、働きません。パチンコのせいで自己破産もしたし嫁は孫を連れて出ていくし。私の少しのお金をせびってパチンコに行きます。途方にくれてまして、どうしたらいいかわかりますか?」
私が病院関係者とにらんで相談をもちかけてきたのだろうか。私はパチンコはしたことがない。一回だけ若い時に上司や先輩に連れられてやったことはあるが別におもしろいとは思わなかった。
所詮奥のセンサーだか何かは不明だが機械が出玉を操作するものだ。店側の策力で何とでもなる。だから全然魅力的だとは思わなかった。
おまけに煙草くさいし咽頭が弱いのでこれは困る。音楽もうるさいし。集中できる環境がないと私は生きてられない。考え事するときは音楽は邪魔だ。
という性格なので全然のめりこむこともなかった。
機械に遊んでもらって何がおもしろい、とは私の手前勝手な論理でパチンコの専門雑誌もあり、パチンコ屋さんの開店にあわせて長蛇の列が並んでいたりするから趣味として奥深いものがあるのだろう。
趣味なら趣味でいいがこのタクシーの息子さんのように家族に迷惑かけてまでのめりこむのは困る。自己破産までしているのになお、パチンコに行っているという。(どうやって遊ぶ金を作っているんだろう?) こういう人ははっきりいって病気だ。
心因的に成育歴に問題があることが非常に多い。アルコール中毒の人と同じ範疇に入る。最近こういうことがわかってきて、自分の家庭や子供を省みず趣味に没頭してしまう人のためにワークをする病院や施設も増えてきた。家族が切望したから仕方なくワークに入る人もいるが、完全に抜ける人はめずらしい。それくらい中毒って怖いのだ。
こういう人を家族に持つと一番迷惑というか困るのは小さな子供だ。子供は大人の庇護で育つもの。だからこういう人が親になると子供は被虐待児童になってしまうことが多い。まだ一人で生きていける状態じゃないのに、かまってもらえなくなるのだ。
たとえば、毎年夏の暑い時期になるとパチンコ屋の駐車場で車に置き去りにされて熱中症になる乳児、幼児が何人もいる。先日散歩で某パチンコ屋の前を通ると「子供を置いていかないで!」 と子供が大泣きしている写真入りのポスターが貼ってあった。入り口にもデザイン違いで大きな泣き顔のポスターが目立つように張っている。
現場のパチンコ屋さんもちゃんと気にしてくれているのだ。従業員を定期的に駐車場を巡回させているところもあるときいている。お客さんがきてくれるのはいいけれど、そのために子供が死んでは儲かってもうれしくないだろう。
子供を置いてまでパチンコをしたい、お金がないけどパチンコでしたいと思うこと自体もう病気の一歩手前だが病気自己認識とまわりの配慮でずいぶん改善するとは思う。
パチンコだけを悪者にしてはいけない。ギャンブル全体も悪いのではない。要はその人も心の持ちように問題がある。
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さきほどのタクシーの運転手さんには私はこう返事した。
短いお話だけではわからないがご本人次第です。本人さえパチンコ依存をなくしたい意思があるなら心療内科か役場の福祉係にでも問い合わせたら、適切な相談機関を紹介してくれますよと言った。
「依存」「心療内科」 という言葉に驚いたのだろう、その運転手さんはうちの息子は病気になるんですか……と遠慮がちにきいてきた。傷つけるつもりはなかったが日常生活に差し支えある状態ならそういえるとも言った。
短い時間でちゃんと正解言えたらいいのだが力不足だった。でもこういうのってまわりだけが悩むのでかわいそうでした。解決にもならん話を書いてすみません。(パチンコ屋さんを目の敵にしてるわけではないですのでそれはご了承ください。)
後書き
パチンコの駐車場が厳しくなったので子供を家に鍵かけてほったらかしていくというケースも増えた。自宅ほったらかしも預ける場所も場所によっては乳児も幼児もそれはそれで問題になる。本当にどうするのが一番いいのだろうか。




