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幕間 芍薬
あの方を想うだけで、胸が締め付けられる。
あの麗しい御方は今、何をしているのでしょうか。
今朝も庭院から芍薬を切って花瓶に活ける。
後宮の庭院には多くの花があるけれど、この頃はずっと芍薬ばかり切っているわ。
どうして芍薬かって?
それは、花占いをしないためよ。
花弁が少なかったり、数が決まっている花は、花占いをしてしまいがち。
少しでも自分の寂しさを慰めたくて、「好き」で花弁が終わる花を手に取ってしまいたくなるの。
その点、芍薬は花弁がたくさんあって、数がわからない。
そうすると「嫌い」で終わるのが怖いから、花占いをしなくなる。
自分で自分を慰めることの虚しさでもうごまかしたくないの。
私があの方を想う気持ちは、本物だから。
生涯をあの方に捧げると、そう決めたから。
ああ、早くあの方に会いたい。
花占いなどに頼りたくなる日々はもう嫌だわ。
さあ、芍薬が枯れないうちに、やってしまいましょう。
あの方が私に笑いかけてくれる日のために、邪魔な石ころを取り除かなくてはね。




