Wawu!!!~ポトトトトトト......~
「ポトトトトトト」
真夜中の廃校に響き渡る甲高い連続した音は、夜間でも汗ばむようなこの季節において私たちの体温を下げる重要なサウンドセラピーでもあり
「ぶっ!!」
「アンタが単純に蛇口閉め忘れてただけなのになに美談にしようとしてんのよ!」
「おいおい......ビンタなんてないぜ。心安らかにいこう。なんたって今日はこの廃校が俺たちの拠点なんだ!」
真夜中――廃校―――拠点―――こうくれば誰もがこの状況を理解するだろう。
そう、今俺たちのいるこの世界ではゾンビウイルスが蔓延したことにより大量のゾンビが発生して、俺たちは日夜ゾンビから逃げてい
「ぶっ!!」
「それは今日の演劇部合宿で練習した劇の話でしょ! 現実と混同させんな! そもそもここ廃校じゃなくて旧校舎だし」
「いかんな。いかん。遺憾だよ。俺たちの劇を見てくれるオホォォォディエンス(オーディエンス)はリアルを求めてるんだ。その期待に応えるために俺たちはいついかなる時でもその世界の一人間として振舞っておくべきなんだよ」
ここで言うリアルは『現実』ではなく『非現実』のことであって、俺たちはこの『非現実』をまるで『現実』のように扱うことでオホォォォディエンス(オーディエンス)を楽しませる。
そのためにすべての環境音、感情、行動、生理現象その他諸々をこのリアルに捧げなければならない。
そう、俺たちはプロだからだ。
「......あれ?」
三回目のツッコミ待ちだったが、アイツはもう合宿部屋に戻ったらしい。
「ポトトトトトト......」
「ん?」
先ほど閉めた蛇口から水は出ていない。
「......ッツ!?」
俺は合宿部屋へと駆けだした。
その様子はまさに『リアル』だった。




