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午後もガンバリましょう 1

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。


会社に戻ると、カタカタとキーボードを叩く音。

日来ビグル課長はいつものように、お昼休み返上で仕事してたみたいだわ。



「はいおかえり。ちゃんとお腹いっぱい食べた?」

「ええ、お昼寝もしたいぐらいには」

「うん? まあ別にええんちゃう? 1日は25時間あるんやからね」

「........さーて、仕事仕事っと!!」



まったく冗談じゃないわ。

今日こそはさっさと帰ってやるんだからねっ!!


決意を新たに仕事を再開すると、取引先の工場から「原料の一つが未着です」っていうメールが入っていた......



......

.....

...



「おかしいなぁ.......原料は全部ちゃんと届いてるハズなのに??」

「とりあえず、ファイリングしてある伝票のコピーをチェックしてみて」

「はーい」



一応報告をして指示ももらったけど、実は日来ビグル課長はいわゆる「報・連・相」にはそれほどこだわる人じゃない。



課員スタッフの一人一人が責任と自覚を持って仕事ができるようになったと判断したら、よっぽどのことが無い限りは自由にやらせてくれるの。

有難いような恐ろしいような......



まあそうなるまでには、それはそれは厳しいチェックが入るんだけどね。

私も入社した直後は、書類の書き方、お客と話す際の言葉遣い、服装やメイクにいたるまでハラスメントぎりぎりの徹底した教育を受けたし。

(そういや朝のアホ毛がようやくなおってきた......)



そのうちの一つに、「どんなに小さなことでも書類は整理して残しておきなさい」ってのがある。

メンドクサイことではあるけど、こういう時に威力を発揮するのよ。



まったく、優秀な部下あたしは、じつに上司の「薫陶よろしきを得て」るわよね(えっへん!)



「いやアンタ......僕が言ってたんはメモとかそういう細々(こまごま)したもんに関してであって、伝票の保管なんかは基本中の基本なんやけど......」



......

.....

...



さっそく各物流拠点からの伝票のコピーをチェックしていく。


まあでも、この工場は宇宙人の経営するものだからホントに届いてないっていう可能性もあり得るかな?

それに、工場へ最後に納入する物流会社も宇宙人の経営だし......



ええと......



 原料メーカーからの出庫票......OK!

 中継ポイントでの受領書は......OK!

 物質転送に際しての同意書......OK!

 物質転送先での品質確認書......OK!

 転送先からの運送の出庫票......OK!


そして何よりも......


 この工場へ納入時の受領書......OK!


ちゃんと受け取ってる......

ダメじゃん宇宙人達アイツら......



.............................................



「原料は全て届いている筈で、受領書にも押印がされております......えーと、つきましては添付書類をご確認ください......っと(怒)!!」



余計な仕事をさせられた怒りを胸に秘めてメールを打つ。

心なしか、キーボードをたたく音がいつもより大きい気がする。



「そんなことないよ? アンタ、いつもバンバンおっきな音させてるよ?」

「じゃあ、いっつもアイツらにイライラさせられてんですね!!」



日来ビグル課長は何か言いたそうにしてたけど、小さくため息をついて黙って自分の仕事を再開した。

確か課長は課長で、納期遅れの調整に忙しいハズだから。




「課長ってば、宇宙人相手の商売は、もうずいぶんと長いんですよね?」

「うん? まあそうやね」

「なんであんなムチャクチャな連中を相手にしてて平気でいられるんです?」

「うーん、なんでかなぁ? まあ人間ができてるんちゃう?」

「それ、自分で言っちゃいます?」



話をしながら、課長も私も手は止めない。

ほっといたら、こんな調子で後から後から仕事がやって来るのだ。

どんどん片付けていかないと(汗)



カタカタカタカタ!

うりゃうりゃうりゃうりゃ!!!

今日こそは仕事を早く終わらせて、美味しいものでも食べに行くんだっ!!!


ピロン♪


あ、緊急マークのメールが来た!

イヤな予感を抱きながらメールを開くと、さっきのとは別の工場から「納期遅れまーす、よろ」っていう内容だった......



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