打ち上げ
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「よし、送信.....っと!!」
国王陛下への謁見の後、午後からは輸入に関する手続きや価格交渉、その他こまごまとした取り決めについて打ち合わせをした。
チュウさんはここでも細かく注文を付けつつ、さらにエゲツないほどの値下げを要求するから、相手方の担当者さんはちょっと泣きそうになってた(冷汗)
国王陛下に「あまり貪るではないぞ」って言われてなかったっけ??
それとも........普段はもっとむしり取ってるのかな??
打ち合わせを終えたあと宿に戻り、今日の結果について報告書をまとめて日来課長に送ったところ。
大きく伸びをして、首と肩をコキコキとならす。
「ふう、終わったぁぁっっ!!」
明日は宇宙港まで狼ちゃんで移動して、その狼ちゃんをコータット星まで送り届けたら、ようやく地球に帰ることができる。
各種材料の仕入れについてはチュウさんのおかげで無事に契約を結ぶことができたし、今回のお仕事はこれでおしまいっ!
........いやホント、長かったわぁ!!
まだ宵の口でもあるし、この後は夕食を兼ねて、チュウさんとホテルの食堂で打ち上げの予定。
よし、食べるぞ呑むぞぉっ!!
仕事とは別の気合を入れた途端に、ぐぅぅっと鳴るお腹っ♪
まったく、調子いいんだから(呆)
「ってあれ、もうこんな時間!」
時計を見ると待ち合わせの時間が近付いてて、そろそろ部屋を出なきゃと思っていたら、ピロンって音がして日来課長からの返信が届いた。
相変わらず返信が早いわぁ.....
酔っぱらって部屋に戻ってから、も一回端末を立ち上げるのはメンドクサイ。
なので、ちゃらっと返信メールを確認しておく。
ま、「ごくろうさま」とか「帰りも気を付けて」とか「地球に帰るまでが出張やからね」とかだろうな。
RE:エント星 出張報告書
本文:報告書ごくろうさま、じゃあ最後のお仕事もがんばってね~
........はい???
.......
.....
...
日来課長も大概そうなんだけど、チュウさんも同時進行でいくつかの仕事をしてることが多くて、待ち合わせの時間には遅れてくることが多い。
だからチュウさんが、待ち合わせ時間5分前にロビーにいたことにはかなりビックリした。
「どうしたんです?まだ5分前ですよ?」
「何を言ってるのこと?社会人なら時間厳守は基本で当然のことよ?」
......どの口が言ってんのよコラ!!
「それじゃ行こうかって言うの時間やけど、もうちょっと待つのことよ」
「どうしました?なにか他の仕事の電話待ちとかですか?」
「いやいや......そういうわけのやないんやけど......」
イミフなことをつぶやきながら、ホテルの入り口あたりをチラチラうかがうチュウさん。
つられて振り向くと、ちょうどホテルの玄関からお客さんがひとり入ってくるところだった。
砂で汚れたマントをはおり、フードを目深にかぶっている。
「来はったね。非公式のことにはなってるけど、失礼の無いようによろしくのことよ」
ん??
誰、あれ??
.............................................
「ひえぇぇっ!!!!」
その人の正体を教えられてひっくり返る私。
ちょおっとぉチュウさんっ!!
そーゆー大事なことは最初に教えといてくれない??
「このあとの打ち上げには国王陛下もおしのびで来るのことよー」ってさ。
誰にだって心の準備ってものが必要でしょうよ。
「だってその方が面白いのことやん?」
.....おいこらチュウ!!
面白いとはなんだ、面白いとは!!
おかげで寿命が3年がとこは確実に縮んじゃったわよ!!
美人薄命っていうくらいで、このショウコちゃんの寿命はそんな長くないんだからねっ!!
「なに言ってるのこと?今や人類は身体をクローンに乗り換えるのやり方で寿命なんて永遠でしょ?」
「そーゆー問題じゃなくてですねぇ.....」
「ハハハすまんな。だがこれが、いつも王宮に押し込められて退屈している寡人の、ほんのささやかな娯楽なのだ。チュウが来た時にはいつもな」
おいこら国王っ!!
.......
.....
...
既にチュウさんは、ホテルから少し歩いたところにある飲み屋の個室を予約しておいてくれてた。
だから日来課長のメールに「最後のお仕事も」って書いてあったのか(クヤチイ)!
おしのびで無礼講って建前だけど、一応は部屋の入り口から遠い位置の「上座」に座っていただく。
んで、たくさんの肉料理を前に、打ち上げとは名ばかりの「接待」が始まったわ。
「CHEERS!」
「乾杯っ!」
「干杯~」
三者三様のかけ声とともに、大ジョッキのビールをウグウグと飲み干す。
しばしの沈黙.......
「「「ぷはぁっ!!」」」
う~っ!仕事の後のビールって極上のシヤワセよね?
おっとと、まだ接待中だったわ(苦笑)
「しかしこのビールという酒、実に美味いものだな。暑くて乾燥したこの星にピッタリだ」
「地球圏の食文化は、今や超広域宇宙生活圏連合で人気のですからね。僕もビールとかその他の食品なんかですこしばかり儲けさせてもろてますわ」
「ふふ。そういえば、寡人に最初にビールを紹介したのもそなたであったな」
「へぇー」
すごいじゃんチュウさん!!
なんて感心してたら、ふと国王さんが顔を曇らせた。
おやどうしました??
チュウさんの暴利がエゲつないんですか??
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