ピンク色の狼 2
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「まあそういうの訳で、ピンク色の狼を一匹つかまえるの必要あるんよ」
「あのブイブイ走ってるヤツをですか?」
けっこう離れてても分かるほどに土煙をあげて何台(何匹?)ものバイクが爆走してる。
あれらは「狼」と呼ばれるこの星の機械生命体。
今からそのうちの一台(一匹?)をとっつかまえて、言うことをきかせないといけないらしい。
あれがあるだけで、最終目的地であるエント星での移動がスムーズになるそうよ。
ん?
ってことは、アレに.......乗るの???
ショウコちゃん、オートマの自動車免許だけで、二輪の免許は持ってないんだけど.......
「でも捕まえるって、一体どうやって?っていうか、ロボットかなんかですかあれ?」
「正確の言えばちょっと違うのかな。あれはもともと、野良化のしたコンピューターが、さらに数世代を経て野生化のしたものなんよ」
「.......はい???」
野良化?
野生化??
コンピューターが??
.......どゆこと???
......
.....
...
緑色の狼は何匹か見たけど、みんな私たちを見つけるとあわてて逃げていく。
なにせバイクだから走るのは速いし、多分1km以内には近付けそうもないわね。
「大丈夫のことよ。ピンク色のは女の子が大好きのやから、察知のさえすればむこうから近寄ってくるのはずよ」
「それはそれで、なんか怖いですけども?」
ピンク色の狼を探して凸凹した荒地を歩きながら、チュウさんにいろいろと話を聞く。
なんでもこのコータット星は昔、コンピューター制御による高度に自動化された文明が栄えていたらしいわ。
それが突然、この星にも件の「相克境界」が出現、一気に文明が衰退しちゃったんだって。
しかもクルナ星みたいに上空だけにじゃなくて、「縦方向!」に、それも「あちこち!」に出来ちゃったもんだから(怖~)それはもう効果てきめんだったみたい。
人やモノの行き来は難しくなるし、何より惑星全体での温度や湿度の循環が阻害されちゃった結果、灼熱、極寒、嵐に、日照り、地震、かみなり、火事、オヤジ(これは違うか)と、自然災害のオンパレード!!
で、コータット星人たちが着のみ着のまま(比喩よ、比喩!)慌てて他の惑星に疎開したあと、残されていたコンピューターたちや設備の数々は、そんな激変した環境の中でもしぶとく自己進化をくり返して生き残り、いつしか野良化しちゃったそうよ。
いわばプログラムの範疇だけで自動で動いていたのが、AIになっちゃったみたいなもんかしらね??
さらに数千年を経て、完全に野生化しちゃったコンピューターたちは、柔軟な思考をおこなうためにいくつもの人格(?)に分裂して合議制をおこなうようになり、かてて加えて、それぞれが移動のためのボディとして車輪の付いた機体に棲むようになった。
(だから海に行くと、車輪じゃなくて海面をホバリングして移動する個体もいるらしいわ)
で、今に至る、と(汗)
それにしても.......
「この星の狼、ってのを使うにあたってコータット星人の許可とかは要らないんですか?っていうか、コータット星人って、今もまだどっかの星に住んでるんですか?」
「もちろんの当然よ。でも今回は、日来さんから依頼をもらったの時点で、すでに許可は取ってあるから問題なし。ちなみにコータット星人の暫定政府は分散のされて、いくつかの惑星に間借りされてて、火星にもあるんよ」
「へぇ~」
火星人って人類のなかでものんびり屋さんが多い(日来課長とチュウさんは例外だと思うけどね)から、宇宙人たちともわりかし波長が合うみたいで、今では火星に住んでいる人口の約2割弱が宇宙人だって聞いたことがあるわ。
それにしても、大使館じゃなくて行政機関まであるんだ(汗)
「この星の機械生命体は、一応はコータット星人の所有のものやからね。しっかりとレンタル料も必要なんよ」
「うーん、宇宙人ってそういうところはしっかりしてますよねぇ」
「ホンマやわ。つかまえるのんも連れ出すのんもセルフでこっちにやらせるの方式やのに、なーんもせんでお金だけ持ってくのんは納得いかんのことやわな」
「(都合の)いいショーバイですねぇ(苦笑)」
なんて話していたら、ブォンブォンブォンブォン、ブイブイブイブイと一際大きな爆音が響いてきた。
さっきまで聞こえてた緑色の狼がたててた音より少し高くてけたたましい。
ってか、うるちゃい!!
「この音.......近いの場所にいるね」
「ど、どこですか?」
あわてて周りを見わたすけれども、近くにバイクなんて見当たらない。
しいて言うならけっこう遠くに小高い丘があるけど、絶対にあんな遠くからの音じゃない。
「いや多分、あの丘のむこうから来るの確実やね。潰されるのことないように気を付けてよ」
「え?え?え?」
どういうことです?って聞き返そうとしたその瞬間、ガオンっ!!!っていうキレのいい音とともに丘をジャンプ台がわりにしたんだろう、一台のバイクが天高く飛び上がった。
ピンク色のボディが恒星の光をさえぎり辺りを暗くする。
おや.......?
なかなか.......
降りてこないな.......
「なんかアレ.......大きく.......ないですか??」
「せやから注意のして!地面の揺れるし、潰されるよ!!」
「え?ええええっっ?!」
アタフタ、アタフタしながらその場から退避っ!!
その直後、耳をつんざく大音量とともにピンク色の巨体が地ひびききをたてて落っこちてきた。
だっごぉぉぉぉぉんんんっっっっっ!!!!!!
「ひえぇっ!!!!」
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