クルナ星の水牛 4
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「さあどうぞ、お入りください」
「すいません、ありがとうございます」
お役所だからか、それほど立派ともいえない(どちらかというとショボイ)来客室。
それでもキレイに掃除がされてて清潔ですっきりした室内は逆に好感がもてるわ。
んで、ようやく名刺を渡して自己紹介をする。
先方さんの名前は、このあと多分出てこないから省略してもいいわね?(いいのか?)
「いやチュウさん、久しぶり。どう商売のほうは?」
「いやいや、あきまへんわ。ガゴビ星系の品物はどれもこれも一級の品々ばかりのやけど、皆さん商売上手の人達やからとても敵いまへんのですわ」
「またまた。そう言ってチュウさん、いつもガゴビ星系の物を安く買い叩いていくじゃない?」
「とんでもございません。僕いつも取引の損してばっかりです」
「あはは!まさかぁ!!」
二人とも友だちみたいにニコニコとしてる。
とても仲が良いのね。
「で、ここに来たってことは、例の認可証だよね?」
「ええ、そうなんですわ。少し急ぐの要件なもんで」
と、私の方をチラリと見るチュウさん。
え?
いや私は別に.......
てか、きっと待たされるからオヒルネでもしようと思ってたんだし(笑)
「承知、承知。じゃなくて、チュウさんのとこのコトバだとオケー、オケーだっけ?ちょっと待っててよ」
そう言うと先方さんは部屋を出ていき、すぐに小さな封筒を手に戻ってきた。
え、マジで??
「はいどうぞ」
「助かります、多謝」
「ど、どもアリガトゴザイマス......」
恐縮してカタコトになっちゃったわ(汗)
「ま、でも、ここまでは良いけど、この後は大変かもよ?」
「そうですね。なにせクルナ水牛の肉は超広域宇宙生活圏連合の人気商品、欲しがるの人はたくさんいますから」
「そうだね、僕としてもガゴビ星系に出回る肉が減って値上がりしちゃうのはヤだもんな」
「クルナ水牛、美味しいのお肉ですもんね」
「そうそう、チュウさんも好きでしょ?」
お腹すいてきた......
「でもその代わりで、火星の魚を売らしてもらおうと準備のしてますから。例のツマメヌ醤油といっしょにね」
「本当かい?あのソイソースは絶品だったからね。またお願いしたいな」
「たぶん今の頃、ご自宅に届いてますよ。今回は火星で採れた山葵もいっしょの送りましたから、ぜひに楽しんで下さい」
「ひえぇ、さすがはチュウさん。抜け目が無いねぇ」
「いえいえ、いつもお世話になっているのこと、ほんのお礼の気持ちですから」
「じゃあ、次の部署へもちょいとアドバイス(・・・・・)をしておこうかな」
「大変に助かりますのことです」
私をほっといて、なんだか話がどんどん進んでいく。
と、先方さんがこっちを向いた。
「チュウさんと一緒に仕事をするといろいろな意味で勉強になるとおもうから、くじけずに頑張ってよ。そして今後ともよろしくね」
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いいたします(ん??......くじけずに???)」
こうして、あっという間に最初のお仕事は終わっちゃったの。
.............................................
ビルを出て歩きながらタクシー乗り場へと向かう。
チュウさんにたずねる。
「さっきの人、ずいぶんと私たちに、いえ、チュウさんに良くしてくれましたけど、」
「まあね、彼とは親しいの友だちの関係やからね?」
「え?で、でもチュウさんって、ガゴビ星系に来るのは久しぶりだって言ってませんでした?」
「だから疎遠の関係にならないように、季節ごとの贈り物はちゃんとしているんよ。新鮮なクルナ水牛肉は生食にも適しているから、ワサビ醤油で食べるのやり方を教えたらすっかりハマっちゃってね」
ははぁ.....なるほど。
つまりこういう時のために、普段からあの人には「付け届け」をしているってわけね。
いろいろと察したわ(汗)
「いやいやアナタ、人聞き悪いのこと言うわな。あくまで彼とは友だちよ、友だち。まあ、それでたまたま商売がうまくいくのこともあるってだけよ」
「あ、はい。そういうことですよね。あはははは.......(乾いた笑い)」
ニッコリと笑うチュウさん。
そして愛想笑いをする私。
そしてふと、チュウさんは真面目な顔になると、噛んで含めるようにゆっくりと言う。
「でもだいじのことは手段じゃあないんよ?みんながね、自分と商売をしたいなって思うの関係をつくるのが大切。そして大変なことなんよ?」
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