ああもうっ!!!!!(怒)
お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
「うーむ.....なんでこんなにブラックな会社に就職したんだろう??」
ボヤキながらも仕事を続ける。
まあ他にどこも受からなかったんだから仕方ないっちゃア仕方ないんだけど......
「何を言ってるん? ブラック企業ってのは人を人とも思わずに、しかも安~い給料で働かせるトコやからね。僕はアンタのこと、ちゃんと一人のスタッフとして仕事を任せてるし、アンタの給料、働きに見合っただけのお金がもらえてるハズやけど。」
「まあ確かにお給金はたくさん頂いてはいますけどねぇ......」
お互い仕事の手を止めることなく、もう何度か交わしたことのある会話をする。
確かにお給料は良いし、同期の中では多く貰ってる方だと思う。
だけどそのたまったお金を使うヒマが無いのよ(汗)
「でも、お給料が多いのはうらやましいわあ。あ、日来課長、これお土産のお菓子です。」
「ありがとね。」
となりの部署の歌保ちゃんが、何やら怪しげな箱を持ってやって来た。
おおかた、歌保ちゃんの上司が出張先で買ってきたのだろう。
いや、「宇宙人」から「買わされた」のかな?
「はいショウコちゃん、女の子達にはこんなのもあるわよ。」
「こ、これはまた.....派手過ぎて目に痛いかも?」
「そう? 上手に使えばほら、なかなかおしゃれじゃない?」
歌保ちゃんがクルリと後ろを向く。
ツヤのある黒髪に貼り付いたネオンサインみたいなアクセサリー。
それは、青色と赤色が交互にピカピカと点滅する髪留めだった.....
.............................................
「あぁもう!!また納期遅れのお知らせ?いいかげんにしろっての!!」
うっとおしく光る髪留めを机の引き出しの奥へと押し込んだ後、届いたメールの件名を見て思わず悪態をつく。
製造加工を依頼していた「宇宙人」からのメールだ。
長々と理由のかかれたメールをナナメ読みして要点を拾い出すと、そのすべてについて不要である旨を列挙した返信メールを書く。
① 原料Aの純度は現状で規格内です。再加工は不要です。
② 加工温度の変更は色味を変化させます。調整は不要です。
③ パッケージデザインは弊社顧客との決定稿です。変更は不可です!
④ エトセトラ、エトセトラ......
書いているうちにイライラしてくる。
なんで「宇宙人」達って、こんな基本的なことも出来ないんだろう?
「それでいいんよ。せやからウチらみたいな商売が成り立つんよ?」
「まあ、そうなんでしょうけどぉ......」
......
.....
...
「宇宙人」、「異星人」、「地球外惑星人」、「異種族人」。
色々な呼び方があるけど、要は地球由来の「ホモサピエンス」以外の人達ってことね。
ちなみに「地球人」と「火星人」は同じホモサピエンスなんだけど、一応、区別されることが多い。
火星に住んでいる人達だけは、考え方がわりと「宇宙人」に近いところもあるから。
昔、人類が地球を飛び出し宇宙へ進出し始めた頃、火星に移住した人達はとにかくのんびり屋さんが多かったの。
というか、特別にそういう人達を募集して火星の開拓が始まったらしい。
だもんで仕事はきっちりやってくれるんだけど、決して急がせることができないの。
こんなにかかる?ってぐらいの期間を要求されるし、こっちの都合なんておかまいなし。
その代わり、品質はこちらの要求通りのものを仕上げてくれるし、一度決めた納期が遅れることはまず無い。
「MADE IN MARS」って表記には、今や一種の言霊すらある。
でね、私達ホモサピエンス以上に宇宙開拓歴の長い宇宙人達は、当然のことながら高い高い、そりゃもう高~い技術力を持っている。
だから「MADE IN OTHER PLANETS」には、火星の製品なんかよりも「えげつないブランド力」がある。
あるんだけど......
ここで問題になるのが、異種族間にある「文化の違い」ってやつ。
前にも言ったっけ?善意の押しつけってのがあるの。
勝手に品質を改善してくるから、無駄にオーバースペック。
その品質改善に平気で時間を使うし、火星人以上にのんびり屋なので、納期はまず守られない。
しかもその改善に対してもれなく対価を要求してくるときた!!
ああもうっ!!!!!(怒)
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